派 遣 研 修

行政の国際化、複雑・高度化の進展に対応し得る人材を育成するために、
人事院は、派遣研修制度を運営しています。
   行政官長期在外研究員制度

行政の国際化が進展する中で、国際的視野を持ち、複雑・多様化する国際環境に的確に対応できる行政官の育成を目的に、
各府省の行政官を2年間諸外国の大学院に派遣し、研究に従事させる制度です。


【対象職員】在職期間が10年未満             【派 遣 先】外国の大学院
【期  間】2年(博士課程への進学の場合は延長可)   【人  員】143人(平成28年度派遣)


【派遣までの流れ】
       
 派遣2年度前       各府省における選抜   人事院への推薦 
 派遣1年度前  語学審査
 研究計画審査・人物審査
 派遣予定者決定   大学院出願    
 派遣年度  入学許可   出発      

   行政官短期在外研究員制度

諸外国において専門的な知識、技能等を習得させることにより、
増大する国際的業務に適切かつ迅速に対処し得る人材の育成を目的に、
各府省の行政官を6か月間又は1年間、諸外国の政府機関等に派遣し、研究に従事させる制度です。

【対象職員】在職期間が6年以上             【派 遣 先】外国の政府機関・国際機関等
【期  間】6か月又は1年               【人  員】26人(平成28年度派遣)


 行政官国内研究員制度

複雑かつ高度化する行政に対応し得る、専門的な知識、技能等を有する行政官の育成を目的に、
各府省の行政官を国内の大学院等に派遣し、研究に従事させる制度です。

〈修士課程コース〉
【対象職員】在職期間が2年以上18年未満         【派 遣 先】国内の大学院の修士課程
【期  間】1年又は2年                【人  員】12人(平成28年度新規派遣)


〈博士課程コース〉
【対象職員】在職期間が2年以上25年未満         【派 遣 先】国内の大学院の博士課程
【期  間】3年以内                  【人  員】1人(平成28年度新規派遣)
 留学レポート紹介(行政官長期在外研究員制度)
【レポート1 経済産業省 竹中謙正】   


「中国」といえばみなさんどんな印象をお持ちでしょうか。
 経済産業省に入省以降、中国との業務も多々有り、是非自分の目で中国を見たいという思いから、中国への派遣を希望しました。北京大学にはアジア、欧米だけでなく、南米やアフリカからの留学生も多く、世界各国からの中国への注目の高さを知ることができます。
 
北京大学での授業は、宿題の多さに加え、プレゼンの機会も多く、予想以上に(?)ハードでしたが、教授、学生ともに自由闊達な議論を通じて純粋に学問を究めようという姿勢が印象的でした。
 また、中国は北京、上海といった大都市以外にも、シルクロードに繋がるエリア、少数民族の多い内陸部等、多様な社会、文化、歴史を持ち合わせています。
  今後、中国への派遣を希望する方には是非、一言では形容しがたい中国の多様な側面をとらえていただければと思います。

     
 
湖南省での夜景
 
クラスメートと北京にて
   雲南省のとある街にて
  【レポート2 厚生労働省 吉本雅世】

 厚生労働省に入省し、がん対策等の業務に携わった後、スウェーデンのカロリンスカ研究所への留学の機会を得ました。 当該研究所は、ストックホルムにある医科大学であり、私は公衆衛生学(疫学専攻)の修士課程に所属し、学習・研究を行いました。スウェーデンでは疫学研究が盛んに行われていると聞いたこと、また、英語で講義が行われていること等が当該課程を志望したきっかけです。同級生は約20名と少人数ながら、ヨーロッパ内、中国、米国等から学生が集まってきており、国際的な雰囲気でした。生活面では、約2年間の留学期間を緑に囲まれた寮で過ごし、週末にはストックホルムにある国立公園に出かける等、北欧の四季を自然に近い環境で過ごしたことは、思い出深い経験です。
 大学院で学んだことを今後の業務で活用していくとともに、日本を離れた経験から得たものを自身の職業生活に何らかの形で生かしていきたいと思っています。こうした留学の機会があるのも大きな魅力の一つだと思います。
 
             
 
 キャンパスにて
   
スウェーデンでの寮
     
【レポート3 財務省 加納康宗】

 財務省に入省し、平成25年の夏から2年間イギリスに留学する機会を得ました。1年目はロンドンにあるImperial College Londonのビジネススクール(MBA)に、2年目はオックスフォード大学の公共政策大学院(MPP)に留学しました。いずれのコースも同級生は6575名のサイズで、1年間で皆が知り合える環境でした。学生の出身国は多様で、特にオックスフォードの公共政策大学院には約50の国・地域から学生が集まっており、アフリカやイスラム圏、それに旧ソ連圏から来た同級生とも机を並べました。半分以上が行政・政治・調査活動の経験者でした。彼らから学ぶことは、先生からの学びに匹敵するものでした。
 生活面では、まずロンドンで日本とは勝手の異なる生活環境・習慣に慣れ、日頃から自炊する習慣も身に着けて日英の詳細な物価の違いも覚えました。よくイギリスは何でも高いと言われますし、多くの場合は事実ですが、そうでないモノやサービスも一部あります。その理由には、経済・社会・文化の違いがあると気づきましたが、こうした考察を今後の行政に活かしていきたいと思います。オックスフォードでは、独特のカレッジ文化や奨学金・寄付の構造から面白い経験や視野を得ました。そこで日本の大学が真似できるもの、できないものを考えることで、日本の教育を別の角度で考えることができました。

 このように、海外留学は、専攻の学問を修めるのに加え、生活面や文化面でも日本と比較しながら考える機会になります。今、就職先を検討されている学生の皆様は、国家公務員になるとこのような貴重な経験もできることを考慮に入れていただけると嬉しいです。

【レポート4 農林水産省 福田かおる】

ごはんを食べる時間が好きで、農林水産省に入り、2013年の夏から、アメリカのニューヨークにあるコロンビア大学国際関係・公共政策大学院に留学しました。
 世界約50ヶ国から集まった生徒。アメリカ政府の閉鎖、ロシアへの経済制裁をはじめ、翌日には起こった出来事を授業に取り入れる機動性。国際会議に即参加できる国連本部のそばという立地。インドやマラウィ共和国といった海外での実地学習。どれもとても刺激的で、たくさんのことを教えてもらった2年間でしたが、何よりも、全く異なる価値観を持った人たちと学び、働いたことで、自分の持っていた価値観が揺さぶられました。

 
インターンを行ったタイでは、山間部からの人口流出や少子化、所得向上といった日本と共通の課題があり、日本の農業・農産品だけではなく、新進気鋭の地域づくりの取組も、価値として提供できると思いを強くしました。
 
年間で学んだことを、「おいしいごはんの時間」にたくさん繋げていきたいです。
 

 
インド現地授業
 
ジャパン・トリップ
  
同級生の家でパーティ
 留学レポート紹介(行政官短期在外研究員制度)
【レポート1 国土交通省 白木雄志
 
 シンガポールは赤道付近に位置する島国で、東京23区ほどの面積に、550万人以上が暮らす都市国家です。建国後半世紀を過ぎ、1人あたりGDPは日本を追い越し、日本を含む世界各国の多くの企業がアジア大洋州地域の統括拠点を置いています。
 
私は、ここシンガポールで東南アジアに進出する日系企業やシンガポール政府・企業等と情報交換しながら、東南アジア諸国のインフラ開発に関する現状や課題、日本の経験やノウハウの貢献可能性などを調査しています。人口減少、少子高齢化などにより国内投資が減少する一方で、東南アジアを始めとした諸外国で膨大なインフラ需要が見込まれる中、この活動が少しでも、我が国インフラ産業の海外展開に寄与することができたら本望です。
 私が国土交通省に入省した約10年前とは比較にならないほど、国際関係業務
の比重は高まっています。しかし、鋭敏に時代や相手(国民、事業者、相手国政府等)のニーズをくみ取り、柔軟に政策を講じる国家公務員としての基本姿勢はいつの時代も変わりません。
最後に、シンガポールは中華、マレー、インドなど様々な民族が集うモザイク国家でもあり、週末は家族とともに、世界各国の料理を楽しんでいます。
 
セントーサ島のマーライオン
像とともに
 
セミナーでの講演の様子
 
シンガポール名物チリクラブ
 
【レポート2 人事院 松橋亜祉里
 
 「米国における柔軟な勤務時間・勤務形態」をテーマに、国務省人事局ワークライフ担当部署に週3日間、人事管理庁職員関係局給与・休暇担当部署に週2日間勤務し、OJT形式で調査・研究を行っています。
 彼らと一緒に仕事をしてみて感じたことは、生産性に対する高い意識と上司・部下にかかわらずお互いを尊重し、コミュニケーションを大切にする姿勢です。米国では個室での勤務が基本ですが、予想以上に職員同士や上司・部下間の報告・連絡が頻繁に行われており、大部屋主義の日本よりも密に情報共有されていると感じることが多々あります。こうした仕事の仕方を肌で感じられることはとても貴重な経験です。
  良い人材を採用し、その能力を最大限に発揮させ、長く組織に留めておくか。人事管理庁においても国務省においても人事担当部署の最大の関心事は常にそこにあります。「人は組織の要」とは万国共通なのだなと、米国政府機関での勤務を経験してあらためて感じます。
  
   
【レポート3 特許庁 森口忠紀

 平成28年1月より短期在外研究員として、パリにある経済協力開発機構(OECD)科学技術・イノベーション局科学技術政策課において、調査研究を行う機会をいただきました。
 欧州を取り巻く情勢や生活環境の違い等、フランスでの生活に不安もありましたが、今は充実した日々を送ることができています。平日は、先行研究等の調査や読み込み、データの収集や分析、報告資料作成、同僚との議論、会議への出席などで、あっという間に過ぎてしまいます。休日には、(細心の注意は払いつつ)外に繰り出し、この国がもつ歴史、文化、人々に心を動かされております。
 この文章を読まれている方の中には、国家公務員を就職先として考えている方もいらっしゃるかと思います。私自身、パリでこのような修行をするとは思ってもみませんでした。いろいろな機会があなたを待っています。是非とも扉をたたいてください。