第13回(平成12年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「我が国で初めての治療・処置に際しての、献身的看護」
 約半年にわたり、世界にも例のない大量の放射線被ばく患者に対し、我が国で初めての治療・処置が行われたが、その際、献身的な努力と創意工夫をもって看護にあたり、公務の信頼の確保、向上に寄与したことが認められました。
 


東京大学医学部附属病院救急看護チーム
東京大学医学部附属病院及び同大学医科学研究所被ばく患者看護チーム
【業務内容】
 被ばく患者看護チームは、東京大学医学部附属病院看護部救急部の看護婦長以下24名及び東京大学医科学研究所附属病院看護部無菌病棟の看護婦長以下18名の看護婦によって編成され、約半年間、24時間体制で看護を行いました
【代表者】 看護婦長 小林 志保子
【職員数】 42名
 
 被ばく患者看護チーム職員は、被ばく患者に一番近くそして一番長くいる者として、患者の壮絶とも言うべき闘病生活に真摯な態度で向き合い、日常の繁忙な業務を並行して行いながら、24時間前例のない次々と生じてくる困難な状況の中で、必死の看護を行いました。また、不安のつのる家族に対しても、常にその痛みを共有し支えとなり、患者・家族からの信頼を得るなど公務の信頼の確保、向上に大いに寄与しました。
 
受賞の感想をお願いします
 東京大学医学部附属病院及び医科学研究所附属病院はその役割上どのような重症患者さんが入っても応えていかなければならないと思っています。今回被ばく患者さんが入院され特別 体制をとりましたが、看護スタッフとして、医療チームの一員として当然のことと皆が考えていますが、受賞のお話は大変驚きであり、恐縮の至りです。しかし、この賞は看護スタッフ一人一人が毎日変化する患者さんの状態に真摯に向き合ってケアしてきた事実に対して与えられたものであると思いますので、謹んでお受けいたします。ありがとうございました。
 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことは何ですか
 大量の被ばく事故のため教科書や参考文献がなく、すべてが初めての経験でした。朝・夕毎のカンファレンスで治療方針が出され、治療計画、看護計画が立てられたが、予測が難しく、日々新たな対策を出して進めて行かなければなりませんでした。被ばくによる熱傷ケアは人手も医療器材も時間も非常に多くのものを必要としました。
 また、看護体制上、夜勤1名を増員したことで、勤務やスケジュールを大々的に変更し、スタッフの個人的予定を取りやめてもらったり、休暇を返上して勤務に就いてもらいました。患者さんが容易に感染するような状態に陥ってからは、厳重な感染予防対策を取り、水平感染が及ばないように非常な注意を払いケアしたことが挙げられます。
 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 今回の大量被ばく患者さんの看護を通 して被ばくの恐ろしさをあらためて認識しました。被ばくは普通の火傷と違い新しい細胞が作られず、日々徐々に組織が死んでいきました。患者さんは大変苦痛であり、それを心配する家族も辛く、我々スタッフも辛い思いをしました。私達は被ばく患者さんの気持ちと御家族の悲しみ・怒りを謙虚に受け止めて、もう二度とこのような事故が起こる事のないよう祈っております。
 
今後の抱負をお聞かせください
 受賞に恥じないように、大学病院が持つ役割を認識し、看護スタッフとして地道に努力し、国民の皆様が安心と満足が得られる看護を提供して行きたいと思います。


東京大学医科学研究所無菌病棟看護チーム
 

点滴を行う際の事前準備作業
 
 
 
-総裁賞受賞者一覧に戻る-