第19回(平成18年)
 
 
仕事の原点を再認識
 
今田 幸子
労働政策研究・研修機構
統括研究員
 
 子供のときから仕事をしている姿を見るのが大好きだった。何時間も飽きずに眺めていたものだ。労働研究に関わるようになって、その傾向はますます強くなっている。だから、人事院総裁賞の選考は、私のような仕事ウオッチャーにとって、重責の痛感とともに至福のときでもある。提出された資料に目を通していると、仕事ぶりが鮮やかに目の前に展開して、感動が湧き上がってくる。今回各府省等から推薦されてきた候補は、個人部門の3名、職域部門の15団体。多くの感動をいただいた。
 個人部門の受賞は、エイズ治療の充実と知識の普及に多大の貢献をされた仙台医療センター特命副院長の佐藤功さん。改めて医療の奥深さを、すなわち、医療が病気の治療に留まらず、人の心や地域社会の変革を促す壮大な活動であることを佐藤さんの活動は教えてくれた。今ではエイズについての知識はある程度浸透してきており、偏見や過剰な恐怖心は沈静化してきている。いずれの病気の場合もそうだが、情報・知識の不足や偏見が治療を遅らせ困難にする。エイズは特にそうした傾向が強かった。氏は、正しい知識の普及のために、行政や教育、ボランティア組織等を通じての啓もう活動、病院のホームページでの正しい情報提供など、多角的な活動によって、HIV感染についての正しい知識の啓もうに尽力された。
 職域部門の受賞は3団体。青葉女子学園創作オペレッタ指導チームは、少年院に送致された少女達に、オペレッタの創作と上演を少女達自身の手で行うことを指導し、閉ざされた心を開かせるとともに保護者との関係修復を促すなどを通じて、再非行防止と社会復帰に多大な効果を上げている。北海道森林管理局根釧西部森林管理署パイロットフォレスト造成事業実施グループは、山火事等で荒涼たる原野と化した広大な荒地を、延べ50万人の労力と50年の歳月をかけて、緑溢れる大地に復元した。復元作業には過酷な条件が多々あったが、職員の創意工夫によって、困難は克服された。復元によって地域の林産業に貢献するとともに、湿原や下流の水産資源の保護に多大の寄与を果たした。水産資源の争奪戦がますます激しさを増す昨今であるが、九州漁業調整事務所漁業取締グループは、外国漁船による無許可での操業、漁獲割当を超えた乱獲、違法漁具の設置などの違法操業の取締りを行い、わが国の漁業秩序の維持と水産資源の保護など漁業の健全な発展に貢献した。取締りの作業は過酷であるとともにときには危険を伴うことさえある。強い責任感で押収や拿捕などにおいてめざましい実績を挙げている。
 受賞された方々だけでなく、推薦されたすべての候補からたくさん感動をいただいた。この感動は、公務に携わることに由来する使命感や責任感に触れたことによるといえるが、併せて、職務の達成から帰結する「仕事の喜び」を、私達が改めて感じることができたからではないだろうか。仕事の喜び、これこそ仕事の原点というべきものではないか。
   (人事院総裁賞選考委員)

 
 
 
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