第12回(平成11年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 

「平時の準備で緊急事態に迅速に対処」

 勤務条件の極めて厳しい任地であるガーナ及びリビアを含む24年にわたる在外勤務において在留邦人保護等の業務に精励し、特に邦人保護のための緊急事態対処マニュアルの充実に貢献したことが認められました。
 
田久保 豊 
在タイ日本国大使館
(チェンマイ出張駐在官事務所駐在)

 東京都出身。昭和31年外務省採用。平成10年よりタイ大使館参事官兼領事であり、チェンマイ出張駐在官事務所長を務める。妻は同窓生で、在外勤務のすべてに同行。1女がある。趣味は時折のゴルフ等。63歳。
 

 田久保さんは、外務省在勤43年のうち24年にわたって気候、風土又は政情、治安等の極めて厳しい任地で勤務し、その間様々な事件・事故に遭遇しましたが、常に迅速適切に対処してきました。
 特に、昭和58年からのリビア駐在中に発生した米軍機によるトリポリ爆撃事件に際しては、平時に整備していた在留邦人名簿等を全航空便が運航停止する直前の最終便で外務省に送付。これが在留邦人留守宅等との連絡を行う上で極めて重要な役割を果 たしました。このことは、当時十分に認識されていなかった平時の準備の重要性を再認識させ、その後の緊急事態対処マニュアルの充実に多大な貢献を果 たすところとなりました。

 
受賞の感想をお聞かせください

 与えられた公務を単に遂行したにすぎないとの自省から、予想もしない今回の受賞に大きな戸惑いを感じています。勤務先をはじめ良好な人的環境に恵まれていることの幸せを思い、この受賞に際し、改めて身を引き締め、今後とも一層の自覚と精励を肝に銘じます。

 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことや印象に残ったことは
 昭和37年から2年半、ガーナで通 信を担当しましたが、停電や電圧降下等劣悪な電気事情のため電信機器が満足に利用し得ず、手作業には本当に難渋しました。
 リビアでの勤務は、無秩序ともいえる状況下で、精神的にも物質的にも困難な環境でしたが、少数ながら大使館員のチームワークが良く、結束して重圧に耐えることができたと思います。
 トリポリ爆撃で本省への最終連絡便に乗せた在留邦人名簿は、手書き原稿のままでした。私自身が、緊急事態に対処するため平時の準備の重要性を実感した次第です。
 
任地でのエピソードをお聞かせください

 ガーナで勤務中のある日、体格の良い米国青年が大使館を訪れ、おずおずと本邦入国手続を照会してきました。数日後、現地の新聞に、その青年がボクシング大会で有力ボクサーをあっさりノックアウトしたとの記事が。その青年こそ、キャシアス・クレイ、その後のモハメド・アリでした。
 また、東マレーシアで日本武道大会が開催された際、警察署長から「大会に参加する日本人が、事前に持ち込み申請した拳銃の検査を受けなかったらしい」との連絡があり、調べたところ、拳銃は演技用の「木銃」でした。大会当日、演技道場に悪役が手にして現れた「木銃」を見て、警察署長と顔を見合わせ苦笑いでした。

 
海外渡航者が飛躍的に増大していますが、在外公館に長く勤務された経験からひと言お願いします
 邦人が海外で犯罪や事件・事故に巻き込まれるケースが著しく増大していますが、これらの中には情報不足と油断が原因と思われるものが多いのが実情です。トラブルに遭遇しないためには、各人が「自分の安全は自分でしか守れない」との危険に対する認識を持ち、日本人の感覚では通 用しない外国の情勢や慣習等、現地の正しい情報を把握して慎重に行動することが大切であることを強調したいと思います。


執務室で館員との打合せ(チェンマイ)
 

日系企業創立記念日記念樹(チェンマイ)
 
 
 
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