第10回(平成9年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「住民、船舶等の安全のために」
 太平洋上の孤島のあって、厳しい自然と不便な生活環境の下、台風観測の最前線基地として、貴重な気象データの収集に寄与してきたことが認められました。
 

気象庁沖縄気象台南大東島地方気象台
【業務内容】
 南大東島地方気象台は、沖縄本島から東に390キロメートルの太平洋上の孤島・南大東島にあり、24時間体制で地上気象観測及び高層気象観測等を行っています。特に、台風の最前線基地として貴重な気象観測を行いデータを発信して、日本及び東アジア地域における台風災害の軽減を目指すとともに、注意報・警報や防災情報を提供し、船舶、航空機の安全航行の確保及び島の住民の生命・財産を台風災害から守っています。
【代表者】 台長 小禄 昌男
【職員数】 37名
 
 南大東島への交通は小型飛行機が1日2便と船が週1〜2便あるのみで、特に台風や季節風の強い時は外部との交通 手段が遮断され、生活物資の補給ができなくなることがあります。職員は全国各地からの異動により勤務していますが、職員とその家族は僻地医療の不備な島で困難な体験を幾度となく背負わされており、精神的負担は非常に大きなものになっています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 人口わずか1400余名の小さな島で働いている私どもが、人事院総裁賞をいただけることは、昭和17年2月1日の気象台開設以来、厳しい勤務環境の中で、自然現象の的確な把握と災害の防止・軽減のために勤務した諸先輩の地道で献身的な努力が認められたものと、職員一同大変感謝しております。さらに、このような名誉ある賞をいただいたことを喜ぶとともに、これからも、一層の努力が必要と身の引き締まる思いです。
 
充実感ややりがいを感じるのはどのようなときですか
 気象台の仕事は地味ではありますが、台風が接近した場合、緊急態勢を編成し、刻々と変化する台風の状況を各種観測により把握して、気象庁に通 報するとともに、防災機関等に適時適切な情報の発表を行います。そのようなときは緊張の連続ですが、職員一丸となって観測、通 報や注意報・警報・情報を発表し、無事台風に対応できたときは、仕事を全うした充実感でいっぱいになります。
 
ご苦労も多いと思いますが
 南大東島は台風常襲地であり、平成8年は7個の台風の暴風圏内に入りました。台風が接近すると、飛行機や船の交通 機関がストップし、出張や休暇で島を離れている職員は島に戻ることができなくなり、島に残った職員が緊急態勢で対応します。このため台風の通 過に時間がかかると、長期間の勤務が続いたり、島の食料品が不足したりすることがありますが、そのような時でも職員は互いに協力しながら職務を遂行しています。
 
何かエピソードがあればお聞かせください
 南大東島はさとうきびの島です。さとうきびの豊作、不作は天候に大きく左右されるので、島では気象に関する関心が非常に高く、歴代台長には色々な気象に関係のある愛称がつけられます。たとえば、干ばつ台長、台風台長、豊作台長等・・・。平成3年に赴任したK台長は、着任2日目に25年ぶりの大落雷が発生し、電話回線障害や家庭電化製品等にかなりの損失が出たため、早々と雷台長というニックネームが付けられました。豊作を願うのは全島民の願いであり、台風台長、雷台長等の厳しい名前を頂戴することなく、豊作台長と呼ばれるよう災害がないことを祈ります。
 
この機会に国民の皆さんに知っていただきたいことはありますか
 気象庁は、自然災害の防止、軽減を目的とし、注意報・警報等の防災情報の発表を行うこと等を業務としていますが、「災害は忘れた頃にやって来る」という言葉があるように、国民一人一人が自然を恐れず、しかし侮らず、それぞれの生活の中で気象庁の発表する情報を有効に利用していただきたいというのが気象業務に携わる者の願いです。
 
今後の抱負などをお聞かせください

 南大東島地方気象台は、太平洋上の孤島にあることを地の利として、日本に接近する台風を最初に観測する官署として重要な役割を担っています。この島の厳しい自然と不便な生活環境の中で、気象事業の発展の一端を担うべくこれからも努力を続けたいと思います。
 気象庁が発表する気象の注意報・警報や地震・津波情報等の防災情報は、迅速かつ的確に提供することが重要です。国民生活に密接に関連した質の高い情報を提供することは、地道な努力の積み重ねがあってこそできるものです。私達職員一同は、この使命を忘れることなく、国民生活に安心を与えるため、更にきめ細かく的確な情報を提供できるよう日々精進していきたいと思います。



高層気象観測機器の飛翔
 

船の入港(人もクレーンを利用)
 
 
 
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