第5回(平成4年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「明るい社会のために」
 保護課は、犯罪や非行をした人の更生を助け、再犯を防止し、社会を犯罪から守るため、満期釈放者等の更生保護措置、保護観察中の人の救護及び援護の措置等に関する業務に従事していますが、保護対象者がスムーズに社会復帰できるよう、更生保護の理念と使命感に燃えて日々の職務を遂行し、これらの人の更正に貢献していることが認められました。
 

法務省東京保護観察所保護課
【代表者】 保護課長 福島 光行
【職員数】 9名
 
 保護課の職員(保護観察官)は、犯罪や非行を犯した人の更正を助け、再犯を防止し、社会を犯罪から守るために、仮釈放等になって更生保護会に居住している人の保護観察や刑務所を満期釈放になった人などの更生緊急保護、さらには、刑務所や少年院に収容中の人が釈放後にスムーズに社会復帰できるよう受け入れ態勢を整えておく環境調整、更生保護会に対する指導・育成などを行っています。
 更生保護会は、保護課の指導監督のもとで、刑務所を満期釈放になった人や刑務所・少年院を仮釈放になった人などのうち、親族等の援助や適当な住居を得ることが難しい人に、一定期間宿泊させたり、食事等の提供やその他必要な更生保護を行っている法務大臣認可の民間団体(財団法人)です。ここに居住している人(在会者)は、就職先を見つけ社会復帰を果 たすために日々努力をしている人ですが、いろいろな問題を抱えている場合もあり、社会復帰のためには特に専門的で密度の高い指導・援助が必要とされ、保護課の職員は、庁内における面 接指導のほか、在会者が仕事から帰ってくる夜間に定期的に保護会に出向き夜間駐在・宿泊駐在をしてきめ細かな個別 指導等を行っています。 また、在会者に何かトラブル等があった場合には、深夜・休日を問わず保護会に駆けつけその対応に当たらなければならず、常に緊張を強いられた勤務を行っています。
 また、刑務所を満期釈放になった人や検察庁で起訴猶予処分になった人などの更生緊急保護とは、頼るべき身寄りや適当な住居がないために、援助を求めて出頭してきた場合に行う保護のことですが、具体的には、社会復帰のための生活指導や親族等のもとへ帰るための旅費の支給、衣類や食事の提供、就職の援助、更生保護会への宿泊の委託など、職員が直接面 接して把握したニーズに応じて、最も適切な措置を誠意と熱意をもって行っています。
 さらに同課は、首都圏に所在するため、取り扱い事件数など業務量 があらゆる面において全国一の規模となっており、保護措置の内容も複雑多岐にわたり、個別 の面接指導も極めて困難な場合が多く、また、ときとして危険な状況に接する場合もあって、その職務を遂行するに当たっては、専門的な知識と熟達した経験が必要とされています。
 このような状況において、保護課の職員の皆さんは、職務遂行に必要な知識・技術の向上を目指し常に自己研鑽に励み、更生保護の理念と使命感に燃え、一丸となって日々の職務に専念しています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 栄えある「総裁賞」の受賞を聞いたときは、職員一同戸惑いとともに、うれしさで一杯になりました。犯罪を犯した人の社会復帰を助けるという地味な忍耐を要する仕事を、この上ない形で評価していただき、これ以上の喜びはありません。
 
仕事をしていて、やりがいを感じるのはどんなときですか?
 犯罪を繰り返し、社会から見捨てられたような人であっても、その人間性や誇りを尊重して粘り強く接していくうちに、過去の行いを反省し、生きる自信を取り戻してくれることがあります。このようなときにやりがいを感じます。
 
仕事を進めていくうえで苦労したことはどんなことでしたか?
 立ち直りの第一歩は、仕事に就くことですが、犯罪前歴者に対する社会の目は厳しく、就職の機会が極めて狭められており、就職指導の困難さを痛感します。また、世間体をはばかってか、家族・親族の協力や援助が得られないときには、いつももどかしさを感じています。
 
つらいことが多いと思いますが、何か思い出に残っていることはありませんでしたか?
 怠惰な生活習慣がなかなか直らず、散々手を焼かされた保護観察対象者でしたが、粘り強い指導の末にやっと就職し、加えて、理解ある雇用主に出会って、一転、部下を持つ仕事の虫になった人がいました。その後その彼から「この度結婚しました・・・」との便りがあり、課員一同拍手を送りました。
 
地味な仕事と言われますが国民のみなさんに知ってもらいたいことがありますか?
 当課の所管する団体の中に、犯罪前歴者の社会復帰のため、彼らを宿泊させて日常の生活訓練を行う「更生保護会」という施設がありますが、この更生保護会は、犯罪前歴者の社会復帰を促進し、犯罪から社会を守る上で極めて重要な役割を果 たしております。地域社会のみなさんの一層のご理解とご協力をぜひお願いしたいと思っております。
 
今後の抱負などお聞かせいただけますか。
 この度の受賞を励みとし、与えられた職責の大きさを再認識し、職員一同一層職務に精励するよう決意を新たにしております。
 ひとたび罪を犯しても、前非を悔い、立ち直ろうと努力している人が大勢います。「罪を憎んで人を憎まず」という諺もあるように、地域社会の人々はできるだけ暖かい目で、彼らを見守ってほしいと思います。



更生保護会での面接
 
 
 
-総裁賞受賞者一覧に戻る-