第8回(平成7年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「独創的な発想と日々の研鑽で研究を支援」
 卓越した技術と画期的な製造手法の開発によって、極めて価値の高い研究用合金等を作製し、金属材料研究の進展に寄与してきたことが認められました。
 
菅  広雄 
科学技術庁

 秋田県出身。昭和34年8月に金属材料技術研究所に採用されて以来、一貫して研究用の合金等の作製業務に従事し、同47年2月より職長。妻と1男1女の4人家族であるが、昨年同研究所が東京都からつくば市に移転してからは、単身赴任生活。趣味は、指導員資格を持ち、国体にも出場経験のあるスキーのほか、テニス、釣、盆栽など。60歳。
 

 菅さんは、研究用合金等の作製担当者として、微妙な感覚と優れた技能を要求される合金等の製造装置を巧みに操作し、通 常の技術では作製が困難な数々の合金を作製するなど、永年にわたり研究用として極めて価値の高い合金等を研究者に提供してきました。また、独創的なアイデアと数知れない試行錯誤の末に新しい合金等製造法を開発して、従来の製造法では不可能であった金属の球状粒子の作製を可能としましたが、この手法によって作製された金属粒子は、均一、均質などその画期的な特性から工業材料としても広く活用されるなど、研究のみならず我が国金属産業の発展にも大きく寄与しています。

 
受賞の感想をお聞かせください

 採用早々に、当時日本でたった1台しかなかったアーク溶解炉を使いはじめたのがこの道に入ったきっかけでした。以来、現在まで、研究の役に立つように一生懸命仕事をしてきましたが、思いがけずこのような立派な賞をいただき、身が引き締まる思いです。

 
仕事をしていて、充実感ややりがいを感じるのはどのようなときですか
 合金の作製が難しい場合は、終電車を見送って何度も実験を重ねることもありますが、顕微鏡観察できれいに仕上がったことを確認できた時は、一仕事終えた充実感があります。また、私の作製した合金等が研究に役立った旨の報告を研究者から受けたときなどは、何にも代え難い喜びがこみ上げてきます。
 
今までで特に印象に残っていることはどのようなことですか

 金属粒子の製造法は、確立までに3年ほどかかりました。回転台を新たに付置するという発想は、雨の日の帰り道に、小料理屋から出てきた和装の女性の回す蛇の目傘から雨のしずくが飛んでいるのを見て考えついたものでしたが、もし、それを見なかったら、この製造法の開発はできなかったかもしれません。また、こうして得た発想を実現するために、ベニヤ板などを使った手作りの装置で、数知れぬ 実験を重ねました。そうした苦労の末にできあがった装置で特許を取得し、実用化のためにメーカーの方々の前で金属粒子を製造して、きれいな金属粉末を見てもらえた時には感慨無量 でしたし、後日、この手法で製造されたハンダ粒子によって電気製品が小型化していることを聞いて、私の仕事も社会に役立っているのかなと実感しました。

 
この機会に国民の皆さんに知っていただきたいことはありますか
 研究支援は、地味な仕事ですが、現場では創意工夫の喜びがあり、大変おもしろい世界です。是非、多くの人が、物作りの仕事に目を向けて欲しいと思います。


合金等製造装置の操作状況
 
 
 
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