第10回(平成9年)
 
 
「もっとマスコミの話題に」
 
童門 冬二 
作家
 

 現在、国(政府)の行財政改革が煮つまりつつある。が、現場での改革はつねにおこなわれている。そのひとつに公務員の意識改革があり、これは各省庁の判断で熱心な研修がおこなわれている。カリキュラムの組みかたも相当幅広くなり、たとえば私のような歴史作家にも声がかかる。
 自治大学校、税務大学校、中小企業大学校、国税局、会計検査院、国立教育研究所、営林署長会など多彩 な方面におじゃましている。そのご縁なのか、ここ数年、人事院総裁賞選考委員の末席を汚させていただいている。かつて地方公務員(東京都)だった私は、この委嘱を大変名誉に、またうれしく感じている。
 というのは、全委員の選考のモノサシが、
「コツコツと地道に、全体の奉仕者としての公務員の道を歩きつづけている人」
 ということで一致しているからだ。時折、不祥事を起す一部公務員によって、公務員の全体像が国民に誤解されるのは、なによりも残念だ。その意味では、この賞は、
「期待される公務員像」
 の一端を具体的に示すものとして、その意義は大きい。
「公務員は聖職だ」
 などといえばいまの時代ではわらわれる。が、わたしは、
「公務員は天職である」
 と信じている。その理由は、
・みずから選んだ。
・生涯のしごととする。
・国民をよろこばせたい、という目的をもっている。
 などである。毎年、候補になる人・職場はすべてこの要件をみたしている。だから委員のおひとりである京極先生が、「人事院月報No.563」で書かれたとおり、
「全員にさしあげたい」
 ということになる。しかしこれは無理なので、選考という私たちの仕事がからむ。
 ことしの選考は、ほとんど激論にいたる対立もなく、満場一致で決定した。ただ共通 して話題になったことがひとつある。それは、
「マスコミは、こういういいことをなぜとりあげてくれないのだろうか」
 ということである。 私は東京都庁で広報関係の局長を6年ばかり経験した。いわゆる“マスコミ対策”も含まれる。しかし思いかえしてみて、たしかに、 「公務員のいい面」があまりニュースになったことはない。社会の木鐸(ぼくたく)をもって任ずるマスコミには、どうしても不祥事の告発のほうに力がはいるのだろう。しかしこの賞の受賞者は 「国民の信頼を回復する重要な媒体」
 である。それも氷山の一角だ。どうすればもっとひろく知ってもらえるか、これも総裁賞の課題のひとつだ、と意見が一致した。

 (どうもん・ふゆじ)

 
 
 
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