保有個人情報の開示・不開示等の決定基準について

・法第14条第2号(開示請求者以外の個人に関する情報)関係

開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

 

法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報

 

人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報

 

当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

 

1.趣旨

 

(1)

本号は、個人に関する情報の不開示情報としての要件を定めるものである。

 

(2)

開示請求に係る個人情報の中に、本人以外の第三者(個人)の情報が含まれている場合があるが、第三者に関する情報を本人に開示することにより当該第三者の権利利益が損なわれるおそれがあることから、第三者に関する情報は不開示情報としたものである。

 

2.解釈

 

(1)

「個人に関する情報」は、「個人情報」とは異なるものであり、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報も含まれる。

 

(2)

「個人に関する情報であっても、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、第2号の適用を受けるため、本号から除外している。

 

(3)

「その他の記述等」とは、氏名及び生年月日以外の記述又は個人別に付された番号その他の符合等をいう。映像や音声も、それによって特定の個人を識別することができる限りにおいて「その他の記述等」に含まれる。

 

(4)

「特定の個人を識別することができる」とは、当該情報の本人である特定の個人が誰であるか識別できることをいう。

 

(5)

「他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるもの」とは、当該情報のみでは特定の個人を識別できないが、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなる情報をいう。
 照合の対象となる「他の情報」には、その保有者が他の機関である場合も含まれ、また、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれる。特別の調査をすれば入手し得るかもしれないような情報については、通例は「他の情報」に含めて考える必要はない。

 

(6)

「開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、個人に関する情報の中には、匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連したり、開示すれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものがあることから、特定の個人を識別できない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある場合を不開示情報としたものである。

 

(7)

本号ただし書により開示とする情報は、次のとおりである。

「法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」(本号

 

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「法令の規定」には、何人に対しても等しく当該情報を開示すること又は公にすることを定めている規定のほか、特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定が含まれる。

 

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「慣行として」とは、慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として知ることができ、又は知ることが予定されていることで足りる。
 当該情報と同種の情報について、本人が知ることができた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り「慣行として」には該当しない。また、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)第5条第1号の「慣行として公にされ」いる情報は、慣行として開示請求者が知ることができる情報に含まれる。

 

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「慣行として開示請求者が知ることができる情報」に該当するものとしては、請求者の家族構成に関する情報(妻子の名前や年齢、職業等)等が考えられる。

 

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「知ることが予定されている情報」とは、実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている場合をいう。「予定」とは将来知らされることが具体的に決定されていることは要しないが、当該情報の性質、利用目的等に照らして通例知らされるべきものと考えられることをいう。
 例えば、複数の者が利害関係を有する事項についての調査結果を当事者に通知することが予定されている場合において、開示請求の時点においては、未だ調査結果の分析中であったため通知されていなかった場合が想定される。

 

「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」(本号ロ)
不開示情報該当性の判断に当たっては、当該情報を不開示にすることの利益と開示することの利益との調和を図ることが重要であり、開示請求者以外の個人に関する情報について、不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとするものである。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性の高い場合も含まれる。この比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要である。

 

 

 

「公務員等の職及び職務の遂行に係る情報」(本号ハ)

 

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公務員等の職及び職務の遂行に関する情報は、情報公開法第5条第1号ハにおいて、政府の諸活動を説明する責務が全うされるようにする観点から不開示情報から除外されており、本法においても、同様に、不開示情報から除外することとしたものである。

 

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「職務の遂行に係る情報」とは、公務員等が行政機関その他の国の機関、独立行政法人又は地方公共団体等の一員として、その担当する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、苦情相談に対する担当職員の応対内容に関する情報などがこれに含まれる。

「職及び職務の遂行の内容に係る部分」
公務員等の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名については、開示した場合、公務員等の私生活等に影響を及ぼすおそれがあり得ることから、私人の場合と同様に個人情報として保護に値すると位置付けた上で、本号に該当する場合には例外的に開示することとなる。人事異動の官報への掲載その他行政機関等により職名と氏名を公表する慣行がある場合や、行政機関等により作成され、又は行政機関が公にする意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名が掲載されている場合には、「慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている」場合に該当する。

 

3.運用

開示請求者以外の個人に関する情報は、一度開示されると当該個人に対して回復し難い損害を与えることから、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の観点から最大限に尊重するものとする。



人事院