第20回(平成19年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者
 
 
三五〇年前の景観を現在に残す達人の技
 岡部さんは、多年にわたり桂離宮等文化的価値の高い宮廷庭園の維持管理に当たっています。日々の努力と研鑽により、「御所透かし」、「大刈り込み」といった宮廷庭園独特の造園技法などについて、卓越した技能を身につけて庭園の景観保持を行い、我が国固有の文化を守ることに貢献したことが認められました。 

岡部  勉
宮内庁京都事務所林園課
 昭和41年から宮内庁京都事務所に勤務。2人の子ども(一男一女)はすでに独立し、妻と二人暮らし。趣味は園芸(特に椿を自宅で育てること)。60歳。
 
受賞の感想をお聞かせください
 このたびの栄誉は、宮内庁歴代職員により継承されてきた庭園管理技術そのものが評価されたもので、私はその中継ぎの一人に過ぎません。良き上司と同僚に恵まれ教えていただいたおかげで今の自分があり、その方々を代表し受賞するということは身の引き締まる思いです。内示をいただいた時は、本当に驚き、今でも受賞の役目を辞退したいくらいの気持ちです。
 
この仕事のやり甲斐は
 御所・離宮庭園は、一般の参観で広く国民に公開され親しまれていると同時に、国公賓をお迎えして、日本特有の文化を知っていただく場でもあります。このように文化的意義の大きい庭園の維持管理に携わる職員の一人として働けることは幸せの一語に尽き、誇りに思います。
これまでの業務を通じて特に苦労されたことは
 庭園を構成するものの中でも、とりわけ植物の生育は、天候等の環境の変化に影響されやすいものです。ときどきの状態をよく把握し、生育の過程を想像しながら種々の植物の特性に応じた伝統の技法を駆使しつつ、自然な状態の庭を保つことに神経を使います。 
☆特に思い出に残っていることは何ですか
 初めて高木に上がった時は、恐怖を感じてこの仕事を続けていけるか不安を覚えました。
 枯れかかった木に処置を施し生気を取り戻した時は、物言わぬ相手が応えてくれたようで喜ばしいことでした。
桂垣は府道沿いにあるので、たびたび車に突入されて壊れることもあり、そのたびに急に補修を要する苦労もありました。 

               
         ※ 生きたままの竹で編んだ「桂垣」(写真左側の垣)

国民に知ってもらいたいことはありますか
 宮廷庭園の管理は、「御所透かし」や「大刈り込み」等独特の技法や道具を使い、ほとんどが手作業で手間と時間のかかる仕事の積み重ねです。
四季折々に表情を変える、世界に誇れる日本の庭園美を心に留めていただきたいと思います。
                                                               

            手入れ前                           手入れ後
     ※ 樹形を保ったまま古い枝を切り落とし新しい枝に差し替える「御所透か し」の技法。



                  
       ※ 大刈り込み」は、写真上の長い柄の先に直刃が付いた鎌(打ち鎌)を使って行う。

今後の抱負をお聞かせください
 庭園の姿は、次代を担う若者の力量にかかっているので、微力ながら私の持てる限りの技術と庭園への愛情を後進に伝えて、日本を代表する庭園美を保つため、日々努力を続ける所存です。
          


桂離宮における松の秋季手入れ作業(御所透かし)
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