第4回(平成3年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「幾多の研究の支え役として」
 38年余の長きにわたり、一貫して、試験研究用硝子製実験装置製作のため、硝子素材の選択を始め、実験内容に適切に応じた多種多様で複雑な形状の硝子製実験装置の製作に努め、研究者から極めて高い評価を受けるとともに、幾多の実験の成功及びデータの蓄積に貢献したことが認められました。
 
高橋 進 
工業技術院

 宮城県出身。昭和26年6月東北大学理学部に採用され、同28年3月工業技術院資源技術試験所に転任して以来、試験研究用硝子製実験装置の製作業務に従事。昭和54年4月より特殊技術専門職。妻と1男1女の4人家族。趣味は、野球、テニス、謡曲。60歳。
 

 資源環境技術総合研究所では、資源・エネルギーの開発、利用、産業保安及び環境保全等広範な研究を総合的に行っています。
 研究用の硝子製実験装置の製作には、物理、化学の専門知識を必要とするほか、複雑多様な研究者の要求に適切に応じるため、研究内容を十分に理解しなければなりません。そのため、製作に当たっては、研究内容、実験上のポイント等を把握し、幾度も打ち合わせを重ねた上、設計、製作し、さらに改良を重ねています。
 製作は、管、棒、板などの硝子を炎の中で回転させて平均に溶かし、延ばし、曲げ、継ぐ等すべて、手作業であり、しかも熟練を必要とするので、一通 りの成形ができるようになるには、少なくとも数年以上、また、複雑な装置の製作には10数年の経験が必要とされます。
 「硝子は気まぐれで、いい加減に扱うとすぐに割れてしまい、なかなか思いどおりにいかないものです。そのため、硝子の特性を知り、研究用途に最適な材料を選択し、製作過程では硝子の歪みを除去するため十分ななまし作業を行い、研究中に割れるのを防ぎ、さらに、組立では研究者が使いやすいように工夫するなど、私がもっているノウハウを最大限に活用し、研究が安全でしかも順調に進むよう、常に研究者の身になって、より良い研究ができるよう心がけています」と、いろいろ苦労されていますが、せっかく苦労して作成した装置が予定していた真空度に達しないときや原因不明の故障が発生したときは「本当に投げ出してしまいたい気持ちにもなりますが、このようなときは辛抱強く再挑戦を試み、試行錯誤しながら原因を突き止めて行きます」、そして「今までの経験を基に、時間をかけてやっとのことで研究者の要望にかなったときは、何とも言えない快感があります」と語っておられます。このように高橋さんは常に研究者の身になって硝子製実験装置の製作に尽力されており、それが幾多の実験の成功に結びついています。
 今回の受賞に当たり、「私が行っている硝子工作業務は、研究の支え役として表舞台には出てこない地味な仕事ですが、このような仕事をしている者もいて、立派な研究成果 が生まれることを知っていただきたいと思います」と語っておられました。

 
 
 
 
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