第4回(平成3年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「より高精度な観測機器をめざして」
 37年の長きにわたり、一貫して地球物理学的観測に必要な機器から、地震予知に必要な機器まで範囲の広い精密測量 機器の製作、開発業務に従事し、高精度の地図の作成及び地震予知事業等に貢献してきたことが認められました。
 
中村 実 
国土地理院

 千葉県出身。昭和29年12月に建設省地理調査所に採用されて以来、一貫して高度の専門的知識を必要とする精密測地測量 機器の開発、改良業務に従事。国土地理院が目黒から筑波に移転後、単身生活。妻と1男1女の4人家族。趣味は、囲碁、将棋、ハイキング。60歳。
 

 国土地理院では、我が国の測量、地図作成の中枢機関として指導的役割を果 たすため、測量事業、研究開発等を行っています。
 中村さんは、測量 事業に欠かせない精密測地測量機器を、自ら研究、創意工夫をこらしながら、製作、修理する一方、イギリス製験潮儀を欠測率の少ない国土地理院型験潮儀に改良する等、高精度、効率化のための開発、改良を行っています。
 測地測量機器の製作は、ほとんどが手作業で、根気のいる仕事であり、しかも複雑な機器を製作するときの許容精度は2/100ミリという高精度が要求されています。そして、ほんの僅かの誤りがあってもまったく作動しないため、常に最善の注意をはらって製作に当たっています。
 測地測量機器の製作を依頼されたとき、「その人がどういうものを欲しいのかをよく理解し、自分で創意工夫しながら設計図を画くということから始めるので、たえず責任を感じながら作業をしております」と、常に相手の身になって開発、製作に努められ、その結果 高精度の値が出たときは、「ほっとした気持ちで胸をなでおろし、感無量 で身体全体が一杯になり、心から晴ればれとした気持ちになります」と語っておられます。
 国土地理院の験潮場は全国23箇所に設置されていますが、昭和60年12月25日、青森県浅虫の験潮儀が故障したときには、「直ちに現地に直行しましたが、もう町は大晦日の準備中でした。現地では、積雪により辺り一面 が真っ白で、大雪の降っている中で、交通機関もない験潮場までの約3キロ程の道のりを徒歩で行き、験潮場に入ると天井から1メートル以上ものツララが下がっており、10分も作業をすると寒さのため手足が痛くなる状態でした」という苦労もあります。このような地道な努力によって得られた潮位 記録は、我が国の地盤の高さの基準となり、また、地核変動を検出し、地震予知の貴重な資料となって、多いに活用されています。
 今回の受賞に当たり、「国民の皆様に、直接関連したものは製作していませんが、自分なりに地道な努力をしてきたその結果 が評価されたのだと思っています。また平凡なことでありますが、事故もなくここまでこられたことをこんなに有り難いと感じたことはありません」と謙虚に、かつ自信をもって語っておられました。

 
 
 
 
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