第8回(平成7年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「地域防災の要として、真に必要とされる情報を提供」
 雲仙・普賢岳噴火活動の観測等の情報を、地域に密着して的確かつ速やかに提供し、地域防災に寄与してきたことが認められました。
 

文部省九州大学理学部附属島原地震火山観測所
【業務内容】
 島原地震火山観測所は、雲仙岳を研究対象として昭和37年に設置され、同59年に、九州地域の地震予知研究を推進するために拡充改組されました。現在は、九州中・北部地域に地震観測網を展開し、雲仙岳では、地震や地殻変動などの高密度観測網を展開して研究を行っています。
【代表者】 所長 太田 一也
【職員数】 7名
 
 島原地震火山観測所は、昭和37年以来、主に雲仙岳を対象とした地震観測、研究等を行ってきましたが、平成2年11月の雲仙・普賢岳の噴火後は、警戒区域内での多大な危険を伴う地震観測や昼夜の別 を問わない監視、観測等によって、土石流の発生状況や火砕流の発生予測等について地域に真に必要とされる情報を確保し、防災機関等に対して的確かつ速やかにこれを提供するなど、地域に密着して、住民の生命財産の安全確保のための献身的活動を続け、地域防災に寄与しています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 今回の雲仙・普賢岳の噴火では、他大学や気象庁、自衛隊など多くの機関が、精力的に観測に当たりましたが、当観測所のみが受賞の栄に浴し、申し訳ない気持ちで一杯です。
 
今回の噴火後、より有効な情報を地域に提供するために留意したことはありますか
 今回の噴火では、大学と陸上自衛隊が一心同体となって相互の機能を高め、真に役立つ火山監視体制を構築するように留意し、危機管理に当たる地方自治体、警察、消防機関を支援してきました。
 
観測活動を行うに当たってはいろいろとご苦労があったと思いますが
 噴火では、度重なる火砕流災害が発生しましたが、この発生予測を行うため、観測陣としては、溶岩ドームの観察と至近距離での地震観測が不可欠でした。ところが、地震計は、噴石や火砕流、雪、野生生物により度々壊されましたので、これらの維持管理に苦労しました。また、噴火が始まって5ヵ月めに、山頂部の地震計の交換用バッテリーを消防署員の協力を得て担ぎ上げていたとき、目的の火口縁到着直前に大爆発が起き、運よく死を免れたこともあります。その後も、所員は数々の危険に直面 しながら観測を行いました。
 
研究上の成果、研究者としてのやりがいもあったのではないかと思いますが
 神秘的な火山現象を推理しながら、一つひとつ科学的に解明していくことは、火山研究者にとっては最大の魅力です。たまたま数千年に一度という大噴火に遭遇しましたが、多くの火山観測機関のご協力を得て、多数の貴重なデータを蓄積できました。今後は、それらを総合的に解析し、少しでも火山学の進歩のために役立てなければと考えています。
 
今回の観測、防災活動を通 じて、学んだことや今後に生かしたいことはありますか
 地震学、火山学は、飛躍的に進歩しています。しかし、地震予知、火山噴火予知に対する社会的期待とは大きな隔たりがあります。研究者は、それぞれの研究成果 を防災に生かすことをもう少し真剣に考えなければならないと思います。


火山灰に埋れる観測点の保守とバッテリー交換
 
 
 
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