第14回(平成13年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
「ILSが守る航空の安全」
 30数年間にわたり、電波を用いた航空機の着陸誘導装置(ILS)の研究に取り組み、その研究成果 が反映された高水準のILSが設置された空港では欠航率が激減するなど、航空の安全性の向上と運航効率の改善に貢献したことが認められました。
 


横山 尚志 
電子航法研究所

 群馬県出身。昭和42年4月に運輸省船舶技術研究所に入所。同年7月に同研究所電子航法部が分離独立して運輸省電子航法研究所として発足。入所以来、ILSの研究に従事。昭和62より主任研究官。妻と3男の5人家族。趣味はフルート演奏とランの栽培。57歳。
 
 横山さんは、長年ILSの構成や設置上の問題点の改善に必要な研究及び性能評価試験等を行っていますが、研究を効率的に進めるため、自ら作成した縮尺模型を用いてシュミレーション実験の手法を開発しました。
 さらに、この模型を用いて、霧の発生等で特に視程条件の悪い空港において着陸が可能となるカテゴリーVと呼ばれる高水準のILSの信頼要件を、25,000時間にわたるILSの性能要件を検証し、また、連続データの取得・解析を行って証明しました。この結果 が反映されたカテゴリーVILSを設置した空港における欠航率が激減しました。
 
受賞の感想をお聞かせください
 長年にわたりこのILSの研究に携わらせていただき、航空の安全や定時運航の確保にささやかでも寄与していると密かに自負はしていたのですが、今回まさか私にこのような栄えある賞がいただけるなんて全く考えても見ませんでした。
 これも、研究を支えてくれた諸先輩や同僚、航空保安システムの維持・管理に従事している国土交通 省航空局関係部署の航空管制技術官等の皆さんの暖かいご支援があったためと思っています。今回の賞もこれらの方々と共に頂けるものと、大変な名誉でありがたく、改めて身の引き締まる思いです。
 
これまでの業務を通じて、特に苦労されたことは
 高性能のILSを運用するには、装置が高い信頼性を持っていることも重要ですが、積雪や落雷のような気象現象による障害が発生しないことも必要です。これを実現するには、空港に設置した高性能ILS装置を使用して長時間の連続データを取るしかありません。様々な障害対策を施した装置を使って、空港の職員の方々の協力を得て、3年近くにわたってデータを取り続けました。その結果 、規格値を大幅に上回ることが確認され、国際的に見ても非常に高い性能を有していることが実証できました。連続データを取り続けている間は、いつ障害が発生するかと気が気でなく、取り終えるまで落ち着かない日々が続いたのが記憶に残っています。
 
今後の抱負をお聞かせください
 ILSは、今後、10年先、いや20年先も重要な航空保安施設として使われているでしょう。ILSが使われている限りはその性能の維持と設置上の問題点の解決が必要です。
 しかし、私は3年余りで定年を迎える予定です。私の今一番の課題は、今後も必要になるILSの試験・研究業務を後継者にどのように伝えていくかだと考えています。
 これは、行政部局のニーズに応えていくという当研究所の大きな使命の一つを遂行するために是非ともやっておかなければならないことです。私が残せる技術をなるべく分かりやすい形で、また、特別 な知識や経験がなくてもILSで生じる問題を正確に解決できる方法について整理したいと考えています。


積雪によるILSコース特性試験
 

シュミレーションによるILSコース誤差の予測計算
 
 
 
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