第11回(平成10年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「非行少年の更生に尽くして」
 少年非行の凶悪化・複雑化が最も進んでいる首都圏の非行少年の改善更正のため高度な資質鑑別 等を行っており、さらに全国の鑑別所のリーダー部門としての重責を果 たしていることが認められました。
 

法務省東京少年鑑別所鑑別 部門
【業務内容】
 東京少年鑑別所鑑別部門は、東京23区内の非行を犯した少年を対象に非行原因を解明する資質鑑別 等の業務を行い、また、全国の鑑別部門をリードする機関として、全国の少年施設の職員を対象に教育・訓練機関としての機能も果 たしています。
【代表者】 首席専門官 水田 一彦
【職員数】 51名
 
 東京少年鑑別所鑑別部門の業務は、家庭裁判所の審判までの間収容する少年の処遇及び行動観察を行う業務、少年達がどうして非行を犯すようになったのか、今後どうすれば健全な少年に立ち戻れるのかを心理学等の専門知識や技術によって科学的に解明する業務の二つに分かれており、少年非行が凶悪化・複雑化する中で少年の改善更正のため日々努力しています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 人事院総裁賞に選定していただいたことを大変な名誉と受け止めています。少年鑑別 所の業務は、大変地味なものであり、一般の国民の方々には余り知られていないと思いますが、少年鑑別 所職員にとって今回の受賞は大きな励みとなるものであり、受賞の喜びを我々東京少年鑑別 所鑑別部門の職員だけでなく全国の職員全員で分かち合いたいと思います。
 
ご苦労も多いと思いますが
 少年鑑別所に収容される少年の体格は、一般 の青少年とそれほど変わらないと思います。しかし、彼らの多くが自分の健康管理に関心が乏しく、睡眠が不規則であったり栄養ある食事をとっていなかったりで不健康な者が多く、疾患に罹患している者も少なくありません。少年鑑別 所の業務には様々な困難が伴いますが、病人の処遇には苦労します。
 
特に印象に残ることがあればお聞かせください
 これは比較的最近のできごとですが、19歳の男子少年が寮で職員に殴りかかるということがありました。少年は自分の言い分を理解してもらえないと感じて一人の職員に食ってかかり、この事態を心配して他の職員が集まってくると、力で無理矢理押さえられると曲解して更に激昂し、その結果 、近くにいた職員に殴りかかったのです。
 この少年は、親から養育を放棄されて幼児期から施設で育ったのですが、大人への不信感や敵対心が大変強く、大人は自分を信じてくれずいつも不当に押さえつけるという偏った感じ方をしており、今回も職員との些細な行き違いから過度に感情的になったのです。この少年とは、その次の日、始めに食ってかかられた職員と殴りかかられた職員の二人が少年の居室に入り、この三人で畳に座って前日のできごとについて、それぞれのその時の受け止め方や感じ方について率直に話し合いました。少年は自分の気持ちをきちんと聞いてくれたことに感謝し、その話し合いの最後に職員と握手を交わしました。また、その日の日記には自分の大人に対する独特の感じ方を反省的に記述しておりました。
 このできごとから少年鑑別所に収容される少年がいかに深く傷ついてきたかを知らされるとともに、人間におけるコミュニケーションの難しさについて改めて思い知らされました。
 
国民に伝えたいことがあればお聞かせください
 一般の方々が少年鑑別所について持たれるイメージは「暗い」、「厳しい」、「冷たい」といった否定的なものが多いと思います。東京少年鑑別 所には、中学・高校の教職員や大学生など、多くの見学者が訪れていますが、これらの方々も見学前はそのようなイメージを持っていたと言います。しかし、見学されて実際の業務について理解していただければ分かってくださると思いますが、我々の仕事は少年と人間関係を結び彼らとの交流を深めなければ成立しないものであり、単に厳しくしたり管理的に扱うことに終始しているわけではないのです。人間の感情など、デリケートな心の世界を扱う機関であることを理解していただければと思います。
 
今後の抱負などをお聞かせください
 我々東京少年鑑別所鑑別部門の職員だけでなく全国の少年鑑別 所職員は、いずれもが青少年の健全育成に携わる国の職員であることを誇りを持って日夜業務に取り組んでおります。このような少年鑑別 所職員にとって今回の受賞は大きな励みとなるものであり、今回の受賞を機に一層気を引き締め、今後更に自己研鑽に励み、次代を担う青少年の健全育成に力を注いでいきたいと思います。


考査担当:ケースについて上司と検討を加える技官
 
 
 
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