第19回(平成18年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
積極的な啓もう活動でエイズ医療を支える
 東北地域におけるエイズ医療に指導的役割を果たす仙台医療センターのエイズ医療責任者として、エイズに関して、偏見をなくすための正しい知識の啓もうや患者の立場に立った医療に献身し、地域におけるエイズ医療の充実、向上に貢献したことが認められました。 

佐藤  功
独立行政法人国立病院機構
仙台医療センター特命副院長
 岩手県出身。昭和54年5月から旧国立仙台病院内科に勤務、主に血液疾患を診療。内科医長、診療部長を経て、平成17年4月より特命副院長。平成7年からHIV感染症の診療を担当。妻と息子3人の5人家族。趣味は釣り、硬式テニス。65歳。
 
受賞の感想をお聞かせください
 当院が、東北エイズブロック拠点病院に選定され、10年目が過ぎ去ろうとした矢先、この大変名誉ある人事院総裁賞を受賞 し、どのように受け止めてよいか戸惑いましたが、身に余る光栄なことと、大変感謝しています。
 今回の受賞は当初からHIV(ヒト免疫不全ウイルス)診療体制確立を目指し、共に力を合わせHIV診療や取組に携わったスタッフや沢山の職員の皆さん、更には東北の拠点病院の方々のご尽力、HIV関連研究班の皆さんのご指導により、東北のHIV診療向上等に関する様々な取組が評価されたと思います。従って関係者の代表として賞をいただいたものと受け止めています。携わる皆さんにも厚く感謝申し上げます。
 
この仕事のやり甲斐は
 HIV感染症はまだまだ偏見・差別を受けやすい疾患です。疾患そのもの、社会的、経済的、心理的など多くの問題を抱えた疾患です。患者が診療後次第にHIV感染症を受け入れ、心理的にも安定し、免疫が改善され、通常の社会生活に復帰した時は、やり甲斐を感じます。
これまでの業務を通じて特に苦労されたことは
 平成8年に東北のエイズブロック拠点病院に選定されました。HIV診療を向上させること、臨床研究の実施、研修会の開催、情報の提供がブロック拠点病院に課せられた役割です。しかし、HIV診療経験は浅く、院内HIV診療体制構築、外来診療マニュアル、汚染事故防止マニュアル作成などから始まり、正直言って、最初の1年目は他の拠点病院のHIV診療支援を行う余裕はありませんでした。
 また、HIV感染症は今でこそ慢性のウイルス性疾患であり、適正な治療を受ければ、天寿を全うすることも期待されるようになりましたが、当初は抗HIV薬も少なく、十分な効果が得られる治療はできませんでした。 
☆特に思い出に残っていることは何ですか
 平成9年以降HIV感染症の治療はプロテアーゼ阻害剤が開発導入され、いわゆるHAART治療(強力な抗HIV治療)が開発されてから多くの患者はウイルスが強力に抑制され、免疫力も回復して普通に社会生活ができるようになり、明るい未来が開けたと実感できたことです。 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 HIV感染者は日本ではまだまだ増加の一途をたどり、若者にその傾向が強い疾患です。正しい知識が周知されていないため、偏見や差別を受けるのではとの恐れから、感染のリスクに気が付きながら、結果が怖くてHIV検査を受けない人が沢山いると思います。HIV感染症についての正しい知識やセーファーセックスなどの知識の習得、HIV検査の受検推進等、HIV感染の拡大防止の必要性を認識していただければと思います。 
今後の抱負をお聞かせください
 HIV感染症はコントロールはできても、現在のところウイルスを体から完全に排除することはできません。HIV治療も大事ですが、HIV感染は性感染によるものが大部分であり、若者にまん延している他の性感染症と共にHIV感染症の拡大防止も重要であり、急務であると考えられます。HIV診療レベルの向上維持と共に、感染予防についても多分野での啓もう活動を多くの関係者と共に取り組んでいきたいと考えています。
 また、薬害のHIV感染者の皆さんはほとんどがC型肝炎を合併しています。HIV感染はコントロールできても肝炎が進行して肝不全で亡くなる方が増えてきています。このような疾患の治療にも更に取り組んで行きたいと考えています。
          


東北エイズHIV看護研修における講義風景
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