第18回(平成17年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
「困難を乗り越え地域の生活を守り続けて半世紀」
 柳瀬ダム管理支所は、山間の地滑り地帯にあり、台風等により周辺道路が崩落して通行止めになった場合には孤立することもあるなど劣悪な勤務環境の中、半世紀にわたり適切な洪水調節と水の安定供給を行い、下流域住民の生命・財産を守るとともに、利水者の生活面での安心を確保することに貢献したことが認められました。
 
四地方整備局 吉野川ダム統合管理事務所
柳瀬ダム管理支所
【業務内容】
 柳瀬ダムは、昭和29年に完成した四国初の多目的ダムで、吉野川水系銅山川の中流部にあり、洪水調節により下流域の洪水被害の軽減を図るとともに、四国中央市への用水供給(かんがい用水、水道用水、工業用水)と発電を行っています。特に工業用水は、日本一の紙生産地として発展してきた四国中央市の紙産業を支え、愛媛県東予地方の経済を担う重要な役割を果たしています。
 柳瀬ダム管理支所では、ダム本体や管理施設の点検、利水補給や水質の監視、湖岸修復や流木除去等、ダム及び貯水池の日々の管理と洪水時のゲート操作等の適切なダム管理に努めています。
【代表者】 支所長  香川 正好
【職員数】 6名
 
受賞の感想をお聞かせください
 職員一同、名誉ある受賞に大変感激しています。今回の受賞は、地域住民、取水ユーザ、地方公共団体など多くの方々のご理解とご協力の賜物と思っています。今後とも皆様方のご期待に応えるべく、業務に励む所存です。
 管理部門の業務は特に事故等あってはならず、何もなくて当たり前です。したがって、他の部署に比べクローズアップされることは少ないのですが、今回の受賞は私ども管理支所だけではなく、全国の同様な業務に従事している職員の励みになると思います。
 
この仕事のやり甲斐は
 ダムは地域と共生し、歴史や文化・産業を支え創っています。それは、20年、50年といった永い時間をかけて確実に現れてくるものです。洪水の被害を軽減し、紙産業を支え、農家が作物を収穫し、上水道や電気が各家庭に供給されています。これら地域の人々の生活とダムが一体となっていることを考える時、日々のダム管理が、何事もなく適切に行われ、当たり前のように人々に安全で安心した生活を提供できることが大きなやり甲斐です。
業務を行う上で、特に苦労されることは
 管理支所周辺には、民家や公共施設もなく、地滑り地帯であることから道路整備は遅々として進まず、職員は毎日約22キロの山道を約50分かけて車で通勤しています。この道路は大きなカーブの連続する一車線の道路で日常的に落石が発生しており、この危険な道路を日々通勤や業務に利用せざるを得ないため、特に夜間や降雨時などは職員の安全確保に注意を払う必要があります。
 このような劣悪な勤務環境の中、平成16年は、24時間態勢での洪水調節のためのゲート操作を連続50日、延べ110日行ったため、職員の健康管理が重要となりました。幸い体調を大きく崩す職員もなく、職員の一致団結した取組により、適切なダム管理が行うことができました。

特に思い出に残っていることは何ですか
 平成16年には6個の台風が四国に上陸し、その都度土砂崩れにより周辺道路が遮断され、延べ5日間は孤立状態となりました。食料は備蓄した非常食が役に立ち、また、庁舎内の水道は約3キロ上流の谷川から水を引いていますが、給水施設が被災したため断水状態が続き、備蓄水の利用や宿舎からポリタンクに水道水を溜めて運び込みました。
 不測の対応を強いられ、この時ほど、「何も起こらないことが当たり前ではない」と感じたことはありません。今後の教訓にしたいと思います。
国民に知ってもらいたいことはありますか
 まず、ダムのある山間部や下流の河川では、防災情報やダムからの放流警報等に注意していただきたいと思います。山間部は雨・風が強く、土砂崩れや土石流、倒木による被害が発生しやすい地域です。また、ダムからの放流警報やサイレンが聞こえた場合には、河川の水嵩が急に増すため、絶対に川に近づかないように心がけていただきたいと思います。
 次に、ダムのある河川の下流域や用水を利用している地域の方々には、ダムやダムのある地域にもっと興味を持っていただき、人と水、ダムと地域の歴史を知っていただきたいと思います。全国各地でダムを生かした水源地域の活性化と交流促進を目的としたダム水源地域ビジョンの策定が進められています。多くの方の参加、協力をお願いします。
今後の抱負をおきかせください
 ダムに限りませんが、建設されて時間の経過した施設では、勤務環境の悪さや機能不足等のために業務がより厳しさを増します。今回の経験で、勤務環境の改善や管理施設の機能向上の必要性を強く感じました。平成16年の全国的な一連の深刻な豪雨災害から、防災機能を一層向上させる施設としてダム等の既存施設が注目され、柳瀬ダムについても、平成17年度から機能向上の検討に着手しました。
 今回の表彰を契機として、半世紀にわたり行われてきたダム管理業務の必要性・重要性を職員一同再認識し、地域の人々の安全・安心をより磐石なものとすべく、信念をもって職務を遂行してまいりたいと思います。

ダム操作室での業務の様子
 
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