第14回(平成13年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「海洋気象観測一筋60有余年」
 海洋気象観測船凌風丸(1世〜3世)は、60有余年にわたり、気象予報の精度向上のため、観測を実施してきました。乗組員は、気象条件の悪い中でも昼夜を問わず洋上の厳しい勤務環境の下、高度な操船技術を駆使するなど安全・効率的な海洋観測及び運航業務を行い、我が国の気象業務のための基礎データを提供し続け、もって国民生活の安全確保等に貢献したことが認められました。
 

海洋気象観測船凌風丸
【業務内容】
 「凌風丸(3世)」(平成7年建造)は全長82メートル総トン数1,380トンの気象庁の海洋気象観測船で、年間約200日にわたり本邦はるか南方の赤道海域から北海道北東海域の亜寒帯に至る北西太平洋で海洋や気象の観測を行い、一旦出港すれば、2か月近い長期の航海期間中、荒天のときにも昼夜を問わず観測を行います。
【代表者】 船長 小菅 直人
【職員数】 32名
 
 歴代の凌風丸の乗組員は、気象条件の悪い中でも観測を安全かつ効率的に行うため、4時間ごとに交替で昼夜を問わず、高度な操船技術を駆使するとともに機械の整備・保守、通 信業務を実施しています。  洋上の肉体的、精神的な苦労の多い勤務条件の中で、自然災害などから国民の生命・財産を守るために不可欠な海洋観測業務とこれを支える運航業務を長年にわたり実施し、国民生活の安全を確保するとともに、観測データやこれに基づく資料の国際的な提供を通 じて国際的にも貢献をしています。
 
受賞の感想をお聞かせください
 昭和12年に初代凌風丸が就航以来、現在の3代目まで60有余年の長きにわたり、観測を続けていますが、海洋は広大でその変動はゆっくりとしているものが多く、その把握には数十年にわたる継続した観測が求められることから、気象庁の中でも地味な仕事です。今回、私どもが名誉ある人事院総裁賞を受賞したことは、諸先輩の長年にわたる献身的な努力が認められたとともに海洋変動やその気候変動への影響の解明に私たちの地道な観測業務の役割が評価されたものと、職員一同大変感激しております。今後ともなお一層の努力を惜しまず、時代の要請に合った海洋の観測に努めていきたいと思います。
 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことは
 2か月ほどにも及ぶ航海ともなると、ひたすら海洋観測を繰り返すという、単調な生活になりがちです。このような航海の大きな楽しみの一つに食事があり、司厨担当職員は毎日腕を振るっていろいろ工夫した料理を出しています。外国の寄港地では我々の口に合うような食材の調達が必ずしも思うようにできず、更に航海の後半となると野菜が不足となりがちになることもあり、職員の健康保持に最も心を砕いています。
 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 現在気象庁では、5隻の観測船により、日本近海、北西太平洋上で海洋観測、海上気象観測を行っています。そのうち凌風丸では、これまでの日本近海に加えて昭和41年以来今日まで、国を超えた共同調査などを含め多くの海洋観測を西太平洋で行い、その成果 は世界的にも貴重なものとなっています。
 近年では平成6年に、地球温暖化の原因物質の二酸化炭素、メタン等やオゾン層破壊の原因物質であるフロンの挙動を把握する国際的な共同計画に欧米諸国とともに参加して、日本の南岸から赤道に至る4,000キロメートル以上に及ぶ観測地点で海面 から海底に至る深さ平均4,000メートルの海中における高精度の海洋観測を実施し、気候変動の解明に貢献しています。
 凌風丸は今日も西太平洋のどこかで海の観測はもちろん、国民の安全の確保や地球環境保全への貢献など幅広く活躍しています。


電気伝導度水温深計を海中に投入するところ
 

エンジンルームでの作業
 
 
 
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