第13回(平成12年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「災害発生のメカニズムの迅速な解明を支える」
 試料調製課は、地質の解明に必要不可欠な岩石試料を製作しており、これらの岩石試料の製作により、災害発生のメカニズムの迅速な解明に寄与するなど、我が国の地球科学研究の推進及び災害対策に多大な貢献をしたことが認められました。
 

地質調査所地質標本館試料調製課
【業務内容】
 地質調査所は、国土の地質調査の成果として各種の地質図等を製作しており、それらの地質図は、地下資源の探査、ダムやトンネルの掘削、地震・火山対策等様々な目的で国民に利用されています。地質図の製作に当たっては、研究者による顕微鏡下での岩石試料の観察が必要不可欠であり、試料調製課は、その岩石試料の製作を職務とする課です。
【代表者】 課長 野神 貴嗣
【職員数】 5名
 
 岩石を顕微鏡で観察するためには、岩石を切断、研磨して偏光顕微鏡用薄片(プレパラート)にしなければなりませんが、試料調製課においては、いかなる製作困難な試料に対しても、常に信頼される質の高い薄片及び研磨片を研究者に提供し、研究者から高い評価を得ています。  2000年有珠火山噴火を始め、伊豆伊東沖海底火山の噴火、雲仙普賢岳の噴火では、気泡に富み壊れやすくかつ極少量 の試料という困難な条件の薄片を、優れた技術により即刻完成させ、これにより、噴火についての的確なデータが解明され、噴火被害の軽減に大きく貢献しました。
 
受賞の感想をお願いします
 人事院総裁賞受賞の知らせを聞き非常にうれしく思うとともに、課員全員がこの仕事に携わってきた事を誇りに思いました。今後もやり甲斐のある仕事として一層の努力を積み重ね、地球科学の調査・研究に貢献できるよう頑張ろうと新たな気持ちを持った次第です。この賞は権威のある重い賞と聞き及びますが、これを頂けることは大変名誉なことであるとともに、私たちの職域で行う研究支援業務が評価された結果 だと思います。私たちの受賞は、他の研究機関等で研究支援業務に携わっている皆さんにも良い影響を与えるものと確信いたします。
 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことは何ですか
 私たちの仕事は、よく言われる3K(汚い・きつい・危険)に近いものがあります。一人前と言われる技術者になるまで10年近い年月がかかり、このこと自体苦労と言えるかもしれません。依頼される試料は堅い物から柔らかい物、脆弱な物、海水あるいは硫化物を含む物と様々です。中でも海水を含む試料はほとんどが脆弱な物で、作業前にエポキシ系樹脂で固結して補強を図り後の作業を容易に進めていく行程であるにもかかわらず、固結不十分な状態となってしまい、試行錯誤しているところで、解決に苦労しています。
 
今後の抱負をお聞かせください
 試料調製課の歴史とともに積み重ねてきた薄片技術は、幅広い研究分野で応用・利用されることにより研究成果 の前進があるものと信じます。今後もさらなる技術開発を進めて多種多様な試料に挑戦し、早く・きれいに・正確にを心がけていきたいと思っています。平成12年に入って有珠火山噴火・三宅島火山噴火・鳥取県西部地震と、立て続けに大きな自然災害が起こっています。これら自然災害の軽減等につながる研究に試料調製課の作る薄片・研磨片がもっと貢献できるよう、研究者及び関係機関と連携を密にして協力していきたいと思います。


マイクロカッターを使用した極小試料の切断
 

薄片の最終仕上げ
 
 
 
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