第19回(平成18年)「人事院総裁賞」職域グループ部門受賞者
 
 
森林よ蘇れ 半世紀にわたり営々と続けたバトンリレー
 パイロットフォレスト造成事業実施グループは、50年の永きにわたり広大な原野に造林事業を実施して森林を蘇らせました。湿原への人力での丸太道路の作設、寒冷な気象環境や野鼠被害などの厳しい条件を、職員の努力と創意工夫で克服し、地域の林産業の振興と周辺の湿原などの自然環境の保護に貢献したことが認められました。
 
林野庁 北海道森林管理局 根釧西部森林管理署
 パイロットフォレスト造成事業実施グループ
【業務内容】
パイロットフォレスト(特別造林計画)造成事業の実施区域は、釧路市の北東約50キロメートル、太平洋岸の厚岸湖に注ぐベカンベウシ川の中流域に位置しています。
 この広大な団地を形成する森林は、東京ディズニーランド140個分にも相当する7,200ヘクタールに及ぶカラマツ造林地で、今日まで、50年の歳月と延べ約50万人の血のにじむような労力と林業技術の結晶として造成されたものであ り、今、成熟期を迎えうっ蒼とした森林となっています。
 事業に先立っては、事業地の前面に横たわる湿原帯に道路を作設することが最優先課題でした。初めは湿原に丸太を直接敷き並べ針金で結束する浮橋を作りましたが、軟弱な地盤だったため重量物を運搬する度に沈下する有様でした。また、造林に当たっては、野鼠の被害防止や山火事の予消防、各種作業の効率化などを職員の様々な創意工夫により克服しました。
 その後も、営々と保育事業を実施し、これまで間伐によるカラマツ材の供給源として地域林産業に貢献するとともに、下流のカキの増養殖やタンチョウヅルの生息地でもある湿原の保護などに大きく寄与しています。
【代表者】 南川 髀t 署長
【職員数】 8名
☆受賞の感想をお願いします
 森林の造成事業を通じて環境保全や地域振興に貢献できたことを評価いただいたことに感謝しています。この賞は、厳しい自然環境の中で長年労苦を積み重ねられた多くの先輩方に贈られた栄誉と考えています。
 また、先般、パイロットフォレスト造成50周年記念行事を盛大に開催したところであり、二重の喜びです。
 
この仕事のやり甲斐は
 カラマツ資源の持続的な利用に向けて新たな施業方法に取り組む考えです。初の試みですが、地域林産業関係者からの期待も大きいだけに、やり甲斐もあります。
 また、事業地内にはベカンベウシ湿原を見渡せる展望台があり、壮大な景色の中にタンチョウヅルも観ることができ、自然の豊かさを実感できることも魅力です。 
業務を行う上で特に苦労されたことは
湿原に丸太を直接敷き並べた浮橋は、日々の自然沈下もあって、人手で修理に修理を重ねたと聞いています。また、植栽した苗木を野鼠の食害から守るための防鼠溝の設置や、独自の捕獲器の考案、また、山火事に備えて交代で見張りを立てるなど当事の苦労は言い表せないほどであったと聞いています。
特に思い出に残っていることは何ですか
 最初の浮橋は延長500メートルにも及びましたが、見た目や通行する際に起きる振動から「洗濯板の道」「電気あんまの道」と愛称されていたと聞いています。
 また、模範囚による就労が昭和36年から40年まで実施され、造成事業の一翼を担いましたが、その宿舎は全国でも初の試みとして「塀のない刑務所」が誕生したと聞いています。
国民に知ってもらいたいことはありますか
森林の造成には長い歳月と多くの労力そして経費を必要としますが、蘇った森林は森林の有する多面的な機能を発揮して様々な国民の要請に応えてくれています。今後も環境と調和した管理経営に取り組む考えですので、森林・林業に対して一層のご支援をいただければと思っています。 
今後の抱負をお聞かせください
パイロットフォレストにおいては、長伐期化や複層林化等を推進する中で、カラマツ材の産地銘柄化や森林環境教育活動のためのフィールド提供、指導者の派遣等に取り組んでいきたいと考えています。
そして、多くの先輩方から受け継いだ森林を守り、常に地域に貢献し、信頼される森林管理署でありたいと考えています。 

沈下した丸太橋の補修(昭和33年)
 
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