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公務外への自力再就職情報

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専門家のアドバイス(寄稿)
再就職活動の手順

民間企業への再就職活動を行うに当たっては、「自分が再就職をする目的の整理」、「公務で培ってきた価値観からの転換」、「企業が高齢者を採用する理由の理解」、「他人に依存しない行動力」などが求められます。そのためには、再就職への意欲と、プラス思考を持ち、これらに対応できる早急な意識改革が重要になってきます。

自力で行う再就職は容易ではありません。どこかに就職できるだろう、どこかに就職できればいい、という安易な気持ちでは、仮に再就職できたとしても不満が残ることになりかねません。

再就職活動には、十分な準備をして臨みます。次のような手順に従い、計画的に行うとよいでしょう。

【再就職活動の手順】

再就職の目標設定 ⇒ 必要なスキルアップ ⇒ 求人情報の収集 ⇒
能力・適性の自己分析
求職活動(履歴書・職務経歴書の提出→書類選考→面接) ⇒ 再就職先の決定

なお、再就職する際の心構えとして次のことが考えられます。

○ 民間企業の従業員に求められる意識

営利を目的として効率性が強く求められる民間企業では、論理よりも行動を重んじることがあります。公務における知識や経験を活かすことは重要ですが、公務の論理にこだわらず、企業の論理に沿った行動が求められる場合があることを意識し、柔軟に対応する必要があります。

○ 公務員の時とは異なる立場

公務員時代に、法令、府省、役職などをバックに仕事をしていたことはありませんか。管理者として判断業務や管理業務を行い、部下に仕事を命じていたかもしれません。しかし、民間企業ではこのようなバックはありませんから、自らが一従業員として率先して行動することが求められ、それを自覚しなければいけません。

○ 給料が大幅に下がることを覚悟する

高齢者の再就職先は中小企業や新興企業が多くなっているのが現状で、一般的に給料は大幅に下がります。企業規模や給料の額にこだわらず、柔軟な気持ちで行う再就職活動が、関門を広げることになります。

(1) 再就職の目標設定−−−何がしたいかを考える

自分は何のために再就職するのかが確立したら、次に目標を設定し、「何がしたいのか」を考え、自分が就きたい仕事、職種を選定します。その中で、優先するものは何か、どこまで妥協できるのかなど、再就職に向けて具体的な方向性を決めていきます。

《目標設定の際のポイント》
1 長年培ってきた経験が活かせるか

再就職先企業では、仕事のベテラン、即戦力として期待されています。そのためにも自分の職業能力や実務経験のレベルがどの程度であるかを認識し、「経験、知識を活かせる職場」を見つけることが、理想的な再就職先企業の選択につながります。

2 意識改革ができるか、自らの価値観が受け入れられるか

民間企業の従業員となるための意識改革が必要です。ただし、長年慣れ親しんだ公務員としての意識の中には、どうしても譲れない価値観があるかもしれません。そうした自らの価値観ができるだけ受け入れられるような目標を設定することも大切です。

3 勤務条件について考える

雇用形態(正社員・嘱託)、勤務時間(フルタイム、パートタイムなど勤務時間の軽減等)、休暇、給与、仕事内容、勤務地、雇用期間、社会保険、福利厚生、求められる資格・能力などの処遇面について、希望する条件を確認、整理します。承知・確認しておきたい勤務条件の例は次のとおりです。

ア  勤務時間:労基法では、原則として休憩時間を除き1週間につき40時間、1日につき8時間を超えられない。
有給休暇の付与日数:労基法では、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した社員に対して10労働日
給与:退職後の所得によっては、退職共済年金の支給が制限される場合があるので注意が必要です。また、諸手当の支給の有無については、勤務形態等によりまちまちです。
賞与、退職金の有無:採用時には、あいまいな企業が多い。
契約の更改:一般的には1年ごとが多い。
有期労働契約の期間の上限は原則3年 (例外として、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の場合は5年)
雇用年齢の上限:一般的には65歳が多い。
解雇予告の期限:労基法では30日前
企業側の都合による場合は、一般的には3か月前
企業による定期健康診断の受診の可否:一般的には「可」が多い。
など
4 遠距離通勤はなるべく避ける

若い頃に比べると気力や体力は確実に衰えていきます。ラッシュの電車での通勤に耐えられるかなど、健康面から通勤による体力や気力の消耗を避けることも必要です。

5 家族は納得しているか

再就職活動には家族の協力が不可欠です。家族の意見を聞き、よく話し合い、目標達成のための理解、協力を得ます。

(2) 能力・適性の自己分析−−−何ができるかを考える

自分を見つめ直さなくてもできるような易しい再就職はありません。これまでの公務員生活を振り返りながら自己分析を行うなど、自分の能力や適性を把握して現状を認識する必要があります。客観的に自分の職業能力を理解し、「何ができるのか」を明確にして、それがどこまで民間企業で通用するかを知り、自分の価値観に合った仕事を見つけるように努めます。

また、自分の能力や適性を客観的に知るには、ハローワーク等のインターネットの情報サイトなどを利用して、適性診断、職業興味検査、性格検査等をすることもできます。ハローワークの職業指導官や職業紹介事業者のキャリアカウンセラーなどから助言を受けるのもよいでしょう。自分では気付かなかった職業能力や職業適性が新たに判明することもあり、目標とする仕事の発見につながります。

《自己分析シートの作成》

仕事の上でこれまで何をしてきたか、何ができるかを確認し、自分を見つめ直すために、「自己分析シート」を作成するとよいでしょう。これは、自分自身の職業生活の棚卸しとして、これまでの実績を振り返り、自己を評価するものです。現在から過去にさかのぼると書きやすいようです。

自分を客観的に見つめ、職務遂行の実績の中から、得意な仕事をいくつか選択し、それらの中でも自分の創意工夫などにより大きな成果を上げ、同時にやりがいを感じた仕事を改めて認識することが、再就職活動を行うに当たって目標の設定につながります。

1 従事した職務を書き出す

まず、各部署での職務の範囲、担当した職務内容を、その背景(どのような上司、部下がいたか、職場環境や時代背景など特に記憶に残っていることなど)をもとに、時系列的に書いていきます。

2  どのような実績や成果を上げたか

次に、これらの公務での各職務の中で、どのような実績、成果、能力があがったか、得意な仕事や適性、自分の強み、職業人としての自分を簡潔明瞭に表現できるものは何か、どのような職務でやりがいを感じたかを具体的に書きます。

3 そのような結果はどのようにして出せたのか

さらに、公務能率の向上や職場環境の改善につながったものは何か。成果を上げるために工夫したり心掛けてきたことは何か、職務上貢献できたことは何か、それらに役立った知識やその成果を通じて身に付いた能力は何か、再就職先企業でどのように活かせるかなど、職務の上でアピールできることを書き出します。

自己分析シートの例
自己分析シートの例
(3) 必要なスキルアップ−−−職業能力を高める

何ができるか、企業にどんな貢献ができるかを認識し、できることのレベルアップに努めます。同時に、不得手なことやできないことは何かを考え、それをどう補うかの対策を立てることも必要です。

また、民間企業での未経験の業種や職種でも、自分の経験が生かせるのではないかという「キャリアの読み替え」をすることも必要です。

1 自己啓発や学習活動の成果を資格などの形で残す

自己啓発や学習活動は、再就職に役立つ「資格取得」という明確な目的意識も持って行います。資格や免許などを得ることができれば、それは公務における肩書きなどより有効な手段になります。また、資格取得のために学校等に通うことで、再就職に関する情報や仲間を得ることもできます。

2 資格だけ持っていても再就職には結びつかない

再就職では、資格や免許などに基づいた「実務経験」が重視されることがあります。その意味でも早い時期から公務でも活用できる資格などを取得し、実際に実務に反映させて経験を積んでおくとよいでしょう。

求人企業が考えている即戦力とは「実務経験に裏付けされた職業能力」です。

3 強みを伸ばし、弱みを克服する

公務での実務経験などから得た自分の職業能力の強みと弱み(注)を自覚し、強みについては更に伸ばすことによってよりアピールできるものとし、弱みについては弱みとならない程度にまで克服することも考えましょう。

(注)  「強みと弱み」:行動力、理解力、判断力、創造力、洞察力、調整力、統率力、交渉力、忍耐力、企画立案力、変化対応力、情報収集力、調査分析力、問題発見・解決力、人材育成力などの能力や、積極性、柔軟性、先見性、協調性、規律性などの適性
4 資格、実務経験、強みなどの新たな組合せを考えてみる

一つの資格、実務経験だけでなく、いくつかの資格や実務経験を組み合わせることによって、求人企業にとってより魅力のある人材になることができます。どのような能力、経験の組み合わせが望ましいかなども考慮に入れて、スキルアップを図ります。

5 新しいものから逃げない

再就職に当たっては、パソコンなどのOA機器の操作ができるかどうかを問われます。電子メールやインターネットはもちろん、パソコンの操作も、文章作成だけでなく、表計算程度の習得は不可欠となっています。日頃からOA機器の操作に慣れ親しんでおくことが大切です。

退職公務員の就業状況

平成26年度に人事院が実施した「平成25年度退職公務員生活状況調査」(平成25年度の60歳定年退職者4,574人を対象に調査)によると、退職後も働きたいと思った者が「働きたいと思った理由」は、「年金支給開始年齢が61歳に引き上げられることに伴い、無収入となる期間が生じないようにする」が76.2%と最も多く、続いて「生活費が必要」が69.4%、「健康に良い」が28.4%となっています。

調査時点において「仕事に就いている」者は78.3%(前回調査62.0%)となっており、前回調査から約16ポイントの増加となっています。

「仕事に就いている」者の就労先は、「国における再任用職員」が70.0%(前回調査56.6%)と大幅に増加し、「非常勤職員」1.9%(同11.1%)も含め、国の機関が71.9%(同67.7%)を占めています。

現在の就労先別に勤務形態を比較すると、国の機関(再任用)では約50%がフルタイム勤務であるのに対し、民間企業等では約77%の者がフルタイム勤務となっています。

再任用された職員の再任用後の官署は、「退職時と同じ官署」が73.8%と最も多く、「退職時の官署と同一都道府県内にある他の官署」、「退職時の官署と異なる都道府県内にある官署」はともに約13%となっています。

     

定年退職後、民間企業等で就労している者の現在の職種は、「事務系業務(管理職を含む。)」が29.5%(前回調査26.1%)と最も多く、続いて、「技術系業務(管理職を含む。)」が18.3%(同8.6%)等となっています。

     

なお、この調査の対象者は、退職共済年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられたことに伴い、60歳で定年退職しても、61歳の支給開始年齢まで、年金が支給されない期間が生じることとなった方々です。(前回調査は、平成21年度に60歳で定年退職をした一般職国家公務員を対象に実施)

再任用制度について

平成28年度の再任用予定者数は、次のとおりです。

【平成28年度再任用予定者数】
(単位:人)
再任用
の合計
フルタイム勤務
短時間勤務
新規
更新等
新規
更新等
給与法適用職員
11,346
3,596
1,981
1,615
7,750
1,840
5,910
行政執行法人職員
751
173
157
16
578
13
565
出典:再任用実施状況調査(内閣人事局・人事院)
(注) 平成28年5月現在の報告値であり、同年度中に再任用される予定の者が含まれる

(参考)定年退職者数(平成23年度〜平成27年度)
(単位:人)
           合計
27年度
26度
25年度
24年度
23年度
給与法適用職員
19,755
4,361
4,048
4,096
3,567
3,683
特定独法職員
2,885
190
170
847
850
828
出典:(23〜25年度)一般職の国家公務員の任用状況調査報告(人事院)
(26,27年度)再任用実施状況調査(内閣人事局・人事院)
(注) (独)国立病院機構については、非公務員化に伴い26年度定年退職者数の調査対象から除かれる。

再任用制度の概要については、パンフレット「国家公務員の再任用制度」又は人事院のホームページ(http://www.jinji.go.jp/shougai-so-go-joho/work/index.html)をご覧ください。