第4回(平成3年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「北の航空路の目として」
 函館北部の横津岳(1167メートル)山上に設置された航空路監視レーダー施設において、交替制による24時間の管理業務に従事し、特に冬期においては、寒冷積雪、強風という厳しい自然環境下にもかかわらず、日夜、無線関係施設の保守管理に努め、航空路の北の目として、航空交通 の安全の確保に貢献したことが認められました。
 

運輸省東京航空局函館航空路監視レーダー事務所
【業務内容】
 函館航空路監視レーダー事務所は、高速大量 輸送時代の到来に呼応して航空機の安全運行と定時性の確保のため、レーダーを主体とした管制方式への早急な移行を目途に策定された航空路監視レーダー網の一環として、昭和52年1月に発足した。
 横津岳山頂のレーダーサイトと同事務所とはレーダーマイクロウェーブ回線により結ばれており、北海道と本州を結ぶ幹線航空路及び道内の航空路を航行する航空機の動態を常に監視するとともに、その情報を札幌航空交通 管制部に間断なく提供し、航空機のより一層の安全運行の確保に努めている。
【代表者】 事務所長 長島 康久
【職員数】 24名(うち航空管制技術官20名)
 
 一見、自由に空を飛んでいるように見える航空機も、実は地上に設置された無線施設により形成されたルートを飛行しており、その間、航空管制官はレーダー情報により航空機の位 置や高度を確認し、状況に応じた的確な指示を与えています。この航空機の位 置や高度等の情報を正確かつ確実に提供しているのが航空路監視レーダーです。
 横津岳山頂に設置されているレーダー等管制施設は、レーダーの局舎、対空送信所、対空受信所と各局舎が数キロメートルにわたって散在しています。航空管制技術官を中心に、職員はこれらの施設の予防保守業務に従事していますが、昼間は航空機の運行が多いため必然的に重要な保守業務は真夜中に行われています。
 作業は高電圧のものや回転する巨大レーダーアンテナが対象なので、危険防止のため職員間でダブルチェックを徹底させ、安全確保に努めています。
 山上のため、暴風雨、落雷、冬期の着氷雪等厳しい自然環境に起因する不可抗力な障害も発生しやすく、一旦障害が発生した際は一刻を争う迅速な対応がせまられますが、多くは自然との戦いであり、特に、ブリザードの中での屋外作業などは時として人命にかかわるので、職員の旺盛な使命感とチームワークの良さが作業するための絶対条件になります。
 冬期は3泊4日(天候によってはそれ以上)の山篭もりとなります。生活用水はすべて下より運搬していますが、冬期の運搬はより困難なので極端な節水が求められます。
 積雪時における移動手段には雪上車を利用しており、吹雪等で視界が悪くなったときの雪上車の誘導標としてスノーポールを5メートル間隔で設置していますが、以前はその間隔が大きかったために、職員の身体にロープを巻き付けて吹雪の中を歩行してポールを探しながら雪上車を誘導するというような苦労もありました。
 また、レーダーアンテナの導波管(レーダー電波を通す金属管)のガス漏洩検査に使用している石けん水が凍結してしまい苦労するなど、冬場における苦労話はつきません。
 しかし、好天の日は、北に羊蹄山、駒ヶ岳を、南には津軽海峡を隔てて下北半島まで雄大な眺めを心ゆくまで展望できます。また、夏には一面 のニッコウキスゲなど、群生する植物は職員を大いに楽しませてくれます。キタキツネも生息し、熊の出没騒ぎも時折ありますが、「この素晴らしい自然の中に常に身を置くことができるのは、当所職員の特権だと思っています」。
 平成4年度には航空路監視レーダーは新機材に更新され、その探査半径も従来の370から460キロメートルに拡張されます。これにより、北海道のほか東北、北日本海の洋上管制にも利用されるようになり、一層の安全性及び効率化が図られます。
 航空輸送は、国民生活の時間価値の上昇に伴い、その必要性が急増しています。事務所の業務は、航空管制官にとっても、航空機のパイロットにとっても、目であり、耳であり、口です。安全と効率の向上を図り、社会的要請に応じるため、「職員一同厳しい環境下ではありますが、総裁賞の受賞を励みとして、更に職員一体となって業務に取り組んでいきたい」と事務所長は穏やかななかにも決意を語っておられました。
 

厳冬期のレーダーサイトと樹氷原を行く雪上車
 

レーダーアンテナの空中線点検
 
 
 
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