第21回(平成20年)「人事院総裁賞」個人部門受賞
 
 
純正画一な貨幣製造を可能にしてきた、圧延作業の第一人者

 佐藤さんは、豊富な経験と熟達した技能をもって地金を貨幣の厚さに仕上げる圧延作業に一貫して従事し、造幣局の使命である純正画一な貨幣製造に貢献したことが認められました。
(注)圧延作業・・・金属の鋳塊を圧延機で貨幣の厚みにまで延ばす作業。 

佐藤 実
独立行政法人造幣局 
広島支局 
貨幣第一課主任作業長
 昭和44年4月に大蔵省造幣局広島支局(現・独立行政法人造幣局広島支局)に採用。以来貨幣製造の基幹部門である圧延作業一筋に従事。
 平成17年4月に貨幣第一課主任作業長。家族は、母、妻、一男、一女。趣味はゴルフ。60歳。
受賞の感想をお聞かせください
 定年退職を迎える年に、このような名誉な賞を受けることになるとは夢にも思いませんでした。
 受賞を知った時には実感がわかず、ただ驚くばかりで、私のようなものが受賞してよいものかと戸惑いました。今は、「この賞は造幣局に対して賜ったものと受け止めており、私はその中の一人に過ぎない」というのが素直な気持ちです。
 これまで造幣局を支えてこられた諸先輩方、ご推挙してくださった方々、現在造幣事業に一緒に携わっている方々、そして、地元広島の“コイン通りの仲間たち”とともに、皆でこの栄誉を受けたいと思います。
 
この仕事のやりがいは
 私たちが延ばした材料が製品となり、貨幣として発行されて社会に出たときは格別な思いがあります。新しい貨幣を銀行の窓口や店頭でお釣りとして受け取ったときには、何とも言えない感慨深いものがあります。国民の皆様に信頼される貨幣づくりに、今後とも造幣局職員として誇りを持って仕事に従事していきたいと思います。
これまでの業務を通じて特に苦労されたことは
 昭和六二年に、造幣局としては初めて圧延板の表と裏の酸化した部分を削る機械(面削機)が導入されることとなりましたが、当時は民間でも両面を削る機械は出回っておらず関連情報が入手でき難い状況でした。私たちにとってもそれまで使ったことのない機械でしたので、職場の仲間と「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返し、やっとうまく立ち上がったときには、大きなやりがいと達成感を強く感じました。
(注)面削機・・・螺旋状に配置された超硬刃で熱間圧延済の板表面を薄く削る機械
☆特に思い出に残っていることはありますか
 旧五〇〇円貨幣の変造貨幣が出回り、その影響で五〇〇円貨幣が自動販売機で使用できない時期がありましたが、国民の皆さんにご不便をおかけしていたにもかかわらず、新しい五〇〇円貨幣を製造するための圧延作業がなかなか上手くいかず、その責任感から胃が痛む思いをしました。しかし、苦労の末に作業が軌道に乗り、新五〇〇円貨幣製造作業が本格化した後は、工場が新しい五〇〇円貨幣の材質であるニッケル黄銅の黄色一色に染まっていき、そのときの感動が今でも深く心に残っています。
国民に知ってもらいたいことはありますか
 本年度、造幣局は、地方自治法施行六〇周年を記念して、北海道を皮切りに京都府、島根県の記念貨幣を製造しています。このうち、五〇〇円記念貨幣については、日本で初めて製造する「バイカラー・クラッド貨幣」であり、異なる金属を組み合わせた二色三層の複雑な構造をしています。是非とも「ものづくり造幣」の技術と挑戦を見ていただきたいと思います。この記念貨幣は、来年度以降も毎年順次製造し、四七都道府県のすべてが発行される予定ですので、皆さんのふるさとの記念コインとして興味を持っていただけるものと確信しています。
 また、造幣局といえば大阪の「桜の通り抜け」が有名ですが、広島支局においても平成三年から―八重桜TN広島―「花のまわりみち」と銘うって桜の一般開放をしており、今では広島の春の風物詩ともなっています。  
 なお、「花のまわりみち」のほかにも、国民の皆様に造幣事業をご理解いただくため、貨幣の製造工程等をご覧いただけるよう見学のご案内をしておりますので、是非とも多くの皆様にお越しいただきたいと思います。 
今後の抱負をお聞かせください
 退職までに残された時間はあまりありませんが、これまで培った経験を生かし、引き続き貨幣製造作業に精励するとともに、これからの造幣を担っていく後輩に技術を伝承することができれば幸いに思います。
 なお、退職後は先輩たちと日本各地の名門コースを回るゴルフ旅行を楽しみにしています。
          

熱間圧延板の両面面削後の板圧(品質)確認作業
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