「女子学生セミナー」の概要
 
 
行政への女性の参画は、男女共同参画社会実現のためにも積極的に取り組むべき課題となっています。
人事院は、平成22年度までに、採用試験合格者に占める女性の割合として、次の目標値に達するよう、各府省と共に女性の採用拡大に取り組んでいます。


 I 種採用試験(事務系区分):30%   II 種採用試験(行政区分):40%


そのため、I ・II種等を目指す女性を対象に、「女子学生セミナー」を全国各地で開催しています。
女子学生セミナーでは、先輩女性職員から見た「仕事のやりがい」、「仕事と家庭との両立」など、女性が仕事をしていく上で知りたい様々な情報を提供しています。
今回は、平成22年10月26日(火)に東京都・国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催された「国家公務員 I 種志望者対象 女子学生セミナー in 東京」における、先輩女性職員のパネルディスカッションをお届けします。ぜひご一読ください。
 
 
パネリスト
齋藤 聡子  (H11.法律) 警察庁長官官房国際課課長補佐
松井 めぐみ (H15.法律) 国税庁関東信越国税局調査査察部国際調査課長
松本 加代   (H10.法律) 経済産業省経済産業政策局調査統計部経済解析室参事官補佐
新留 素子  (H11.理工W) 特許庁特許審査第三部審査官(医療(医療化合物))
植竹 朋子  (H17.農学V) 環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響評価室主査
(司 会)
田 悠二 人事院職員福祉局職員福祉課福祉専門官
 
 パネルディスカッション概要
    

  女子学生セミナーin東京(22.10.26)パネルディスカッション
(司 会)   みなさんこんにちは。人事院職員福祉課で福祉専門官として両立支援制度を担当しております田と申します。本日司会をさせていただきます。よろしくお願いいたします。本日はT種採用女性国家公務員によるパネルディスカッションとして、最前線で働き続けていらっしゃる5名の女性職員の方にきていただいていますので、パネルディスカッションというよりは、座談会のような形でざっくばらんにお仕事について、あるいは私生活、ワーク・ライフ・バランスについてお話しを伺っていきたいと思います。本日は参加していただいている学生のみなさんが、日頃是非聞いてみたいと思っていることとか、なかなか面と向かって聞きづらいなと思っていること、そういったことの本音の部分をお話しいただけると思っていますので、よろしくお願いいたします。
  早速ですが、簡単な自己紹介と、T種試験を受験したきっかけや動機、そういったことをパネリストの方に順番にご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
(警察庁)   警察庁の齋藤と申します。これまで、警察庁では、外事課や刑事企画課、総務課、国際課で勤務してきました。また、警察庁以外では大阪府警察や沖縄県警察、環境省への出向経験があります。
  T種試験を受験したきっかけですが、子どもの頃外国に住んでいたということもあり、国家公務員という日本のために働ける仕事がしたいと思い、受験しました。仕事を真面目にしようと思ったら、どんな仕事でも人生の大半を費やすことになりますし、当然仕事なので、嫌な思いもたくさんします。就職活動をする際、せっかくなら、辛くなったときに、今頑張れば世の中が少しでもハッピーになると思いながら仕事をできるところが良いと思い、国家公務員という職業を選択しました。
(国税庁)   国税庁の地方機関で現場の国際課税の調査を担当する関東信越国税局の国際調査課長をしております松井と申します。平成15年に国税庁に入庁し、3年目に新潟税務署という現場に出させていただきました。4年目にまた国税局の方で別の現場の仕事をさせていただき、5年目6年目に国税庁で係長として仕事をし、6年目に妊娠しました。その後産休、出産ということで、昨年の6月に子どもを出産しまして、その後育児休業を今年の3月末までとって、4月1日付けで復帰をしております。まだ子どもが1歳4ヶ月になったばかりなので、復帰直後は保育園に預けたのですが、すぐに熱を出して迎えに来て下さいと言われたりすることが多く、やっと半年を過ぎ、私の方も仕事に慣れて、子どもも保育園に慣れてきて、呼び出しをされることもなくなってきて、やっと復帰して仕事に本腰を入れられるようになってきたなということが最近の実感です。
 T種試験を受験したきっかけですが、私の場合は漠然とですが、人のためになる仕事がしたいという思いがあったのと、私が就活をしていた頃は、周りの人は外資系の証券会社とかに就職して、いっぱいお金を稼いでと考える人が多かったので、私はそういうのとは違う仕事をしたい、お金の為ではない仕事がしたいと思って、それが私の中では公務員が一番良いのかなということで、T種試験を受験しました。
(経産省)   経済産業省の松本と申します。今までの仕事ですが、経済産業省は、色々な分野の仕事があり、私も色々な仕事をやってきましたが、色々な部署を経験しながら、途中で得意な分野を見つけていきたいと思ったこともあって、そういうことも伝えていたら、出産直後は、研究所に行かせてもらい、その時に、留学中にやっていた研究の延長上にあるような条約関係のことをやったりなどして、それはそれで凄く満足のいくものでした。その後、経済産業省の職員でありながら、純粋に経済政策の担当をしたことがなく、わりと制度設計の仕事が多くて、私は法学部の出身なので、制度設計の仕事は楽しくやっていたのですが、段々これで良いのだろうかと思い始めていた頃に、政策審議室という比較的経済マターを扱うところに配属になり、日々人の役に立つことをしたいと思って入省したのですが、半分以上勉強しているような意識でずっと仕事をしてきました。
 T種試験を受験したきっかけですが、私も先ほどのお二人と結構似ていて、自分がやっていることが、何か良いことに繋がっていると思えることがやりがいなのだろうなという風に思っておりました。私の就職活動の時代というのは、1997年で、みなさんあまり記憶にないかもしれませんが、ものすごく不況で、大きな証券会社がつぶれ、しかも公務員のスキャンダルが明るみにされていて、公務員は凄く人気がなく、そんな中で、色々な企業とか外資系の企業など回ったのですが、一番経済産業省に魅力を感じて、ここならやりがいもあるし、自分を高めていくこともできるだろうと思ったのが入省のきっかけです。
(特許庁)   特許庁の新留と申します。私は平成11年に特許庁に入庁し、その後ずっと審査業務の方に携わっています。途中1年だけ審査調査室というところで、部内の企画関係の仕事、これからどういう風に審査を進めていくかとか、今の最先端の技術はどういうものがあるのかということを調べたりデータを集めるお手伝いをする仕事をしていました。その後また審査室の方に戻りまして、審査の仕事をしています。その途中、平成20年に娘を出産しまして、約9ヶ月間、産休育休でお休みをしまして、去年の4月末に復帰をしました。特許庁の審査官という仕事は、専門職になりますので、他のみなさんと違って、あまり色々なところに行って色々な種類の仕事をするということはないのですが、逆に理系の私にとっては、常に技術と接していられるというところが、非常に魅力的な職場でもあります。
  T種試験を受験したきっかけですが、私の場合は大学4年生の時に受けたのですが、当時は進学しようと思っていて、ただ、両親の薦めなどもあって試しに受けてみようかなという程度の気持ちで最初は受けました。大学院に進んだ後に、実際就職を考えるに当たって、公務員も民間も色々考えたり調べたりしたのですが、まず研究室で自分が研究生活をしていた時に、凄く狭い分野で物事を掘り下げていくというようなことよりも、自分は色々なものがみたい、色々なものが知りたい、という気持ちが凄く強いのではないか、合っているのではないかと漠然と感じていたということがありました。公務員の中に特許庁という役所があるということがわかりまして、ここだったら常に最新の技術に接していられるし、自分の知識も生かせるし、当時また、科学技術立国ということで、知的財産が非常に注目され始めて来た時期でしたので、そういうこともあり、特許庁の仕事が良いのではないかと考えるようになりました。実際に特許庁に伺って話を聞いてみると、その裏付けがあったというか、先輩方のお話とか聞いて、やはりこの職場がよいと思い、特許庁に入庁させていただきました。
(環境省)   環境省の植竹と申します。私は平成17年に農学V・自然系技官という分類で採用されました。最初は環境省本省に1年おりまして、その後、岡山の中国四国環境事務所に1年、そこでは瀬戸内海国立公園の仕事をしておりました。3年目は青森県に異動になりまして、青森県の西目屋村というところにある西目屋自然保護官事務所という、全部で4人しか職員のいない小さな事務所なのですが、そちらで、白神山地の世界遺産地域の青森県側の担当として仕事をしておりました。そこに1年3ヶ月おりまして、その後、独立行政法人国立環境研究所に1年間出向いたしました。そこでは企画部という研究所全体の方針をつくるようなところで仕事をさせていただきました。その後、総合環境政策局環境影響審査室に参りました。現在は環境アセスメント、大きな開発事業をやる時の環境影響を事前に調べなければいけないという環境影響評価法があるのですが、それに基づいて環境影響の審査をするという仕事をしております。女子学生セミナーということで、この後ワーク・ライフ・バランスの話が出てくるかと思いますが、私は一昨年に結婚はしたのですが、まだ出産等は経験していませんので、これから、子どもができてから色々難しい面も出てくるのかなと思いますが、前向きに色々なことを考えていけたらと思っています。
 T種試験を受験したきっかけですが、前の4名の方と被るのですが、まずT種を選んだというのは、私も15歳までずっと海外におりまして、外国で、外国人である日本人としてずっと生活してきたので、世界の中で日本という国がどういう風に見られているのかということなどに興味があり、国の仕事をしてみたいと興味を持ったことが最初のきっかけです。それから、自然の豊かな地域が好きで、環境保全に関わる仕事、特に自然環境保全に関わる仕事をしたいと思い、その両方ができるということで、環境省を受験しました。
(司 会)   ありがとうございました。みなさま自己紹介の中で、様々な仕事を経験されてきたということがわかったと思いますが、その中で、特に一番やりがいを感じた仕事、あるいは印象に残っている仕事について、もう少し具体的にお話しを伺えればと思います。その時には、苦労されたお話しですとか、その際にどのように解決したかとか、ストレスの解消法など、そういったことも交えてご紹介いただければと思います。
(警察庁)   警察庁での勤務と、県警での勤務とに分けてお話ししようと思います。
  警察庁での仕事は、刑事企画課にいたときに携わった法律の改正作業が最も印象に残っています。平成17年の頃のことです。当時振り込め詐欺が急増中でした。法律の改正は、その対策の一環として行われたものです。
  罪を犯そうとする人は、当然足がつかないように、犯罪に自分名義の口座を使うわけはありません。誰のものか分からないけれども、人から買ってどんどん転売され、譲り受けてきた口座にお金を振り込ませます。このため、当時は、被害者がお金を振り込んだ口座をいくら捜査しても、実際に詐欺を犯した犯人には辿りつけないという状況にありました。また、携帯電話も同じです。携帯電話で色々被害者に対して指示をするけれども、被害者の携帯に表示された被疑者のものと思われる携帯電話番号の名義人を調べても、当人は「遙か昔に誰かにあげてしまい、私は現在使っていません。」という。口座や携帯を押さえても誰のものだか分からないということでは捜査が進まないので、そういった銀行口座や携帯電話が転々と流通していくことを禁止しようということになりました。それまでは、口座や携帯電話の売買や譲渡を禁止する法律はなかったのですが、それでは駄目だということで、法律を整備しようとしたのが平成17年頃のことでした。当然、きちんと名義変更を行い、適正に譲り受けたりなど、適正にやり取りしたりするものは良いのですが、有償での譲り受けなどを罰しようとしたのです。法律の改正作業は、連日連夜、凄い時間を費やして作業します。当初は相当なストレスだったのですが、当時の上司が非常に明るくて、何事も笑いに変えてくれたので、今思えば、結局毎日笑いながら楽しんで仕事ができたという記憶があります。法律の手当により犯罪捜査がやりやすくなって、事件が検挙されるようになれば、犯罪抑止にもなりますし、治安維持に少しは貢献できる、と非常にやりがいを感じました。
 県警で一番印象に残っているのは、沖縄県警に捜査第二課長として出向したときのことです。捜査第二課は、贈収賄や選挙違反、詐欺といった知能犯の捜査を所掌しています。私が課長のとき、総選挙がありまして、その選挙違反の取締りが特に印象に残っています。難しかったのは、課長として、自分の課の職員30名程度の人に、いかにしてやる気を持って仕事をしてもらうようにするかという点です。課員は、私とは立場も違い年齢も上の人ばかりでしたので、そういった人に私の思ったとおりに動いてもらうのは大変でした。私なりに、課員によく話かけ、相手の話を聞いたり、自分も相手が納得するよう根気強く説明をしたりしました。意思の疎通がきちんと行われるよう、人間関係の構築に努めることで、なんとか最終的にはみんなに同じ方向を向いて仕事をしてもらえるようになれたかなと思っています。
(国税庁)   私の一番やりがいを感じ、印象に残っている仕事というのは、齋藤さんと同じように、国税庁も本庁と現場で勤務というのがありますので、本庁と現場での今の勤務ということで、2点お話ししたいと思います。
 霞が関で働いていて、一番印象に残っている仕事というのは、育休取得前に長官官房の総務課というところで、国税庁の窓口というような仕事をしていました。そこでは他省庁とのやり取りなどの仕事もしているのですが、私が担当していた係は、庁内では緊急対応事案といっていまして、いわゆる不祥事といわれるようなものに対応する係にいましたので、そのことが一番やりがいではないのですが、印象に残っている仕事としてあります。国税庁の組織として、霞が関に国税庁の本庁がありまして、東京や大阪など地方に各国税局があって、その下に各市町村に税務署があるのですが、職員の数が5万人いますので、それだけの職員がいれば不祥事も起きてはならないのですが、起こることがあります。その中で、軽いとか重いとかは言ってはいけないのですが、ペーパーがなくなったとかであれば、納税者の方に影響がなければそれほど問題にはならないのですが、新聞などで最近報道されたのでご存じの方もいるとは思うのですが、不正に税金を還付してもらうということを職員がやったということが何件かあった年でもあったので、そういう事件が起きた場合には、本庁で対応しなければいけないということで、そういったことを対応していた係にいました。外向けにマスコミ対応もしないといけないのですが、そういう事件が起きた時には、まず対処策というか、再発防止策というようなことを国税庁で作りまして、それを各現場に通達していくということをやっていました。先ほども言ったように、5万人以上の職員がいると、月に1回程度何かしらの事件が起こるような感覚で、私もお腹が大きい中、事件を上の方に説明していて、周りの人にも、こんなにストレスが溜まるようなところに、妊婦さんがいても良いのですか、ということをよく心配されたのですが、そこは途中で係が変えられるわけでもなかったので、最後までやりました。その中でストレス解消法というのは何があったのかなというと、胎教という意味もあって、本当はクラッシックとかが良いと世の中では言われていますが、クラシックだけではなくて、自分の好きな曲をずっと聴いて、身体があまり動かせないので、音楽を聴いてストレス解消をしていました。
 一方現場の仕事として、今の仕事が一番やりがいがあるように感じています。今私は、国税局というところで、大きな法人を相手にする調査部の中の国際課税のセクションにいます。国際課税というのは、今中国とかの問題もあるのですが、日本の企業は製造業を中心にどんどん海外に進出していっており、その海外に進出していっている企業を相手に税務調査をやっているセクションで、現場に出て、調査をしに行く人を束ねている課長をさせてもらっています。そこで何を一番やりがいに感じるかというと、私たちが国税局なりそこで働いている調査官達が、きちんとした課税なり調査をして、きちんとした納税をして頂くということを国民のみなさまに知ってもらわないと税金というのは納まっていかない。国民のみなさんに納税して頂いて、私たちが集めた税金によって、国の仕事ができているというところがあるので、根幹の仕事をやっているということを実感しています。これは現場に出たことのやりがいなのですが、一方で、海外に進出している企業は、私が今の部署に異動する前に感じていたよりも多くの企業、あまり規模の大きくない企業でもどんどん海外に進出しています。それらの企業は本社が日本にあるのですが、今のところは日本で納税してもらっていますし、税金を払ってもらっているのですが、その企業が日本に本社を置く気をなくしてしまう、生産の工場をほとんど海外に出してしまっているような企業もあるので、そういった中で、どうすればもっと日本にいてもらえるのかということなどを今肌で実感できているので、それにやはり一番やりがいを感じていて、それをまた国税庁の方にフィードバックをするなり、自分が次の異動で戻った時に何かやれればいいなと感じながら仕事をしています。
(経産省)   やりがいは、それぞれの課で、それぞれに違っていて、その時々に自分が違う人間になってしまったかのように、違う価値観を持つことがあります。直近では、統計というのは凄く地味で、今の部署になった時に、嬉しいような嬉しくないような微妙な気持ちで受け取ったのですが、きてみると、政府の景気判断の半分くらいを担っていると思っても良いくらい重要な統計が作られていて、それを元に基調判断といって、所管として製造業をみていることが多く、製造業の景気動向というのは、元々業界のいわゆる人とのインターフェイスという意味でも把握できるのですが、統計という客観化された数字として把握するということが、調査統計部の役割です。そういう数字を見ながら生産は横ばいといった基調判断をしているのですが、そういう基調判断を最終的に決めるのは組織としての意志決定なので、大臣まで上げます。そのための判断材料を参事官、いわゆる課長の補佐として整理をしやっていく、それが将来的には数週間後にでる月例経済報告にも入ってくるし、経済対策などの政策判断の一つの判断要素となっていくという役割を担っているということにやりがいを感じています。統計は、経済産業省の中でもホームページのアクセスが多く、利用されていて、それは他省庁の統計も同じなのですが、政府が国民に提供しているサービスの中で、ものすごく大事なものだと思っています。その統計が適切に使われるために、現場の職員のやる気という話が出ましたけど、統計というのはアウトソースできない、政府の中で政府しか持っていないノウハウであったりするので、人材育成ということにも十分気を遣わないといけないし、今までは自分で何かやりたいことを持って、それを人に説明していく、自分で球をもって走るという言い方をしているのですが、そういう仕事が多かったのですが、初めてマネジメント側の仕事を本格的にやって、それはそれで新たなやりがいを感じています。ストレスは、今妊娠中なのですが、最初に妊娠した時に、会計課というところにいて、そこでの仕事は、いわゆる予算執行をより適正化することでした。補助金や委託費が目的通りに使われなかったといったことがたまにあるのですが、それが見つかった時にどうするかとか、後からわかると、何故発見できなかったのかとか、きちんと執行していたのかとか、当然批判されるし、税金の執行をさせていただく身として、あってはならないことなので、それを返還なども含めて適切に処理するとかいうことが仕事で、責任も重いと感じていましたし、ストレスも大きかったです。趣味は買い物やお酒を飲むことなのですが、妊娠中なのでお酒は飲めないし、買い物も服が買えないので、ストレスを解消しようがなかったのですが、そこはバックを買ってみたりなど、何とか凌いで無事に健康に子どもを産むことができたのですが、子どもを産んでみると、育児のストレスがものすごいので、大抵のことは我慢できるようになるのではないかと思います。
(特許庁)   先ほども申し上げたとおり、私の場合は他のみなさんと違って、基本的には特許出願の審査という一つの仕事を続けて来ています。ですので、一番やりがいを感じた仕事というのは、非常に難しいところがあるのですが、特許出願で、実際に出願している人と直にお話しする機会とかもあるのですが、そういう時に、その出願が特許にならないとうちの会社は潰れてしまうとか言われると、自分がやっている仕事というのが、本当に企業の生き死にを決めるわけではないですけれども、そういう面が少なからずあるところがあって、責任感というのは非常に感じます。その他印象に残ることとしては、実際に市場に出回ったりするのを見たりすると、これを担当していたと思いますし、技術でも、この前ノーベル賞を日本人がもらったというニュースがありましたが、そこで使われていた有機化学反応なども、特許出願で普通にみるようなものですので、そういうのを見ると、最先端な事をやっているなと、自分も何か貢献できているのかなと感じる事ができます。審査の仕事は非常に地道で、派手さというものは全くなく、成果もど派手なものがあるわけではなく、淡々とこなしていくようなものなのですが、やはり出願側というのは技術のプロで、先ほど申しましたように、研究って狭いところで深くオタクみたいにやっている方がたくさんいるのですが、そういう方を相手に自分が特許になるかならないということを判断していく、相手からは審査官はわかっていないと言われることもたくさんありますので、悶々と悩むこともたくさんあります。それが一つのストレスにはなるのですが、その時には、周囲の同僚や先輩、色々な人と相談したり、愚痴を言い合ったりということで、ストレスは解消していっているのかなと思います。仕事で苦労することというのは、技術をずっとキャッチアップしていかなければならないというところです。私は卒業して10年経ちますけど、10年前の技術と今の技術は全く違っています。特に薬学分野、薬、医療、生命科学という分野では、この10年というのは飛躍的な進歩を遂げた10年だと思っていて、それを常にキャッチアップしていかなくてはいけないというところでは、日々の努力が必要になってくると思います。また、私は理系の人間なのですが、特許審査では特許法という法律に基づいて審査が行われていきますので、法律の知識も必要になってきます。もともと理系でずっと育ってきて、法律というものに対しては、ほとんど触れたことがないようなところから、法律に基づいて仕事をしていかなければならないということでやはり苦労しました。ただ、特許庁という職場は非常に恵まれたところでありまして、同じような立場の人がたくさんいるからというのもあるのかもしれませんが、法律の研修や技術の研修が非常に充実していまして、今は育児もあるので、自己研鑽の時間を作り出すということが非常に難しいのですが、そのような職場の研修を受けているということで、ある程度キャッチアップができているのではないかなと思います。
(環境省)   環境省の場合も、本省勤務と地方勤務があります。自然系技官の場合は、何年かおきに東京の本省にいたり、地方にいたりという業務形態です。それぞれかなり違うので、私も2つ紹介させて頂きたいと思います。
  やりがいもストレスの種類も東京と地方では全く違いまして、まず地方ということで、職員の人数の少なかった青森県の時の話をさせて頂きますと、白神山地というところが世界遺産ということでご存じの方も多いと思うのですが、原生的なブナを中心とした森が大きくまとまっていて、生態系を象徴する素晴らしい自然だということで世界遺産になっています。白神山地は世界遺産ではあるのですが、なかなか人が訪れる機会が少ない場所でして、しかもブナ林の美しい部分というのが相当な山奥ですので、そもそも道が無くて、沢沿いを歩きながら中に入っていかないと、いかにも世界遺産だなという風景に出会うのには時間がかかるので、観光による地域振興という面では、屋久島とか知床とか、同じような世界自然遺産に比べると難しい部分があります。ただ、世界遺産に指定されると、開発は規制がかかりますので、その代わりとして、地元は観光客がたくさん来ることを望んでいることが多いと思います。もちろん世界遺産を適切に守りながら、人も訪れてくれて、地元も活性化するというのが理想としては美しい姿かなと思いますが、そういった中で、エコツーリズム、最近よく話で聞くことがあると思いますけど、そういったものを白神山地でも推進してきておりました。地元の方も頑張っていらっしゃるのですが、私が行った時は、ちょうど地元がエコツーリズムで意見が割れてしまって、全く動かなくなってしまった状況でして、推進が非常に難しく、また、私の頭では正しいと思っている、こちらがそういう論理で物事が動くのが当然だろうと思っていることが、そうではなかったりして、そういった部分がストレスでもあり、苦労でもあり、それがやりがいに繋がることもあるのですが、地方での地元に密着した行政というのは、そういったところが一番難しいところだなと思いました。逆にそれだけ地元に密着しているからこそ、地元の方の要望ですとか、考え方ですとか、行政がそういった方の生活にすぐに影響を与えるという意味で、わかりやすいというか、これをしたら地元の方が潤うよとか、行政サービスのわかりやすさを凄く感じることができたと思います。一番ストレスだったのは、私は関東の住宅地みたいなところで育ったのですが、地域性がかなり異なるため、一度中に入れてしまえば、かなり仲良くなる事ができるのですけれども、そうなるまでの、慣れるまでの間、ストレスを感じることがありました。ストレス解消法は、私は元々アウトドアが趣味でして、山に行ったりすることが大好きなのですが、出張で白神山地の中を歩くことができ、これが一番のストレス解消法でして、今日は天気がよいから巡視に行こうといって山に入り、一日歩いて帰ってくる事ができた時は非常に楽しかったです。あとは、冬になったら仕事の帰りに、青森県はスキー場がたくさんあるので、スキー場に寄って、スキーをしてから帰るとか、凄く自然に近いところでの生活だったので、ストレス解消法はたくさんありました。
  逆に東京での仕事というのは、同じような考え方で仕事をされている方が多いので、議論がかみ合わないということはなくて、さすが広い視野で見ていらっしゃるなどと上司に感動したりする事の方が多いです。今の環境影響審査室での仕事を紹介させて頂きますと、今の仕事はそういった面では人間付き合いが難しいとか、そういったストレスはないのですが、スピード感をもって仕事をするということと、拘束時間が長くて、国会質問が当たった場合など、その日の夕方になって決まってから夜中明け方まで作業が入ったりとか、そのような自分では予想がつかない事が多く、そういった面での体調管理とか、そういった部分のストレス、運動不足や寝不足になったりという面で難しい事があるのかなと思います。ストレス解消法としては、週末には自然の多いところに出かけるなどしてストレスを解消しています。あと、あまりに運動不足なので、今25階が職場なのですが、時々階段で1階まで降りたり、どうにか運動できないかと思って、色々と試行錯誤しながらやっております。
(司 会)   ありがとうございました。みなさま、中央のご経験とか、地方のご経験とか本当に様々な経験をされているということがおわかりいただけたと思います。ただ、みなさまの話の中で、睡眠不足とか、国会の対応がということがでてきて、やりがいのある仕事と同時に、かなりハードな仕事でもあるのかなとお見受けしました。やはり気になるのは、私生活とのバランス、ワーク・ライフ・バランスと今は言っておりますが、私生活とか、例えば子どもができた時に、育児とのバランスはどうなのかなというところも気になるところなのかと思いまして、その点について、今どのようにワーク・ライフ・バランスを維持することの工夫とか、仕事と家庭を両立させていくモチベーションにはどういったものがあるのかなど、そういった観点を是非お聞かせいただければと思います。
(警察庁)   仕事と家庭を両立させるためにしている工夫と言えるかどうかは分かりませんが、メンタル面では、基本スタンスとして、仕事の問題についても家庭の問題についても、あまり思い悩まないようにしています。これは無責任ということではなくて、自分でできる限りの努力はするのですが、仕事にしても、1人だけで仕事をしているわけではないですし、家庭にしても、1人だけで家庭を作っているわけではないので、適宜周囲に協力を求められるところとか、相談して何とか解決できることがあれば、どんどんそうすればいいのではないかということです。とは言っても、このようにあまり思い悩まないようにすると言い切れるようになるまでにはだいぶ時間がかかりました。仕事と家庭を両立させながら頑張っていくモチベーションということですが、両方楽しいからという一言に尽きると思います。仕事が充実していると家庭のことも頑張ろうと思えるし、家庭が充実していれば仕事も頑張ろうと思えます。
(国税庁)   復帰してからはあまり遅く帰宅することもないのですが、出産をする前は、夜遅くなることも多かったので、その時はどう工夫をしていたかというと、家事については平日はほとんどしないということを基本スタンスとしてやっていました。土日休んでいられれば、その日に全部掃除をして、洗濯もあまり毎日はせずというように、あまり家庭をストレスにしないようにやっていました。夫婦2人だけの時はそれでも良いのかなと思ってやっていたのですが、さすがに子どもができると、ほこりが溜まった部屋に置いておくわけにはいきませんので、ちょこちょことやっています。今のところは、子どもがまだ小さいということで、国税局の方に出させていただき、時間もそんなに遅くならずに帰らせてもらっています。夜の食事は、私は実家が近いので、子どもの分は母に作ってもらうということはありますが、朝ご飯を作るとか、家に帰ってからちょこっと埃をとるとかそういうことはやっています。家族、周囲との連携ということですが、私の夫は民間企業で働いており、共働きという人も周りにいないような会社なのですが、それでも一応早く帰れる日には早く帰ってきてくれて、家の事をやってくれたりしますので、そのように私が仕向けたというか、先輩女性職員の方に、そうやって夫を育てるものだと言われて、洗脳したというか、子どもを産むまでにそういった話をしていたので、結構協力をしてもらえています。私の場合は、実家の近くに住んでいますので、そちらからのサポートも受けながら、今は働けているという状況です。
  頑張っていくことのモチベーションというのは、私もそれほど根詰めて仕事をしていこうという気がない、と言うとやる気がないように思われるかもしれませんが、真面目に考えようと思えば、どんなことも考え詰められてしまうと思うので、そこはある程度のところで、引いて考えてみようかなという風に思っています。仕事も家庭もということを無理に考えずに、もしどうしても駄目だということになれば、仕事を諦めるということも視野に入れつつ、でも今は頑張ってやっていけており、それはそれでどうにか対応できればやっていこうかな、というくらいのモチベーションでやっているので、今のところそんなに生活については、ストレスは感じていません。
  職場のワーク・ライフ・バランスに関する意識は、女性職員はうちでも増えてきていますが、お子さんがいる先輩もそれほど多くはないですし、男性職員はほとんど育休も取っていないと思われるので、意識としてはそれほど高くないのかなと思います。ただ、今は外に出ていますけれども、私のような立場の人間が、霞が関に戻って働いていけば、周りの意識も変わるのではないかなと思いながら仕事をしています。あまりこういう話題については、根詰めずというか、真面目に考えずに、なるようになるというくらいで考えていければいいのかな、というのが私の考えです。
(経産省)   私も出産までは無定量に働くという感じだったのですが、その時は凄く仕事にのめり込んでしまって、のめり込んでしまうが故にストレスがすごくあったかなと、今振り返って思います。その時は、夜中からでも友達と飲みに行ったりなどして、何とかストレスを解消していました。結婚してすぐに子どもができたので、家事とのバランスを真剣に考えることもなく、すぐに育児とのバランスを考えることになったのですが、やはり育児をしながら仕事をするということは、それだけでストレスで、そこから色々なことをまあいいやと思えるようになるまでの復帰後一年くらいが、正直今までで一番辛かったかなという風に思います。先ほど思い悩まないという話がありましたが、本当にそれが一番で、現状が辛いと思う時は、際限なく辛く感じるのですが、結構気分を変えてみるとそうでもなかったりとか、子どもを産んで仕事を辞めさせられる人って山のようにいるのですが、公務員はそんなことでは辞めさせられたりしないし、やる気を見せていれば、チャンスはちゃんと与えられるし、フルに働いている時ほどチャンスが大きくなくても、それを掴むことはできるので、そう思うと、結構バランスも難しいことではないのかと感じています。あと、段々理解のある管理職が増えてきています。今いるところで、私が育休に入るのが2月で、公務員の人事異動は大体4月とか5月なので、下手したら後任が来るかどうかわからないという危機的な状態ですが、今の上司は、ちゃんと今あなたのやっている仕事はどれをどう割り振ると、管理職としてやるべき事をきちっとやってくださっています。最初に育休を取る時には、周囲は無理をしないでと口では言うけれど、仕事はどんどんふってきていたので、こういう人も段々出てきたのだなと思って、そういう良いことだけを頭に入れて、後任がこないかもしれないということは、あまり考えないようにして日々過ごしています。
(特許庁)   まず最初のワーク・ライフ・バランスの維持なのですが、私は実は育児時間という制度を利用していまして、2時間普通よりも短い勤務時間で働いています。朝1時間、夕方1時間短いという形の勤務なのですが、この2時間があればこそ、子どもとしっかり向き合うことができているし、育児の方でも満足感が得られることができているのではないかと思っています。その他の工夫としては、子どもってすぐに病気になったりして、休まざるを得ないことがたくさんあるのですが、そういう場合に備えて予め病後児保育だったり、ファミリーサポートセンターだったりとか、ベビーシッター会社だったりに登録しておくとか、後は、今日みたいに子どもが熱を出してもどうしても休めないというような時には、前もって自分の実家の母とかに、この日は空けておいて下さいということをお願いしておいたりして、いざという時には助けてもらえるような、そういった備えというものは怠らないようにしています。家事についてなのですが、出産する前からそうなのですが、できる限り機械化できるところは機械化しよう、手を抜こうという考え方をしていて、食器洗い機をいれるし、掃除も掃除ロボにやらせるし、というような生活をしているので、それほど大きな負担ではなかったです。ただ、やはり出産してから後は、子どもはそんなに外食とかできるわけではないので、毎日毎日ご飯を作らなければならないというところで、少し負担が増えたのかという気はしています。
  仕事と家庭を両立させながら頑張って行くことのモチベーションは、私の場合は就職する前から、結婚しても子どもを産んでも仕事は続けるものなのだろうなという考えがありました。実際に特許庁の職場に入ってからも、女性で結婚、出産ということだけを理由に辞めるということはほとんどないです。なので、年輩の先輩とかもたくさんいますし、そういう環境にあって、両立しないという選択肢はありませんでした。続けるのが当たり前という感じだったので、あまりこういうモチベーションがあってということではないのですが、強いて言うならば、自立していたい、自分で自分の事を養っていけるような手段というのは持っていたいということと、社会に対して少しでも貢献していられるというところがモチベーションになっているのかと思います。
  職場のワーク・ライフ・バランスに関して、お答えするのが難しいのですが、実は夫も同じ職場にいて、今審査から離れて国際関係の部署におります。そこの部署は、本当に毎日深夜まで残業しているし、休みもなかなか取りづらいし、海外出張も多くて、休日もいないことが多いというようなところで、彼を見ていると、ワーク・ライフ・バランスって何なんだろうと思うこともよくあるのですが、幸いなことに、私が今いる審査部というところでは、先ほども申し上げましたとおり、女性職員が上の方からいらっしゃるようなところで、両立に関しての理解は非常に高いと感じています。また、審査の仕事というのは基本的に1人で最初から最後までやる仕事ですので、例えば、この日は保育園の行事でお休みをしなくてはならないけれども、その分別の日に残業を少ししようとか、そういう仕事のペースを自分で作れるというところが非常に大きいと思います。多分他のみなさんが先ほどから仰っているような国会対応でとか、夕方に急に何かが決まって、明日までにやらなければならないとか、そういったことがあまりないということも、ワーク・ライフ・バランスがとれたという点では非常に大きいと思っています。
(環境省)   今のみなさま方のお話、私にとってもすごく勉強になりました。先輩方のお話を聞いて、私も今まで色々悩みながら、あまり悩みすぎない方が良いのだろうなと思いつつやってきましたけれど、みんな同じような道を通るのだなという風に今感じております。私はまだ子どもを産んでいないので、基本的には子どものお迎えですとかそういったことがないので、楽というか、特にそんなにバランスを取らなければ難しいというような状況ではありません。ただ、そうはいっても、結婚した当初とかは、私も夫が同じ職場の人間ですが、夫がとても忙しい部署にいて、平日も夜中にならないと帰ってきませんし、休日もずっと出勤をしているような感じで、そうすると2人分の家事をできるだけやらないといけないということで、最初はかなり気張りまして、仕事もやっている上で、プラスアルファで、週末とか空いている時間にできるだけ家事をしようとしたところ、頑張りすぎたというか、思い詰めすぎたというか、ストレスがかかりすぎて、少し辛いなと感じる時期がありました。その後、2人で相談しながら、家事とかは機械化をしまして、食洗機を入れたり、一度にたくさん洗える洗濯機を買ってみたり、お掃除ロボは子供が生まれたら買おうかと思っているのですが、そういったことで、段々調整ができるようになってきました。そうしてみると、共働きで、子どもがいない状況は、かなり自由な時間が作れるようになりまして、最近は夫も少し仕事が落ち着いたので、2人で色々遊びに行ったりできる人生のうちで貴重な時間だと思い、たくさん旅行に行ったりして日々楽しんでおります。
  仕事と家庭を両立させながら頑張って行くことのモチベーションなのですが、私もそもそも結婚して出産したら仕事を辞めるということは考えていなくて、ここにいらっしゃる方みなさんは、学校とかでも、ジェンダーフリーとか女性もしっかり働いていくべきだとか、社会貢献したいよねというような教育を受けていらっしゃると思うのですが、私もそういう教育を受けておりまして、できるだけ社会の中の一員としての役目を頂きながら生きていきたいなと考えていますので、それが前提で、もしどうしても両立が厳しいという時には、その時に考えようという風に考えております。
  職場のワーク・ライフ・バランスに関する意識なのですが、今の職場は、かなり意識が高いのかなと思います。同じ職場の男性職員が、つい最近奥様がお子様を出産されて、上の子の幼稚園の送迎をするために、1時間ずらして出勤されているのですが、そういったことを男性職員ができたり、うちは課長を始め25人中9人が女性職員で、割と女性の割合が高く、既婚女性などもいて、管理職もいるということで、女性も家庭と仕事を両立させながらやっていくのが普通だというような職場です。ですので、男性職員も出勤時間をずらしたりということがやりやすかったのかなと思います。
(司 会)   ありがとうございます。育児の話が時々出てきまして、自分の話で大変恐縮なのですが、自分も男性職員には珍しく育児休業を取得しました。夫婦共働きで、第一子が生まれた直後に取得しました。2週間ちょっとだったのですが、24時間つきっきりで子育てをするのですが、最初はすごく四苦八苦しまして、妻からは子どもが1人増えた、手がかかる人が1人増えたと言われて、邪魔者扱いされた位なのですが、それも何日か経つと、非常に慣れて今度は楽しくなってきました。育児休業を取ったことで、育児がどれだけ大変で、妻を助けなければいけないという風に思ったということと、こんなに楽しいものなのだということがわかりました。男性は、育児って何だろう、何をすればいいのだろう、どうなるのだろうということがわからない人がたくさんいて、例えば、絶対長い間取らないといけないということではないので、1ヶ月とか1週間でもいいので、男性に育児休業をとってもらって、育児休業を経験してもらうということが、夫婦お互いの将来に渡っての長期間のワーク・ライフ・バランスを維持するために大事なことなのかと思います。ここまでは、今日みなさまにお伝えしようかと思っていたのですが、松井さんのお話のところで、夫を洗脳しろという話がありましたが、まさしく私だなと、うまく洗脳されたのかなという風に思ったところです。
 そろそろ時間が残り20分位なのですが、最後にみなさま方から、今日お越し下さった学生のみなさまにアドバイスということで、T種職員として求められる能力ですとか、自分だったらどのような人と働きたいか、自分が学生であったらこういう事をしていれば良かったかなどそういうものを含めて、メッセージを一言ずつお願いします。
(警察庁)   こういう人だったらうまく仕事ができるのではないかなと思う人については、敢えて言えば、一つは、相手の立場に立って物事が考えられる人でしょうか。我々国家公務員は国民のために働いています。国民のみなさんは当然年齢性別職業も違っており、考え方や主義主張が違う人もたくさんいます。政策を企画立案したりする場合には、世の中にはいろんな立場の人がいるということを踏まえて行うことが大切だと思います。また、警察には現場がありますので、警察庁の場合、全国津々浦々いつどこに転勤になるか分かりません。住んだこともなく友達も知り合いもいないところに、ぽんと送り出されても大丈夫な人、どのような環境でも元気に明るく順応できる人だったらよいのではないかと思います。
  どのような人と働きたいかについては、勉強熱心で考える力がある人。幅広く、色々なことの知識を吸収する好奇心を持っていて、更に吸収した知識を元に、合理的に論理的に考えられる人であれば、一緒に働きたいなと思います。
  学生の頃にしていれば良かったことは、勉強です。学生は、社会人と異なり、まとまった時間を作ることが比較的簡単にできます。旅行でも大学の勉強でも本を読むことでも音楽を聴くことでも美術館に行くことでも何でも良いのですが、いろいろなことに興味を持って、幅広く勉強していれば良かったかなと思います。
(国税庁)   私はたまたま毎年仕事が変わっているのですが、周囲の人の話を聞いても、2年、長くても3年でどんどん仕事が変わっていくということがありますし、出向や、現場があれば現場に行くという省庁があると思うので、そういう変化に対応できて、変化に対応した上で、仕事が変わった時に、すぐに知識を吸収できるというか、情報をキャッチアップできる人というのが、仕事をやれる人なのではないかと今思っています。あと、相手がいる話なので、霞が関で働いている場合でも、団体とかを持っていれば、業界の人達が相手になるでしょうし、国民が相手ですし、国会の話をすれば国会議員の先生が話の相手になるわけで、公務員って、直接的に話をする相手がいないと思っていても、意外と1対1で話したり、1対5で話したりする仕事が多く、そういう場合に、相手に対して自分の考えをきちんと説得できるというか、説明のできる人が必要なのではないかと思います。と言って、自分ができているわけではなく、特に今現場に出ているので、会社の人とかと話をすることもあるのですが、自分も日々きちんと相手に自分の考えを言えているのか、すごく不安な部分もあるのですが、そういうことができる人というのが、T種の職員としては必要なのではないかと思います。
  どのような人と仕事がしたいかというと、そういう人と仕事をすると、とても楽なのかと思うのですが、あとは、後輩としてどのような人と仕事がしたいかというと、とにかく元気で自分の意見をきちんと言ってくれるような人が良いのではないかと思います。
  学生の時に何をしたら良いかということは、私ももっと勉強しておけば良かったということは思っています。ただ、勉強というのも、私の頃よりもみなさん大学でたくさん勉強しなければならなくなっているのかと思いますが、それはしっかりした方が良いと思います。私は法学部出身で法律職で入ったのですが、入ってから法律について聞かれて詰まってしまうことがあったので、専門性をもって入ってくるからには、専門的なものはきちんと勉強しておけば良かったと入庁後に思いました。あとは、他の知識を吸収してくることがよいと思います。読書などでも今興味がないことでも、色々なことを吸収して、時間がある今のうちにしかできないことをやってくると、その後の人生がよくなるのではないかと思います。
(経産省)   T種職員として求められる資質は、多分どの省庁にも共通すると思うのですが、下手すると2年目くらいからマネジメント的な仕事が発生してきます。その時に、口では丁重に言うのですが、事実上、誰かに仕事をしてもらうための指示を出すということをやらないといけないので、そういうことができるように、新しい課に来たら、業務の流れや誰がどのような仕事をしているのかなどをすぐに理解できるなど、そういう能力はかなり早い段階から求められます。まとめる能力とか、人を説得する能力とか、そういう能力を若い時から求められるということが、T種職員の特徴なのかと思います。
  どのような人と仕事をしたいかというと、全体的に見るとT種の人はすごく少なくて、T種だからどうということは特になく、一緒に働く人全員に求めたいことなのですが、年齢問わず、向上心があって、自分の力で考えて、付加価値をつけようとする人であることが必要かと思います。特に若い時は、素直だと思われる方が得で、若い時に色々なことを注意されたり怒られたりした方が伸びると思います。学生さんと面接することもあるのですが、もちろんやる気がある人と会うことが多いのですが、敢えて経済産業省を目指す人にということで言えば、色々なことに興味を持てる人の方が良いかと思います。もともと環境をやりたいとか通商交渉をやりたいとか特許をやりたいとか、それまでの経験に応じて興味ある分野をもってこられることが多いのですが、必ずそこに10年いられるとは限らなくて、今興味があるのはもちろん良いことですが、もし違う仕事をやらないといけないとなった時に、柔軟に対応できるかということがみえたら、何となくそういった子が良いかなと思うことがあります。
  最後に、学生の時は、勉強しておけば良かったと、何度も思ったのですが、留学中2年間ロースクールに通い、帰国してから出産後に3年間法律をやっていたのですが、そこまでやってようやく一つのところについて論文がまともに書けるかなという感じだったので、それでも全然大学の先生になれるレベルには到達しないのですが、勉強というのはそういうもので、仕事も極めていくのは難しいです。ただ、留学などするチャンスはあるかと思うので、そういう時に、どうやって物事を調べたらいいかとか、どういう風に自分の問題意識を深くしていったら良いかなどを勉強の側面からする訓練を最低限しておいた方が良いかと思います。自分の今の専門と同じところに留学するとは限らないので、基本的な能力としてそういうことは必要かと思います。あとは、今私が経済産業省にいるからかもしれませんが、色々な方面に友達がいると仕事が楽になって、実際に経済産業省の人間として企業の人に面と向かって聞けないようなことも、友達には聞けたりします。今のうちにざっくばらんに色々なことを話せる友達を作っておくことは良いことなのだと思います。
(特許庁)   T種職員に求められる資質や能力は、私の場合は他省庁に出向した経験もなく、基本的に審査をやっているので、他省庁でT種の人がどのような仕事をされているのかということは、多分学生のみなさんと同じくらいの知識しかないと思います。ですから、特許庁で審査官として勤めるT種職員だったらどのような能力が必要なのかという観点でお話しさせてもらいますと、まず、特許の審査というのは、すごく地道な作業で、自分が主役になることは絶対になくて、主役はあくまでも出願人の方、その技術というところがありますので、地道な仕事です。それをずっと続けていけるだけの忍耐強さ、粘り強さ、そういうものは必要なのではないかと思います。あとは、特許庁の審査官であったとしても、出願人に自分の考えを伝える、出願側の考えを聞く、という能力は非常に大事になってきますので、そういう意味でのコミュニケーション能力は非常に大事なのではないかと思っています。
  どのような同僚、部下と働きたいかということですが、まず一つは誠実な人です。やはり真面目な人が良いと思います。あとは、柔軟な人、常に前向きでいられるような人です。職場に入ると今までイメージしてきたことと違って、こんなはずじゃなかったということが必ずあると思うので、そういう時に、その状況を受け止めて、自分なりに改善できるところがあれば、どう改善していくのかとか、前向きに考えていける人の方が、一緒に仕事をしていて多分やりやすいと思いますし、その人の仕事、人生もハッピーなのではないかと思います。
  最後に学生時代にやっておけば良かったことは、他のみなさんと一緒ですけれども、もう少し幅広く勉強しておけば良かったかなと思うことはあります。例えば、必修必須の単位を揃えたら他はそこそこで良いという感じで思っていたのですが、そうではなくて、せっかく機会があるのですから、卒業に必要な単位かどうか関わらず、色々なことを勉強しておけば良かったかなと思います。もう一つ思っているのは、語学です。特許の世界で言いますと、世界中のあらゆる文献を読まなければいけませんので、英語はもちろん色々な文言にあたるので、そういう時に、語学をもう少し勉強しておけば良かったかなと思うことが多々あります。
(環境省)   私もこれまでみなさんが仰っていた柔軟性や向上心ですとか素直さですとか、そういった面はすごく重要だと思うのですが、環境省で感じたことで一つ特徴的だと思うことは、環境というのは最近結構何にでもつけられる言葉で、いわばブームみたいなもので、何でも環境をつければいいような風潮があるようなのですが、環境省の仕事は、そういったもの全てに関わることができることだと思います。そうすると色々な主体の方が、色々な目的を持って、環境保全とかそういった話をしてきた時に、例えばある開発事業があったら、開発主体がいて、でもそれを阻止したい・守りたい保護団体の方がいて、地元の住民の方がいて、色々な主体の色々な考え方を背景にもった方がいらっしゃるのですが、そういった方々の調整、コーディネートをするような役割を求められる事が多いのかなと思います。それは現場だと良くある話なのですが、霞が関の本省のほうでも、どこの省庁もチームで仕事をしているので、色々な背景を持った人達とうまく調整をしながらチームで働いていけることが重要かと思います。よくジェネラリストとかスペシャリストといいますが、うちの職場ですと植物とか動物のマニアックな知識を持っている人もいますし、広く知識を持っていらっしゃる方もいますし、色々な方がいて良いのかと思います。そういう方とコミュニケーションをとってやっていけたら良いのかと思います。
  どのような部下や同僚と働きたいかということですが、逆に上司だったらどうかと思うと、優しい上司だけじゃなくて、怖い上司もいた方が良いとか、色々な人がいて良いのかと思いますので、部下も色々な人がいて良いのだと思うのですが、私が一緒に働きたいような部下ですと、みなさまと同じように、素直で前向きに、そして柔軟に考えられる人が素晴らしいのではないかと思います。
  学生の時に何をしていれば良かったのかという点については、私は元々ものぐさな方でして、何でも最短距離を走りたがる質で、言い方が悪いのですが、余計なことをあまりしてこなかったので、自分の専門のところは多少勉強はしてきたのですが、そうではない部分の、いわば遊びとかそういう部分も含めて色々な経験値が足りないなと思うことが多いです。学生の時には羽目を外すことも含めて、もうちょっと色々遊んでおけばよかったかなと思います。
(司 会)   ありがとうございました。最後の学生時代自分が何をしておけば良かったかということは、急にみなさんに質問したので、率直なアドバイスとしてお話しいただけたのかと思います。今日は非常に参考になる興味深い話を聞かせていただきました。学生のみなさまには、今日のパネリストの方々の仕事への熱い思いや人間性が伝わったのではないかと思います。パネルディスカッションはこれで終了となりますが、この後個別にお話しを聞く時間もとってありますので、そちらにも是非ご参加いただければと思います。
  あと少し時間がありますが、5人全員が揃うのはこの場だけですので、全員に対して質問してみたい方は、挙手をお願いします。
(参加者)   本日は貴重なお話しをありがとうございました。それぞれみなさん、今いられる省庁の事をある程度下調べされて、面接を受けたりされたと思うのですが、実際にその省庁に入ってみて、砕けた言い方をすると、こんな仕事を私たちがやるのといったような予想外の仕事がありましたら、そのことに対しての印象などお聞かせいただけたらと思います。
(警察庁)   官庁訪問ではいくつかの省庁をまわりまして、そんなに詳しく調べた上で訪問していたわけではありませんが、パンフレットを読むくらいの勉強はしていました。警察庁については、官庁訪問等を通じて治安を軸に、少年犯罪とか環境犯罪とか経済犯罪とか幅広く色々な分野の仕事ができて面白そうだなと思って入庁したので、入った後に、えっこんな事も、ということは今のところあまりありません。しいて言えば、当初、私は警察庁に国家公務員のT種試験を受けて入庁するという認識でいましたので、内定時に警察官採用だと聞かされたときは、えっ私って警察官になったの、と思ったことがあります。これは冗談ですが。
(国税庁)   私の場合も官庁訪問したり、説明会をまわってみたりして色々なところの話を聞いて、国税庁の話も少し聞いてはいたのですが、予想外だったということは、国際的な仕事は多少はあるのだろうなとは思っていましたが、今トピックになってきているのは、あまり良くない言葉で言えば、外国との税の取り合いのようなことで、多国籍企業が多く、そこでどちらの国で税金を多く払った方が良いのかというような話があった時、直接国税庁の職員が外国の国税当局と交渉をする(移転価格の相互協議など)ので、そういう仕事もあるのかいうことが意外でした。あとはパンフレットや説明で聞いていたイメージどおりの仕事をしているということが私の印象です。
(経産省)   私も学生の時に、秋にある説明会に出たりとか、官庁訪問の時にも、ものすごい人数の人に会った上で内定が出るので、1年生の時にどんなにきついかといったような業務の内容についてはわかった上で入省しました。敢えて言えば、基本的に説明をされるのは、政策のフロント部分の仕事ですが、役所の中には当然管理部門があって、管理部門に自分が行くこともあり得るので、会計課で完全に管理部門の仕事をしていた時は、組織の中には必要な仕事とわかりつつも、こういった仕事は最初にイメージしていた仕事と違うなと少し思いました。
(特許庁)   私の場合は、当時の薬学区分で受けているのですが、薬学区分での採用がある省庁が非常に少なく、選択肢が元々少ないところで、興味が持てそうなところということで、特許庁一本でいきました。ですから、それなりに調べましたし、正式な面接の前に、そこに勤めている大学の先輩などに会ってお話しを聞いたりすることがあったので、仕事の審査業務ということに関しては、あまり予想外ということはありませんでした。ただ、特許庁の審査部というところは、T種の技術系の職員の集まりで、純粋に部下、管理職というと、すごく括りが大きくて、私自身、今部下がいて、何か仕事を発注しているというわけではなくて、一人一人が独立してやっているという職場になります。だからこそなのかもしれないのですが、コピー取りからコップ洗いから、部署の異動があれば、箱詰めして荷物を運んだりということも、全部個人がやる仕事になっています。それが肉体労働系というのか、イメージしていた事と違うのかなと思ったことはあります。
(環境省)   私の場合も、農学Vで採用されているのですが、採用は、環境省、林野庁、国土交通省の造園系だけで、それほど想定外のところはなかったです。環境省の仕事についても、そもそも農学V・技官で入ると、自然環境保全の仕事が中心になり、そこは事前に勉強していた部分と同じ分野ですので、特に予想外ということはあまりなかったです。ただ、自然系技官の採用ですと、現地に必ず出て、自然保護官ということで仕事をするのですが、自然保護官というのは、現地をもっと歩いて、自然の中にいつもいるのかなと思っていたら、決裁だの書類だの会議だので、自然を守るための人間との調整と、書類の作成などの事務が予想よりも多いなと思いました。
(司 会)   ありがとうございました。引き続き意見交換にもご参加下さい。今日はパネリストのみなさまありがとうございました。

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