第16回(平成15年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「蒔いた種がアジア諸国の犯罪防止に花開く」
 主にアジア・太平洋地域の刑事司法関係機関の幹部職員を対象とする国際研修等を多年にわたり実施し、各国では我が国をモデルとした検察制度等の各種刑事司法制度を実情に合わせて取り入れ、また、国際犯罪に対抗するために必要不可欠な国際間の協力関係の構築に貢献したことが認められました。
 

法務総合研究所
国際連合研修協力部及び総務企画部国際研修事務部門
(国連アジア極東犯罪防止研修所)
【業務内容】
 法務省法務総合研究所国際連合研修協力部及び総務企画部国際研修事務部門は、昭和36年6月、国連と日本国政府との協定に基づいて設置された国連アジア極東犯罪防止研修所(略称「アジ研」)の運営を行っており、その運営費用は、政府開発援助(ODA)の一環として日本国政府が全額負担しています。
 研修は、これまでに100以上の国及び地域から3,000名以上の開発途上国の刑事司法に携わる幹部職員の参加を得、全寮制により家族のような雰囲気の下で実施しており、その結果、卒業生はいわゆる「アジ研ファミリー」の一員として力強いネットワークを形作り、アジ研の運営を通じて、グローバル化した犯罪に対する国際協力を推進し、「顔の見える」国際貢献を実践しています。
【代表者】 国際連合研修協力部長  酒井 邦彦
【職員数】 18名
 
受賞の感想をお聞かせください
 今回の受賞は、昭和36年のアジ研創設以来、歴代職員が、研修がより充実したものとなり、また、研修員がより快適な研修生活を送れるようにそれぞれの立場で、昼夜を分かたず、創意工夫を凝らしてきたことに対するご褒美であると受け止めております。この受賞の喜びを歴代職員とともに分かち合い、また、アジ研の活動を種々の面で支えてきていただいた多くのボランティアの方々に、改めて御礼申し上げたいと思います。
 これからは、この賞の名に恥じないように、研修等技術協力プログラムの一層の充実に努め、我が国の国際貢献のトップランナーとして走り続けていきたいと思っております。
 
この仕事のやり甲斐は
 文化、歴史、宗教、社会システム、発展の度合いの異なる様々な国から研修員が参加し、出身分野も警察、検察、裁判、矯正、保護、立法など様々です。
研修で、お互いの違いを理解し尊重してもらうように努めるうちに、麻薬、組織犯罪、犯罪者の更生などの問題を、国の違い、仕事の違いを越えて人類共通の問題として熱心に議論するアジ研の研修ポリシーである「統合的アプローチ」の気運が生まれてきます。研修の終了時には、皆がアジ研ファミリーの一員として「地球村」の住人になっていきますが、そんな姿を見ると、研修中の苦労も吹き飛びます。アジ研の研修で蒔いた種がそれぞれの国で大輪の花を咲かせているのを見ることに勝る喜びはありません。
 
業務を行う上で、特に苦労されることは
 アジ研では、刑事司法制度はその国の社会・文化に根ざしたものであるべきと考え、特定の制度を押し付けず、多様性を尊重するように努めていますが、多くのニーズにこたえられるよう、講師、見学先の選定等カリキュラム作りにはいつも大変苦心し、また、研修員は、文化、習慣が異なる多数の国から来ていることから、様々な苦労があります。宗教の関係で牛肉や豚肉が食べられない、断食月には昼間食事が採れないという研修員もいるので食事には気を使います。また、病気になったときには、休日や深夜を問わずに職員が病院に付き添い、研修員が、研修生活に打ち込めるような環境作りに心を砕いています。
特に思い出に残っていることは何ですか
 ある日、突然、一人の外国人がアジ研を訪ね、「私は十数年前にここで研修を受けました。」とアジ研での研修を大変懐かしんでおられました。
 近況を綴った電子メールも毎日のように届き、また、外国出張をすると、必ずと言っていいほど、その国の卒業生から声を掛けられ、初対面なのにお互いまるで古い友人に出会ったかのような気持ちになるなど、アジ研の長年の努力の積み重ねの重みを感じる瞬間です。
国民に知ってもらいたいことはありますか
 アジ研がかかわる多くの国では、組織犯罪、汚職の蔓延、刑務所の過剰収容の問題を抱えています。我が国はいまだに世界では平和で安全な国の一つですが、安全は、空気のようにただで手に入るものではなく、国民一人一人の協力と努力によって初めて維持されるものです。
 また、現代は、犯罪のグローバル化により、ある国の犯罪情勢が直ちに我が国に影響を及ぼす時代です。したがって、アジ研の行っているような技術協力は、対象国のためのみならず、我が国の安全にも大いに役立つものであり、この分野の国際協力の重要性に御理解と御協力をお願いいたします
今後の抱負をお聞かせください
 この技術協力の実績は、世界に冠たるものであると自負しておりますが、現状に甘んじることなく、国連はもとより他のドナー国、関係機関と連携を取りつつ、国際社会のニーズに最も適合した技術協力プロジェクトを企画推進し、世界の平和、安全と繁栄に貢献することができますよう、職員一同力を合わせてまいりたいと考えています


アジ研における国際研修
 
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