第6回(平成5年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「高所の貴重な気象データを求めて」
 富士山測候所は、世界有数の高所にある有人測候所として、地上気象観測及びレーダーによる気象観測を行っており、貴重な各種気象情報を提供しています。
 

気象庁東京管区気象台富士山測候所
【代表者】 所長 平井 泰世
【職員数】 19名
 
 富士山頂の自然環境は極めて厳しく、気圧は平地の3分の2程度と低いほか、気温が低く最低気温が零度以下の日数は年間に285日もあります。特に、冬期は、風も強く、屋外での観測機器・レーダードームの着雪、着氷の除去作業等は厳しいものであり、また、固い氷の上での登下山には著しい苦労があります。職員はこのような厳しい気象条件・勤務環境の中、約3週間交替による山頂勤務を行い、貴重な気象データの提供に貢献しています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 厳しい自然環境での気象観測に、創立以来4名の殉職者を含むのべ600名余の職員が従事してきました。多くの人々の労苦と努力の積み重ねが評価されたことは、大変嬉しくまた光栄なことと思います。
 
今まで苦労したことあるいは思い出に残っていることがあると思いますが…
 冬の山頂は、強風や寒気に加え着氷と落雷が多く、庁舎、電源、生活施設の保全・維持も職員だけで行います。また、御殿場基地事務所では、短い夏の間に山頂の施設の点検・修理の手配や雷が鳴れば送電線の点検に、冬は生鮮食料の調達、強力さんを探しての依頼など、山頂勤務の後方支援に追われる毎日です。昭和41年9月25日深夜に、台風第26号が通 過したことがあります。このときの最大瞬間風速は91メートルで、玄関の扉が強風に吹き破られ、部屋の壁も倒れてきました。これを山頂勤務の職員5名が、猛烈な風圧に堪えながら支え、庁舎と機器を台風から守り抜いたのですが、このことは今でも強烈な印象として残っています。
 
この機会に国民の皆さんに知ってもらいたいことはありますか
 冬期の勤務交替は夜明け前に起床、気象状況を判断して行動を決め、4合目で雪上車を降り徒歩6時間から8時間かかって頂上に到着します。登山ルートの安全対策も進めていますが、硬い氷雪の急斜面 、突風や急変する天気など、厳しい自然の姿は昔と変わらず、気力と体力の極限が試される状況もあります。多くの先輩達の命がけの苦労の結晶が今日の富士山測候所であり、今日の若い職員も「富士山を恐れず侮らず」、誇りを持って山頂勤務に赴いていることを国民の皆さんには是非知っていただきたいと思います。


氷をまとったレーダー塔
 
 
 
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