第9回(平成8年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「大都会を背景に巧妙に潜伏する逃亡者等を追って」
 9名という少人数で昼夜を問わず逃亡者等の所在調査を行い、多数のとん刑者等を収監し、これらの再犯防止及び社会秩序維持等に寄与してきたことが認められました。
 

東京地方検察庁総務部特別 執行課
【業務内容】
 東京地方検察庁特別執行課は、昭和49年4月に設置され、主に刑事罰の執行等に係る事務を担当しています。実刑が確定して逃亡している者等を追って所在捜査を行い、これまで多くの逃亡者を収監するなど、我が国の刑罰権の適正な行使のため、日夜を問わず奮戦しています。
【代表者】 課長 小林 仁
【職員数】 9名
 
 特別執行課は、逃亡被疑者、逃亡被告人、とん刑者(罰金以上の刑の実刑が確定した者で、その刑の執行を受けないまま逃亡している者)等の所在捜査を行い、これらの者を収監し身柄を確保することを主な職務としています。東京という大都会を背景にこれら逃亡者は巧妙に潜伏し、また他人への無関心度の高まり等ともあいまって、所在調査や情報収集が一層困難となっている中で、その使命感と昼夜を問わない地道な捜査活動によって多数のとん刑者等を収監し、法の迅速・適正な適用、逃亡者の再犯防止及び社会秩序の確保等に大きく寄与しています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 昭和49年の課創設からの歴代課員のたゆまない努力、使命感と地道な捜査活動に対しての受賞で、課員一同で喜ぶとともに身の引き締まる思いです。これを励みとして、これからも課員一同力を合わせて微力ながら社会秩序の維持等に寄与できるようがんばっていきたいと思います。
 
仕事をしていて、充実感ややりがいを感じるのはどのようなときですか
 個々の事件ごとに、事件担当者が捜査主任となって捜査指針を決定し、上司・同僚らの助言を受けながら所在捜査から収監まで自己の責任で行うため、個人の特性を生かした捜査が可能である反面 、聞き込みに回っても関係者の協力や情報がなかなか得られず、捜査に行き詰まることも多々あります。その困難を乗り越えて長期逃亡者等の収監に成功したときなどの達成感・充実感は、机上だけの仕事では味わえないものがあります。
 
どのような背景で逃亡しているのでしょうか
 刑務所での受刑を逃れたい一心で逃亡する者、罰金が高額なためにそれを納めずに逃亡している者など背景は様々です。またその逃亡形態も裁判途中に保釈金を納付し、そのまま逃亡してしまう者や、罰金を納付しないで住居を転々として行方をくらます者などいろいろです。
 
捜査活動を行うにあたってはいろいろとご苦労があると思いますが
 所在捜査の段階にあっては、情報収集のためいろいろな機関への照会を始めとして、様々な生活を送っている人たちに接し、情報提供を依頼することが多いのですが、最近はプライバシーの問題や特に東京圏では他人への無関心度も高く、情報が容易に得られない状況にあります。張り込み捜査にいたっては、時間的にも夜間が多く、厳しい条件下でいつ現れるか分からない相手を待つのはなかなか大変なものがあります。また、銃器等の凶器所持者あるいは薬物常用者等の収監に際しては危害を加えられるおそれがあるため、その危険性を回避する方策を即座に考え、適切に対処しなければならない場合もあり、肉体的・精神的負担も大きなものがあります。
 
印象に残っていることもたくさんあると思いますが
 厳寒の中、廃屋で飲食物・電灯を持ち込み寒さに耐えながら、24時間態勢で張り込み捜査をしたこと。収監の際、ボーガンや模造刀を持ち出されて抵抗されたり、また、暴力団事務所が散在する繁華街で張り込みをし、組員であり覚醒剤常用者である逃亡者に抵抗されるなど身の危険を感じながらも収監したこと。逃亡者と行動を共にしていると思われた内妻の生命保険加入の事実を探し当て、約13年にも及ぶ長期逃亡者の収監に成功したこと。早朝、東京を出発し、名古屋、沖縄へ逃亡する者を追跡した上で、沖縄県内で収監することができたことなどが印象に残っています。
 
この機会に国民の皆さんに知っていただきたいことはありますか
 当課は、検察庁の中でも危険性・緊急性などの点で特殊な部署であると言えます。仕事柄、机に向かっていることより外に出ていることが多く、休日の家族との外出も常にポケットベルを携行して緊急の出動に備えているのが実状です。検察庁の業務については、報道機関等によりクローズアップされている事件捜査や公判立会のみが業務であるように思われがちですが、同じ検察庁でわずか9名で日夜地道な捜査活動を行い、危険に接しながら逃亡者等の追跡・ 収監に日々努力しているいわば縁の下の力持ち的存在の部署があることを知っていただけたらと思います。


収監に出動する際の事前打合せ会議
 

緊急車両で出動
 
 
 
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