第6回(平成5年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「生涯、一海上保安官として」
 41年余の長きにわたり、現場第一線の巡視船艇において乗船勤務し、警備・救難業務に従事してきたことが認められました。
 
宇根 進 
海上保安庁

 広島県出身。昭和27年7月に海上保安庁に採用されて以来、尾道・今治・新居浜の各海上保安部において巡視船艇勤務。昭和60年3月より尾道海上保安部巡視艇「はざくら」船長。妻と2女の4人家族。趣味は、園芸・日曜大工・ジョギング。60歳。
 

 宇根さんは、乗船勤務のほとんどを僅か乗員5名という小型の巡視艇で過ごしています。巡視艇は、船型が小さいため機動性に富んではいますが、悪天候では揺れ等が激しく、また、航路哨戒等の夜間にわたる業務も多く、精神的にも肉体的にも大きな負担を伴います。宇根さんは、巡視船艇勤務において、昭和41年の全日空機松山沖墜落事故等の幾多の大きな海難事故の救援活動や、夜間における潜水器等による密漁取締り、麻薬取締りなどの犯罪捜査に従事し、卓越した技能と経験をもって抜群の成績を挙げています。

 
受賞の感想をお聞かせください

 受賞の知らせを聞き、本当に驚きました。身に余る栄誉と思うとともに、もっとやれたのではないか、もっと頑張るべきではなかったのかとも思います。これからでも遅くありませんので、後輩に誇りをもって引き継げるよう頑張りたいと思っています。また、今回の受賞は、私一人だけのものではなく、船という共同体の中で仕事をしていていただいたものであり、周囲の人々に支えられて得られたもので、皆さんに感謝の気持ちで一杯です。

 
仕事をしていて、充実感ややりがいを感じるのはどのようなときですか
 海上保安庁の巡視艇の仕事は、海上における国民の多様なニーズに応えるため、海難救助、犯罪捜査、海上交通 整理、海上公害の防止等と変化に富んでおりますが、中でも人命救助後の快い感動はすばらしいものがあり、忘れられません。
 
今までで特に印象に残っていることはどんなことですか

 紫雲丸、第五北川丸、全日空機松山沖墜落等の数多くの海難事故に出動しましたが、その中でも、昭和53年9月に来島海峡で起きたカーフェリー「さいとばる」事故では、深夜、強潮流の中を、乗客ら245人を無事救出できました。その後間もなく船は沈没したのですが、この事故は忘れられません。

 
☆この機会に国民のみなさんに知ってもらいたいことはありますか
 海上保安庁は、発足以来既に45年になりますが、今もって海上自衛隊と混同されることがあり残念です。我々の仕事は、国民の目に触れ難い海上で、地道にコツコツとやっているためか知られていないのではないかと思います。海上における国民の多様なニーズに応えるため、巡視艇という共同体の中で多くの海上保安官が日々職務に精励していることをご理解いただけたらと思います。

船舶の立入検査
 
 
 
-総裁賞受賞者一覧に戻る-