第18回(平成17年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「「事件解決」その一報に誇りをもって」
 鑑識資料グループは、犯罪捜査を巡る情勢の悪化により捜査活動が困難化する中、多年にわたり犯罪現場資料の活用のための各種鑑識基礎データを収集、分析、管理して、犯罪鑑識の土台ともいえる鑑識資料データベースの構築を行い、犯罪捜査に資することにより、安心・安全な社会づくりに貢献したことが認められました。
 
刑事局 鑑識資料グループ
【業務内容】
 鑑識資料グループは、犯罪捜査において、人からの情報を得ることが難しくなり、「物からの捜査」の先駆的存在として昭和61年4月に鑑識資料センターとして設置され、平成16年の組織改正で名称を改めました。
 犯罪現場等へ遺留した極微細な「物」から、犯人に関連する捜査資料を得る「微物鑑識」の必要性が叫ばれ始めた時、その「微物鑑識」を行うための係として「基礎資料係」が置かれ、各種工業製品等を収集、分析しています。このほか、足跡等に関するデータの収集、分類、照会を行う「足こん跡係」、全国の被疑者写真の管理と写真業務の指導を行う「写真係」、捜索願いが出された家出人、身元が判明しない死者の票を管理、対照する「身元係」があります。
 これらの係で構築されたデータベースは、全国都道府県警察に提供され、犯罪現場から採取した資料と対照するなどして、犯罪の証明、犯人の特定、身元不明死体の身元確認等に活用されています。
【代表者】 資料鑑識官  吉田 光雄
【職員数】 34名
 
受賞の感想をお聞かせください
鑑識は捜査を支える立場から、よく縁の下の力持ちと言われ、警察の中でもかなり地味な職場です。このため、総裁賞受賞と聞いた時も、都道府県警察の鑑識課、科学捜査研究所が立派な業績を挙げているので、そのお手伝いをしている私たちも評価して頂けたものと思いました。
 親の七光りならぬ都道府県警察の七光りで賞を頂くのも面映ゆい気もしますが、黙々と業務を全うしてきた個々の職員の努力を思うと、我々の仕事にも目を向けて頂いて、ありがたいという気持ちで一杯で、今後の仕事に大いに励みになるものと思っています。
 
この仕事のやり甲斐は
仕事のやり甲斐を感じるのは、我々の提供したデータが都道府県警察の鑑識・鑑定作業に役立ち事件解決に寄与したときです。
鑑識資料グループのデータは、指紋やDNAのように個人を特定するものではなく、犯人らしき者がどのような車を使い、どのような履物を履き、どのような品物を持ち、使用したかを特定する時に利用されるもので、これだけで直接犯人に結びつくものではありません。それだけに第一線の捜査・鑑識の活躍により、犯人に結びつく有効な物的証拠として活用された時、地道な業務が実を結んだと実感し、さらに良いデータの作成に意欲が湧いてきます。
業務を行う上で、特に苦労されることは
基礎資料係では、高度の様々な分析機材、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計、ガスクロマトグラフ質量分析計、走査電子顕微鏡などを駆使して、収集した鑑識標本の分析データを測定していますが、その取扱いに当たっては、専門的知識、技術が要求されます。一方、配属される者は必ずしも専門技術を有している者ばかりではないことから、人材の育成には大変苦労しています。
特に思い出に残っていることは何ですか
鑑識資料センター発足当時、「魚のウロコからその種類がわかるような資料」の要望がありました。都道府県警察には科学捜査研究所があり、専門分野別に鑑定技術職員が配置されていますが、魚のウロコの専門家はいませんでした。そこで、各都道府県警察に数種類の魚を割り当て、魚の写真とそのウロコ等を送ってもらい、図書館で専門書を調べたり、専門家に相談したりして、ウロコを染色する作業などを試行錯誤して行い、魚のウロコの写真、特徴、見分け方を記載した資料をようやく作成することが出来ました。
国民に知ってもらいたいことはありますか
身元確認業務では、行方不明者や家出人など行方がわからない方のご家族からのご相談を受け付けています。ご家族の中には、相談する方法が分からず悩まれている方や警察への相談をためらっている方もいらっしゃると思いますが、早期に相談して頂ければ、それだけ発見しやすくなります。相談の内容やプライバシーは厳重に守られますのでご安心ください。詳しくは各都道府県警察本部鑑識課又は最寄りの警察署、交番でお尋ねください。
今後の抱負をおきかせください
私たちの仕事は、作成したデータ、構築したシステムを第一線警察にどれだけ活用されるかにかかっています。利用価値の高いデータ、システムを提供していくためには、社会情勢の変化はもちろんのこと、都道府県警察がそれぞれ抱えている問題、要望を如何に早く察知して、それに応えていくことが大事だと考えています。
鑑識資料グループが設置されてから二〇年、常にアンテナを研ぎ澄ませ、提供するデータ、システムが最高のものになるよう、最善を尽くして頑張っていきたいと思います。

履物を対照する係官
 
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