第2回(平成元年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
 島根さんは、多年にわたり、日本銀行券その他の有価証券類の偽造防止技術の研究、開発、各国銀行券の調査並びに鑑定業務に従事し、特にカラー・スキャナー等の高度な機器から手書きに至るまでの多様な方法による偽造品に対抗するため、複製に関する広範な知識と技術の習得を図るとともに、豊富な経験と不断の努力により、偽造防止技術の研究開発に努め、日本銀行券等の社会的信頼の確保に尽力していることが認められました。
 印刷局は、国民経済生活に欠かせない日本銀行券をはじめ国債、収入印紙、郵便切手等有価証券類の印刷及び用紙の製造並びに官報や、各省庁での1年間の仕事の内容を報告する白書等の政府刊行物の印刷、発行を行っています。島根さんは印刷局研究所の特別 研究部に所属し、日本銀行券や有価証券等の偽造防止技術の調査・研究及び真偽の鑑定を担当しており、社会的信用度が高く求められるこれら製品は、たとえ僅か1枚の偽造品も許されないため、島根さんの任務は厳しく、地道な研究の積み重ねが必要です。
 島根さんが、今までに仕事の上で苦労されたのは、鑑定業務に当たって、偽造かどうかを依頼してきた先方に分かり易いようにするため、証拠物件としての写 真を付けることです。普通の撮影では人間の目で見たものと全く同じような写 真を作るということが難しく、島根さんは、「偽造物によって照明方法、写 真感材、処理方法等を考えながら目視と同等の写真が撮れるまで、途中何度も失敗しましたが、お陰で今では趣味の写 真にもその撮影技術は生かせます」と笑っておられました。また、「年賀葉書抽選番号の一部が焼き抜かれ、その鑑定では番号を復元するのに苦慮しましたが、僅かに残された書体の一部をもとに番号を再現し、依頼先の要請に応えられたことを毎年正月が来ると思い出します」と語っておられます。
 なお、偽造防止技術の開発や鑑定結果は、秘密事項で公表できないため、広く国民の皆様に評価されることは少ないのですが、「今回の受賞は、私一人のものではなく、創立80年に及ぶ研究所の伝統と技術に対するものであると考えており、これからも縁の下の力持ちとして仕事を続け、世界に誇る日本銀行券等の製造に微力を尽くしていきたい」と抱負を語っておられました。

島根 明 
大蔵省

 埼玉県出身。昭和27年に大蔵省印刷局市ヶ谷工場(現在は虎の門工場)に採用され、昭和29年から2年間印刷局教習所で修習後、研究所に配属され、以来33年間余り一貫して日本銀行券等の偽造防止技術の研究、開発、鑑定業務に従事。現在は研究所特別 研究部研究補佐官。56歳。
 
 
 
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