第4回(平成3年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「がんの早期制圧を願いつつ」
 30年余の長きにわたり、診療放射線技師として、一貫して放射線による発がん、がん治療等の研究のため、マウスから細菌まで、大きさ、形状等の異なる動物への照射実験業務を行う傍ら、照射装置の開発及び改良にも努め、放射線によるがんの最適治療法の条件を探る上で貢献してきたことが認められました。
 
長澤 志保子 
科学技術庁

 東京都出身。昭和35年4月千葉大学医学部に採用され、同36年4月に科学技術庁放射線医学総合研究所に転任して以来、診療放射線技師として放射線照射実験業務に従事。夫と1男1女の4人家族。趣味は、バレーボール、テニス、書道、演劇。55歳。
 

 放射線医学総合研究所では、放射線による人体の障害、予防、診断、治療等に関する調査研究等を行っています。
 放射線は人類にとって大変役に立つ反面、有害な作用があり、放射線の細胞致死作用は、がん放射線治療に広く活用されている一方、原爆被害者にみるようにがんや白血病をも多発させています。
 長澤さんは、診療放射線技師として、放射線の人に対する危険度を得るため、また、がんに対する最適治療法の条件を探るために、一つ一つの照射条件に対して最善を尽くし、毎日地道に照射実験業務に従事しています。
 長澤さんが医療関係の仕事を望んだのは、妹を白血病で亡くし悲しんでいた両親のためにも「がん治療に少しでも役立ちたい」と考えたからです。そして、肺がんの治療でコバルト照射を受けながら、「少しでも回復している間にもっと良い薬や治療法が見つかるかもしれないから・・・」と頑張っていた患者さんのためにも、少しでも役に立ちたいと、放射線発生装置、放射性同位 元素照射装置を用い、マウス、ラット、細菌等、大きさ形状の異なる動物への全身照射をはじめ、特定臓器及び腫瘍などへの精度の高い均一部分照射業務に従事し、がんの制圧に頑張っています。
 危険な放射線の照射実験業務の安全対策には常に最善の注意をはらっているのはもちろんのことですが、装置が故障したときの修理や応急措置の対応等、常に神経の使いどおしで、しかも1回1回の照射が真剣勝負の仕事です。
 また、この生物照射実験で忘れてならないことは、年間2万匹ものマウス、ラット等の尊い命を犠牲にしていることです。長澤さんは、常にこれらの尊い命を1匹たりとて無駄 に扱うことのないよう、全神経を集中して、完璧なデータが得られることを念頭に照射実験に取り組んでいます。そのため、今回の受賞について、研究所にある実験動物慰霊碑の前で手を合わせながら報告をされています。
 今回の受賞に当たり、「最高に嬉しいことは、私達が携わっている放射線照射という仕事に対して、大きな光を差し入れてくださったことで、これを機にさらにがん治療研究のための礎として微力をつくしていきたい」と語っておられました。

 
 
 
 
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