第11回(平成10年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「救命の翼を担って」
 南西諸島の離島住民の期待にこたえ、沖縄県の復帰以来1,400人を超える多数の住民の救急患者輸送をおこない、離島住民の「命綱」としての役割を果 たしてきたことが認められました。
 

海上保安庁第十一管区海上保安本部石垣航空基地
【業務内容】
 石垣航空基地は沖縄本島から約400キロメートル離れた石垣島にあり、日本の南西部国境を抱える南西諸島周辺海域等の警備救難業務と離島住民の救急患者輸送を24時間体制で行っています。
【代表者】 基地長 白浜 嗣治
【職員数】 33名
 
 石垣航空基地は、全国でも唯一救急患者輸送業務を本来業務と位 置づけており、開設以来26年間無事故で1,400人を超える他に例のない輸送件数となっています。医療施設の整っていない南西諸島の離島住民にとっては、まさに空飛ぶ救急車として心強い「命の翼」となっています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 大変名誉ある賞をいただけることになり基地職員一同心から喜んでおります。受賞にあたり、「現職員はたまたま当基地に在籍していたということで大変な幸運にめぐり会えた」というのが素直な印象です。
 本業務にあっては、基地開設以来継続して実施しているもので、生活環境・設備・機材等がまだまだ十分ではない時代に頑張ってこられた諸先輩の努力の積み重ねと関係者の方々のご理解・ご支援なくしてはなしえないものであります。
 この名誉ある受賞を機に、今後とも職員一同気持ちを新たにし、業務に当たりたいと思っています。
 
充実感ややりがいを感じるのはどのようなときですか
 昼夜を問わず基地職員一丸となって輸送した患者の皆さんが元気になられ基地に挨拶にこられたときの嬉しさは格別 なものがあります。
 離島住民の方々の生命の安全確保を担っているという仕事に対する誇りと充実感という点からすれば、これほど素晴らしい仕事はあまりないのではないかと思います。
 
ご苦労も多いと思いますが
 急患はいつ発生するか分かりません。今までの統計では実績の約45%が夜間(日没から日出まで)の輸送となっています。また、私たち海上保安官は応急措置は心得ていても、医師ではないため医療に関する専門知識がなく、輸送実績の大半を占める医師の同乗無しでの輸送では、ドキドキしながら患者の状態を見守ることしかできません。
 他に、夜間の急患輸送では都会とは違い町の明かりがない漆黒の闇の中を飛行し、離島のヘリポートに離着陸しなければならないため立木等の周辺の障害物がとても気になり、常日頃から十分な訓練を実施し業務の安全を図っています。
 
何かエピソードがあればお聞かせください
 昭和48年10月28日、そのハプニングは発生しました。
 当時は、琉球政府から引き継いだ小型ヘリコプターを使用しており機内スペースの関係上医師が同乗できる余裕はありませんでした。
 朝6時35分、八重山警察署から与那国島で早期破水の患者が発生したとの連絡を受け急患輸送業務を発動しましたが、患者は自分で機体に乗ることができるほど意外に元気でした。ところが飛行している最中に患者の容態が変わり、鳩間島上空でとうとう赤ちゃんが生まれてしまいました。
 以後、昭和59年10月、昭和62年3月にもそれぞれ機内出産がありましたが、幸いにも3件とも母子共に健康で立派に成長されています。
 
国民に伝えたいことがあればお聞かせください
 海上保安庁は「正義仁愛」をモットーに業務を実施しています。当基地は全国でも唯一急患輸送業務を本来業務と位 置づけ活動しています。他の部署においても実績は少ないものの同様の輸送業務を実施していますが、あまり世間には知られていません。
 海上保安庁は日本の国益・国民を守るため、巡視船艇・航空機の機動力を十分に活用し遙か洋上ばかりでなく、地域住民に密着した仕事を行い、国民の負託に応えています。
 
今後の抱負などをお聞かせください
 急患輸送だけでなく地域に密着した業務を積極的に実施し、海上保安庁の信頼感を高め、住民からより愛される海上保安庁となるよう職員一同、より一層の努力をしていきたいと考えています。


石垣航空基地において、急病人を病院に向け搬送中
 
 
 
-総裁賞受賞者一覧に戻る-