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収入と支出の比較

定年後から人生を終えるまでの収入と支出について、年金だけで暮らす夫婦世帯をモデルに検討し、充実した生活を送るための資金の目安について考えてみましょう。

各人によって家族の構成、住宅ローンなどの有無、収入の途、健康状態などにより予想される定年後の家計状況は異なりますが、今から定年後に必要な生活費の大まかな額を把握して対応等を考えておくことが大切です。

(1) 夫婦の平均余命を把握する

まず、次に掲げる完全生命表(1歳毎)を使って夫婦それぞれの平均余命を把握します。

【厚生労働省「平成22年完全生命表」】
(単位:年)
年齢
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
31.42
30.52
29.63
28.74
27.86
26.98
26.12
25.26
24.42
23.58
22.75
37.52
36.58
35.65
34.72
33.79
32.86
31.94
31.02
30.10
29.19
28.28

定年(60歳)を迎えた退職国家公務員本人と配偶者の年齢から、各人の平均余命を算出し、今後夫婦2人で何年間、家計を維持しなければならないかを把握します。

本人(退職国家公務員)60歳の平均余命=本人の平均余命

本人60歳の年の配偶者の平均余命=配偶者の平均余命

<注>ここでは、本人の平均余命<配偶者の平均余命と仮定して考えることとします。
(2) 定年退職した時点での世帯の1か月当たりの実収入を予測する

本人と配偶者の1か月当たりの収入のことです。ここでは本人に対する年金と配偶者に対する年金だけを収入として想定してみます。

1か月当たりの本人の年金と配偶者の年金=1か月の実収入

(3) 定年退職した時点での世帯の1か月当たりの実支出を予測する

本人と配偶者の1か月当たりの消費支出(生活費)と非消費支出(税金と社会保険料)を合わせた支出のことです。

本人と配偶者の1か月当たりの実支出=1か月の実支出

(4) 定年後の定期的な収入の総計を推計する

<夫婦2人の期間 = 本人の平均余命>

1か月の実収入×12月×本人の平均余命=U円

<配偶者1人の期間 = 配偶者の平均余命−本人の平均余命>

(配偶者の年金月額+遺族年金月額)×配偶者1人の期間=V円

 

U円 + V円 = 定年後の定期的な収入

(5) 定年後の定期的な支出の総計を推計する

<夫婦2人の期間 = 本人の平均余命>

1か月の実支出×12月×本人の平均余命=X円

<配偶者1人の期間 = 配偶者の平均余命−本人の平均余命>

1か月の実支出×57.5%(注)×12月×(配偶者の平均余命−本人の平均余命)=Y円

(注) 総務省の「家計調査報告(平成23年調査結果)」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯)の実支出(消費支出+非消費支出)を100としたとき、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の実支出は57.5となっています。

 

X円 + Y円 = 定年後の定期的な支出

(6) 定年後の定期的な収入と支出の収支を推計する

「定年後の定期的な収入一定年後の定期的な支出」はどのくらいになったでしょうか。大幅な赤字になった方もいらっしゃるでしょう。ある調査では1,800万円くらいの不足になるという試算もあります。定年後、年金生活に入った夫婦がその生涯を終えるまでには、これくらいの額の赤字が見込まれるようです。

(7) この他に、定年後には非定期的な支出が見込まれる

毎月の定期的な支出の他に非定期的な支出として、住宅の補修、車の買換、旅行、冠婚葬祭、入院などの費用が見込まれます。これらの支出額は、個人の価値観や生活環境などによって大きく異なりますが、500万円から1,000万円くらい必要になるといわれています。

(8) 定年後の支出に対する収入の不足に如何にして対処するか

このように、夫婦2人が年金生活を送り、生活にある程度の余裕をもってそれぞれの平均余命を全うする場合には、「定期的な収入−(定期的な支出+非定期的な支出)」の計算式による不足額が生じることになります。

この不足への対処方法としては、家計状況によって異なりますが、例えば、1退職手当の取崩し、2預貯金の引出し、3個人年金の受給、4就業による賃金などが考えられます。これらのうち、退職手当の取崩し以外については、現役時代からの準備が必要です。

定年まで10年を切ったら、定年後の生活費について真剣に考え、その不足額に見合う収入を得るため具体的な準備に入る必要があるのではないでしょうか。

【老後の備え】(60歳以上)

平成23年度に内閣府が実施した「高齢者の経済生活に関する意識調査」(55歳以上の者を対象に調査)によると、60歳以上では現在の貯蓄額が老後の備えとして不足すると考えている人の割合は62.7%となっており、また、老後への備えとして必要な貯蓄額については、総数で「1,000万円ぐらい」と答えた人が20.0%と最も多かったという結果になっています。

「高齢者の経済生活に関する意識調査」
【老後への貯蓄額】
(総数)
(総数)
55〜59歳
60〜64歳
65〜69歳
70〜74歳
75〜79歳
80歳以上
2,466
371
584
483
435
343
250
(構成比)
%
%
%
%
%
%
100万円ぐらい
1.7%
0.5
0.7
1.2
2.3
1.7
5.6
200万円ぐらい
1.6%
0.5
0.7
1.2
2.5
2.9
2.8
300万円ぐらい
3.9%
1.9
2.6
2.7
4.8
6.4
7.6
500万円ぐらい
7.2%
5.9
5.3
7.7
10.1
8.5
6.0
700万円ぐらい
3.2%
2.7
2.1
3.7
3.4
4.1
3.6
1,000万円ぐらい
20.0%
21.0
19.3
20.7
23.2
17.5
16.0
2,000万円ぐらい
13.7%
16.7
16.4
14.1
11.5
11.7
8.4
3,000万円ぐらい
16.3%
21.3
20.5
17.4
15.2
9.6
8.0
5,000万円ぐらい
7.7%
9.2
9.8
8.1
5.5
6.1
5.6
5,000万円以上
7.8%
10.5
10.8
7.5
5.1
6.1
4.4
わからない
17.0%
9.7
11.8
15.7
16.3
25.4
32.0
参考