第9回(平成8年)
 
 
「人事院総裁賞の選考に参加して」
 
京極 純一 
東京大学名誉教授
 

 このたび思いがけず御縁がつながり、第9回人事院総裁賞選考委員会委員の委嘱を受け、この選考に参加した。
 こうした会議の準備は、実によく行届いている。選考委員会資料として、「候補一覧」、仕事場の情景を写 した「参考写真」、また参考資料として「人事院総裁賞顕彰実施基準」、「受賞者一覧」が席上で配布され、詳しい説明があった。
 実施基準によれば、受賞者の資格は、(1)「多年にわたり、同一の職種に従事し、不断の努力」というタイプ、(2)「生活の著しく不便な地に勤務する等精神的肉体的労苦の多い勤務」というタイプ、(3)「業務上の顕著な功績」というタイプ。この3タイプのどれかに該当し、共通 して「公務の信頼を高めることに寄与したと認められる」一般職の国家公務員またはその職域である。
 総裁賞の選考は、人事院が関係省庁に個人部門と職域部門の受賞候補の推薦を依頼するところから始まる。各省庁から推薦された多くの候補について予備選考した結果 、候補一覧が選考委員会に示されることになる。第9回では個人部門が3候補、職域部門が4候補であった。
 選考委員の気持ちが思わず一致したことがある。候補一覧に出ている候補の間では甲乙がつけ難く、できることなら候補全部に総裁賞を贈呈したい。そういう気持ちであった。
 と思っても、選考委員会の仕事である。まずは個人部門について、ついで職域部門について、各委員が次々に意見を述べ、議論が続いた。こうした議論を三鬼彰選考委員長(日経連副会長)が適切に集約して、今回の選考結果 となった。
 「公務の信頼を高める」という選考基準について、治安や保健衛生上の安全の低下を告げる報道の多いことが議論された。こうした中で、治安や安全に努力している候補を顕彰してはどうかという議論になり、個人部門では京大附属病院の前田圭禧氏、職域部門では東京地検総務部特別 執行課が受賞者に選考された。
 ついで、個人部門で、年間180日洋上に出ている、東大海洋研の淡青丸一等航海士野村裕氏、職域部門で、交代しながら年間150日女島灯台に勤務するとともに、海上の警備と安全を担当している、海上保安庁福江航路標識事務所が選定された。この選定には、「精神的、肉体的労苦の多い勤務」を続けている公務員の隣で、精神的、肉体的労苦を分かち合い、公務員という人生を理解し支持してきた家族の方々、なかでも配偶者の方に、国民の心からの感謝をあわせてお伝えできれば。そういう気持ちもあった。
 人事院総裁賞の授与式には配偶者が同席する。皇居で天皇皇后両陛下に拝謁するときも、配偶者を同伴する。受賞者を称える場面 に配偶者が同席することは現代の常識ながら、まことに素晴らしい。
 今回御受賞のみなさま。受賞のため配偶者と東京にお越しの日々を、公務のため御苦労を重ねた御家庭の新しい記念日として、心から御慶び申し上げます。本当に長い間御苦労様でした。

(きょうごく・じゅんいち)

 
 
 
-総裁賞受賞者一覧に戻る-