第21回(平成20年)「人事院総裁賞」個人部門受賞
 
 
海上犯罪捜査を数多く解明し、捜査技能と海保魂の伝承に尽力

 寶井さんは、海上犯罪捜査の第一人者として、数多くの事件解明に貢献するとともに、自らの豊富な知識・経験・技能を惜しみなく後輩に伝承し、捜査能力の向上に貢献したことが認められました。 

寶井 允宣
海上保安庁 
第五管区海上保安本部 
大阪海上保安監部次長
 鹿児島県出身。昭和42年4月海上保安庁に採用。以後第六管区、第五管区の海上保安部署の捜査部門に勤務し、平成19年4月から現職。二人の息子はすでに独立し、現在は妻との二人暮らし。趣味・ドライブ、読書。60歳。
受賞の感想をお聞かせください
 受賞を知らされて非常に驚くとともに、これまで幾多の諸先輩が営々と築いてこられた海上保安庁の捜査技能を継承し、単に後輩に伝えるという繋ぎ役を果たしただけの自分にこのような晴れがましい賞をいただく資格があるのかというのが正直な気持ちです。しかし、海上保安業務の中の一つの分野に過ぎない捜査部門が評価され、今回の受賞に結びついたのであれば、海上犯罪捜査に従事してきた諸先輩や同僚を代表して受賞することにもなりますので、身に余る栄誉と考えています。
 
この仕事のやりがいは
 警察における事件捜査と同様、海上保安庁の捜査においても、二つとして同じ事件はなく、それぞれに様々な顔を持っています。そのような様々な事件に遭遇する度に、右往左往しながらも事件の筋を読みつつ事件の解決に向けて仕事をしていくわけでして、事件が解決したときの喜びはひとしおでそれまでの苦労も一気に吹き飛んでしまいます。こういった気持ちは、経験した者にしか分からないものではありますが、このひとときを苦労した仲間とともに味わいたいがために辛い仕事でも我慢してこなしていけるのではないかと思います。
これまでの業務を通じて特に苦労されたことは
 生来の楽天主義者ですのでさほど苦労したとは思っていません。強いて申せば、海上保安官は「特別司法警察職員」として「海上における犯罪」について司法権を行使しているわけですが、海上の特殊性といいますか、陸上で生活されている方には理解できないようなことが多く、例えば、こんなに広い海の上で何故船舶同士が衝突するのかとか、何故船にはブレーキがないのかといった質問を受けたりすることもありまして、その度にその具体的な説明から始めなければならないといった焦れったさを感じることぐらいでしょうか。 
☆特に思い出に残っていることはありますか
 取調べというものは、真実を糾明するためにきつくなることも多く、相手から恨まれて当然の因果な仕事ですが、事件解決後に自分が取調べを担当した人から年賀状が届くようになり、何年か経ってその人が海上保安庁の応援組織である「海上保安友の会」に入ったと聞かされ、感激したことがあります。犯罪捜査というものは、決して犯罪者を捕まえるということだけが目的ではなく、むしろいかに犯した罪を悔いて立ち直ってくれるかということの方に比重があると言われていますが、取調官と被疑者の関係で知り合ったとは言いながら、こちらの心情を酌んで良き理解者となってくれる人もいるんだということを知り、つくづく海上保安官冥利に尽きると感じています。 
国民に知ってもらいたいことはありますか
 海上保安庁は今年創設六〇周年を迎え、最近でこそ映画「海猿」のヒットや「海上保安庁二四時」といった特番などによってある程度知名度が上がったとは感じていますが、残念ながら、いまだに海上自衛隊と混同されることも多く、国民の目の届きにくい遙か洋上で日夜海上治安の維持に全身全霊を傾けて頑張っている海上保安官がいるということを知っていただければ幸いです。 
今後の抱負をお聞かせください
 すでに退職までカウントダウンに入っていますが、今回の受賞を励みに、最後まで若手海上保安官に対する捜査技能の伝承に全力を投入していきたいと決意しています。
          

捜査技能伝承官研修の模様
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