第15回(平成14年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「自由で公正な活力ある経済社会の形成」
 
 取引形態が複雑化、国際化する中で、従前に比べ立証が困難となっている独占禁止法違反事件の摘発を行うに当たって、様々な申告情報から違反事件の審査に着手し得る内容となるよう、内偵調査等の地道な裏付け作業を行い、公正かつ自由な経済競争の維持に貢献したことが認められました。
 
 
公正取引委員会事務総局審査局管理企画課 情報管理室
【業務内容】
 ヤミカルテル事件や入札談合事件などの独占禁止法違反事件の摘発は、市場原理と自己責任原則に立つ自由で公正な経済社会の確立が求められている現在、一層重要になっています。こうした事件の立件に当たっては、違反事件の端緒(違反の手掛り)をつかむために各種情報の収集・分析、内偵調査等の地道な作業を丹念に行う必要があります。情報管理室の職員は、年間3,000件前後に及ぶ膨大な数の断片的な申告情報や自ら得た手掛りから、審査に着手し得る内容になるよう、公正取引委員会の職員であることに気付かれないよう注意しながら、張り込み、販売価格の調査、事件関係者からの事情聴取といった情報収集・分析、内偵調査を日々行っています。
【代表者】 室長  菅久 修一
【職員数】 17名
 
 
 
受賞の感想をお願いします
 独占禁止法違反事件の端緒の担当は、独占禁止法違反事件摘発の重要性が増すに連れて様々な組織改正を重ね、平成7年から現在の情報管理室が行ってきました。この度の受賞は、これまでの諸先輩の皆様の努力と成果が評価されてのものと思い、粛然と受け止めております。
 現役の我々が諸先輩方の築いた業績を汚すことのないよう、独占禁止法の目的である「公正かつ自由な競争の促進」を達成すべく、微力ながら引き続き室員一同力を合わせて職務に邁進していきたいと思います。
 
この仕事のやりがいは
 電話、手紙、メールで、そして当室への来訪により、連日多くの情報が寄せられます。これらの情報は、断片的なものが多く、また、自ら探知した情報はそれだけで直ちに審査に着手できるということはまずありません。このため、関係者からの事情聴取、実況見分、張り込みなどの内偵調査、店頭での価格調査や値引き交渉、入札記録の録取などの補足調査を行います。そして、重要な話が聞けたり、最初ははっきりしなかった違反事実が鮮明になり、その結果、正式に審査事件として着手され、立入検査、そして独占禁止法違反の審決(行政処分)につながった場合には、仕事の性格上、広く吹聴することはできませんが、「公正かつ自由な競争」の実現に貢献し得たという大きな喜びを感じます。
 
これまでの業務を行う上で、特に苦労されることは
 情報管理室で追いかけている内容が断片的にでも外部に漏れますと、調査が頓挫してしまいますので、当室では極めて厳格に秘密を保持しつつ仕事を進めています。このため、自分の仕事の内容については、友人はもとより、情報管理室員以外の同僚のほか家族にも秘密にしなければなりません。また、店頭で価格調査をする場合には、店員に怪しまれてはいけませんので、店内でメモをとるわけにはいきませんから、記憶力を頼りに店から見えない場所に移動してメモしたりします。価格交渉を通じて必要な情報を聞き出す場合や、公正取引委員会が関心を持っていることに気付かれないようにして関係者から話を聞き出そうとするときには、かなりの緊張感と度胸が必要になります。
 
特に思い出に残っていることは何ですか
 断片的な申告情報などを基に、関係者への事情聴取を行ったところ、こちらが聞きたいと思っていることに正に不満を持っていた事業者に遭遇して重要な話を聞くことができ、更に全面的な協力が得られたことがあります。
 また、張り込みなどの内偵調査の結果、会合を行う日時と場所が明らかになり、その現場に立ち入ることに成功したことがありますが、これは、情報管理室職員冥利につきる事件と言えます。
 このほか、店舗に商品の価格調査に行ったところ、店員から別の商品を薦められて困ったことや、会合場所への人の出入りを確認するため炎天下で長時間にわたって張り込みを行ったことなど思い出は尽きません。
 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 独占禁止法違反事件を摘発するためには、一般の方々からの情報(申告)が極めて重要です。しかし、公正取引委員会が立入検査などの法的な権限を用いて審査を行うためには、それ相当の疑いをきちんと裏付ける必要があります。このため、断片的な申告情報から補足調査をするのですが、必ずしも十分でない情報から性急な調査を求める方もいて、事件になるものもならなくなってしまうこともあります。独占禁止法違反事件として審査を開始するために、懸命な内偵調査を行っていることを御理解いただければと思います。
 
今後の抱負をお聞かせください
 ヤミカルテル事件や入札談合事件等の独占禁止法違反事件の摘発は、取引形態の複雑化、証拠隠匿の手口の巧妙化、外国企業との取引増加に伴う国際化などにより、従前に比べ立証が困難になってきています。こうした中、今回の受賞を励みとして、日夜地道な補足調査を通じて、自由経済体制にある日本経済の基本原則である「公正かつ自由な競争の促進」の実現に寄与してきたいという決意を新たにしているところです。


張り込み中の情報管理室職員
 

申告電話に対応する情報管理室職員
 
 
 
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