保有個人情報の開示・不開示等の決定基準について

・法第14条第7号(事務又は事業に関する情報)関係

国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事 務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれ その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を 及ぼすおそれがあるもの
  監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
  契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
  調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ



1.趣旨
  (1) 本号は、事務又は事業に関する情報の不開示情報としての要件を定めるものである。
  (2) 本号は、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体等(国の機関等)が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示情報としたものである。

2.解釈
  (1) 「次に掲げるおそれ」としてイからホまでに掲げたものは、各機関共通的にみられる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、開示することによって、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものである。これらの事務又は事業の外にも、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等があり得るが、それについては「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」で判断する。
  (2) 「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断する趣旨である。
  (3) 本号に列記された支障の内容は、次のとおりである。
「監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」(本号イ)
  (ア) 「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行及び財産の状況の正否を調べることをいう。
  (イ) 「検査」とは、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいう。
  (ウ) 「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止、又は制限について適法、適正な状態を確保することをいう。
  (エ) 「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことをいう。
  (オ) 監査等の事務は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えて、一定の決定を伴うことがある事務である。
(カ) 監査等の事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報のように、事前に開示すると、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難になったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反には至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするものである。また、事後であっても、例えば、監査内容等の詳細についてこれを開示すると今後の法規制を免れる方法を示唆することになることになるようなものは該当し得ると考えられる。
「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(本号ロ)
  (ア) 「契約」とは、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることをいう。
  (イ) 「交渉」とは、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るための協議、調整などの折衝を行うことをいう。
(ウ) 「争訟」とは、訴えを起こして争うことをいう。訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立てその他の法令に基づく不服申立てがある。
(エ) 国等が一方の当事者となる上記の契約等においては、自己の意思により又は訴訟手続上、相手方と対等な立場で遂行する必要があり、当事者としての利益を保護する必要がある。
「調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(本号ハ)
  (ア) 国の機関等が行う調査研究(ある事柄を調べ、真理を探究すること)の成果については、社会、国民等にあまねく還元することが原則であるが、成果を上げるためには、従事する職員が、その発想、創意工夫等を最大限に発揮できるようにすることも重要である。
  (イ) 調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、@調査研究の途中段階の情報などで、一定の期日以前に開示することにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれのあるもの、A試行錯誤の段階の情報で、開示することにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。
「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及すおそれ」(本号ニ)
  (ア) 国の機関等が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等の管理に関すること)に係る事務は、当該機関の組織としての維持の観点から行われ、一定の範囲で当該機関の自律性を有するものである。
  (イ) 人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評定や人事異動、昇格等の人事構想等を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。 

3.運用
  (1) 「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」については、本規定は行政機関の長の恣意的判断を許容する趣旨ではなく、客観的に判断される必要がある。「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求される。
  (2) 公平審査に係る訴訟で、人事院が被告となっている訴訟の関係書類で、法務省本省及び法務局で作成した書類については、事案を法務省に移送することとする。


人事院