第19回(平成18年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
再非行防止と健全な社会復帰に向けて −創作オペレッタを通じて−
 創作オペレッタ指導チームは、収容された女子少年の矯正教育に少年たちの手作りによる創作オペレッタ(小さな音楽劇)を取り入れ、この制作、上演を通じて少年の協調性や共感性のかん養、自己イメージの回復などを図ることにより社会生活に健全に適応できる能力を身に付けさせるなど、少年の再非行防止に貢献したことが認められました。
 
法務省 青葉女子学園 創作オペレッタ指導チーム
【業務内容】
 青葉女子学園は、仙台市に設立された女子少年院であり、少年院送致の決定を受けた東北管内の14歳から20歳までの少女を収容しています。19名の法務教官が少女の指導を直接担当し、24時間体制で、少女たちに社会生活に健全に適応できる能力を身に付けさせるための矯正教育に取り組んでいます。当園では、長年にわたり情操教育に力を入れており、その集大成として昭和62年から学園祭で「創作オペレッタ」を上演しています。
【代表者】 北村 信子 専門官 
【職員数】 19名
☆受賞の感想をお願いします
 我々の仕事は、社会的には目立たない地味なものですが、今回賞をいただいたことで、自分たちは価値のある業務に従事しているのだと、仕事に対する誇りと自信を改めて感じるとともに、身の引き締まる思いがしました。
 また、今回の受賞は、前身である音楽劇を含めこれまでの創作オペレッタ制作に関わったすべての職員、協力者の方々、そして何より少女たちの力のたまものと感謝しています。
 
この仕事のやり甲斐は
 関係者の方々の感想や、制作過程の少女たちの姿を見ていると、これは単なる演技発表ではなく、観る者に家庭や社会が抱える問題を提示し、少女たちには自分の役割や居場所を確認し、達成感を味わわせる感動の場になっていると実感できます。また、職員にとっても、指導力を高める絶好の学びの場となっています。少女たちの変化していく姿を見ることができる喜びが、一番のやり甲斐です。
業務を行う上で特に苦労されることは
 少女たちが五月雨式に入院してくること、様々な問題を抱えた少女がいることなどから、全員で共同制作作業を継続させることは容易ではありません。そんな中、職員は、通常の教育活動を行いつつ、題材の決定から脚本の作成、作曲、道具の製作、合唱、照明、練習に至るまでの各々のパートの班活動を分担して担当し、個々の少女の問題性に昼夜を問わず対応しながら、作品を完成させなくてはなりません。その点に毎年苦労しています。
特に思い出に残っていることは何ですか
 初めて創作オペレッタに取り組んだとき、職員が書いた2ページのあらすじが、少女たちの手により21ページの大作に成長して戻ってきたのを見て、彼女たちの心にあるこのたくさんの感情を適切に整理、表現させていく役割を創作オペレッタが担うのだという責任を感じたことが忘れられません。また、規律違反を起こし、1週間以上練習に参加できなくなった少女が、担任教官と力を合わせて遅れを取り戻し、本番終了後に2人で抱き合って泣いていた姿も思い出に残っています。
国民に知ってもらいたいことはありますか
 創作オペレッタは、上手に演じさせることではなく、少女たちが更生するために必要なことを身に付けてもらいたいという思いで行っています。創作前後の面接、日記、作文、生活態度からは、少女たちの内面的な成長が確実に認められます。特に、一つのものを全員で作り上げていく過程で少女たちが学ぶ協調性、忍耐力及び責任感についての進歩は最も著しく、ここで身に付けた力は少女たちの更生に必ず役立つと信じています。
今後の抱負をお聞かせください
 創作オペレッタの効果として目指していることは、@これまで言えなかった気持ちを表現すること、A全員が協力して一つのものを作り上げること、Bルールを守り、役割を果たすことの大切さを学ばせること、C達成感を味わわせ、良好な自己イメージを回復させること、D保護者に発表を見てもらい、親子関係を調整することなどです。日々の地道な矯正教育の積み重ねが土台にあってこそ達成できるこれらの取組が、少女の再非行防止につながると思っています。これらの重要性を職員一同再度認識し、少女たちの更生のため、職務を遂行してまいりたいと思います。

学園祭での創作オペレッタ上演風景
 
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