第12回(平成11年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 

「130人を超える人命を救ったヘリパイロット」

 ヘリコプターのパイロットとして数々の困難な吊り上げ救助業務に従事し、130人を超える人々を救助した功績が認められました。また、官公庁職員としては初めて、無事故一万飛行時間を達成されています。
 
佐藤 金哉 
第五管区海上保安本部八尾航空基地

 秋田県出身。昭和40年海上保安学校入学。ヘリパイロットとして、新潟を振出しに、広島、羽田、釧路、伊勢、石垣の各地で勤務。平成9年より八尾航空基地飛行長。妻と1男1女があるが、単身赴任生活が9年目となる。趣味は黒鯛釣りだったが、現在休止中。53歳。
 

 佐藤さんは、昭和40年に入庁、昭和47年以降は一貫してヘリパイロットとして勤務してきており、記録が残っている昭和51年度以降だけでも26回、132名の海難救助実績を残しています。この中には、気象状況が極めて厳しい中でのものも多く含まれています。
 また、警察、自衛隊を含む官公庁職員としては初の「ヘリのみでの無事故一万飛行時間」を達成しており、今後佐藤さんの記録を塗り替える職員は現れないだろうと言われています。

 
受賞の感想をお聞かせください

 このような名誉ある賞をいただけるとは夢にも思わなかったことで、本当に驚いております。「先ずやる」を自己の信条に掲げて業務遂行に当たってきたことが、多くの良い結果 を生み、今回の受賞の一因となったのではないかと考えております。
 もちろん航空機での業務の遂行は、私一人の力でできるものではなく、クルー、整備担当、後方支援担当など、多くの先輩、同僚、後輩に支えながらのものであり、この機会に皆様に心から感謝したいと思っております。
 また、この受賞を機に、気持ちを新たにして、今後とも積極的な業務遂行や人材育成に当たっていきたいと思っております。

 
この仕事の喜びと苦労されるところをお教えください
 ヘリコプターは、前後進はもちろんのこと、横移動、垂直移動、空中停止(ホバーリング)などさまざまな運動が可能です。その特性をいかして、海難救助では吊り上げ救助などの直接救助ができ、警備活動においても至近距離から状況調査ができるので、ヘリコプターを自分の思うように乗りこなして所期の目的を無事達成できた時は、本当に嬉しくなります。
 また、なにごとも「悲観的に考え、楽観的に実行」をモットーとしてきたため、仕事の面 でそれほど苦に思えたことはなかったような気がします。
 
業務中のエピソードを御披露ください

 昭和56年11月3日、ソ連(当時)のナホトカ港から北洋材を満載し、富山県伏木港に向け航行中のパナマ船籍貨物船ドラゴンVが、新潟県佐渡島西方約30海里(約56キロメートル)において、時化のため荷崩れを起こし、船体が大きく傾いて転覆の恐れが出て救助を求めてきた事案です。吊り上げ救助されて吊り上ってきた船員が「保温式の弁当箱」だけをしっかり抱えておりました。クルーが身振り手振りで問いただしたところ、「妻が買ってくれたもので、命より大事なものだ。」と聞かされ、緊張した中での一瞬ではありましたが、気持ちが和む思いでした。

 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 海上保安庁は、「正義、仁愛」をモットーに業務を遂行し、日本の国益、人命・財産の保護のため、巡視船艇、航空機を運用していますが、そのほとんどが洋上での運用のため、その仕事ぶりは一般 の国民にはあまり知られていないようです。しかし、いったん事案が発生すれば、昼夜を問わず出動し、国民の負託に応えています。


フライト前の業務説明
 

機体と受賞者
 
 
 
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