第13回(平成12年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 

「世界トップレベルの研磨技術を実現」

 30数年間にわたり、非球面研磨技術に取り組み、世界トップレベルのレンズ研磨技術を実現し、その技術は、天体観測用の大型シュミットカメラの製作等の実用に活かされるなど、顕著な功績を挙げているほか、各方面 でレンズ研磨技術の指導を行うなど、社会的に貢献したことが認められました。
 
大谷 和男 
大阪工業技術研究所

 昭和43年に大阪工業技術試験所(現大阪工業技術研究所)に入所以来、一貫して非球面 研磨技術に取り組み、我が国屈指の非球面研磨の専門家と言われている。妻と1男1女の4人家族。スポーツマン。52歳。
 

 大谷さんは、多年にわたるたゆまざる努力により、非球面 検査に関連する研磨技術を、他者が及ばないレベルまで修得し、熟練した技術を必要としない数値制御レンズ研磨機の加工及び測定の両面 に関するハード、ソフトの改良開発に成功し、研磨技術の自動化に道を開きました。
 さらに、世界トップレベルの超平滑研磨技術を実現し、各種の研究発表を通 じて研究の基礎データとしても蓄積され、我が国における鉱工業分野の発展に多大な貢献をしました。

 
受賞の感想をお聞かせください

 受賞を知り、仕事仲間、家族ともども、非常に喜んで、光栄に思っています。特に国家公務員の栄えある賞でありますので、より一層、国の科学ニーズに沿った研究に励みたいと思います。

 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことは何ですか
 ガラスの研磨は、加工も重要ですが加工した形状を測定することがより大事です。特に京都大学理学部大宇陀観測所の望遠鏡の製作に当たっては、触針で加工面 を測定したが測定能力が足らず、実際に望遠鏡を星に向けテストを行いました。悪い加工ゾーンを研磨し直し、研究所と観測所とを何回も往復したことが、思い出されます。
 
特に思い出に残っていることは何ですか

 高精度の非球面を作るに当たっては、加工面 を加工しながら測定機に掛け、そのデータを解析しなければなりません。測定に当たって、自分の主観が無意識に作用して測定値を誤らせる(都合のよいほうに)傾向があります。本当は作業者以外の習熟した人にフランクに計って貰い、しかも数値を読む人は測定者に対して測定が終わるまで一切数値を知らせない程の厳正さが望ましいのです。実際に研磨をしている時は、ガラス面 を削っているよりも自分の命を削っているかのような気がすることもありました。

 
今後の抱負をお聞かせください
 マルチメディアや光通信の進展は著しく、ビデオムービー、プロジェクションTV等の結像光学応用製品、あるいはCDプレーヤー、レーザビームプリンター等のレーザ応用製品などには、非球面 レンズまたは非球面ミラーが広く用いられています。そこで、熟練した技術を必要としない研磨方法(EEM:Elastic Emission Machining弾性放射加工)を初めてレンズ加工に応用した光学素子表面 創成装置を用い、世界トップレベルの超平滑研磨技術の実現を試みたい。また、レンズの大量 製造に必要な金型の製作等にも活かしたい。更に、大阪府職業能力開発協会の技能検定委員(光学ガラス研磨部門)として若手技術者育成に励みたいと思います。


EEMデータの入力
 

計測データの整理
 
 
 
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