第22回(平成21年)「人事院総裁賞」職域部門受賞

 

 

太平洋の絶海の孤島「南鳥島」でのロランC局の適正運用に尽力

 

 千葉ロランセンター南鳥島ロランC局は、日本最東端の孤島において、厳しい勤務環境に耐えながら大型電波標識局の機能を適正に維持することにより、航行する船舶の安全確保に貢献したことが認められました。

 

南鳥島ロランC局

千葉ロランセンター

 

海上保安庁 第三管区海上保安本部

千葉ロランセンター 南鳥島ロランC局

【業務内容】
 千葉ロランセンターは、船舶が安全に航海するための電波航法システムの一種であるロランCを的確に運用するため、平成5年10月から北西太平洋ロランCチェーンを構成する新島(東京都)及び南鳥島ロランC局を運営しています。

 南鳥島ロランC局は、本邦の遥か東方約1,950qの太平洋上の孤島にあり、その運営は、職員が約20日間交代で滞在して行います。厳しい勤務環境のもと、大型電波標識の機能を適正に維持し、島での生活に必要な電気、水道等を確保するための諸設備の維持、管理なども行っていました。

 なお、南鳥島ロランC局は、GPS(全世界測位システム)の普及等によりロランCの利用者が減少したことから、平成21年12月1日をもって閉局しました。

【代表者】 外舘 信一 所長

【職員数】 39名

 

 

 

受賞の感想をお願いします

 職員一同、今回の名誉ある受賞に深く感謝いたします。平成5年の開局以来、南鳥島で勤務してきた多くの先輩・同僚職員に対し贈られた栄誉であり、また、私ども職員にとっても今回の受賞は大変大きな励みになることと思います。

 

この仕事のやりがいは

 南鳥島ロランC局が発射する電波の有効利用範囲は、本邦東岸においてオホーツク海の一部海域から沖ノ鳥島周辺海域に及ぶ広い海域となっており、海象の静穏なときはもとより、激しく荒れたときでも、船舶が安全に航海できるようロランC電波を絶やすことなく発射し続ける仕事は、海上における国民の生命、財産の保護を使命とする海上保安庁の職員として大きなやりがいを感じます。

 

業務を行う上で特に苦労されることは

 南鳥島周辺海域で突如発生する雷は、ロランC局の施設機器に障害を及ぼすことが多く、障害発生時には昼夜を問わず迅速な復旧作業を行う必要があり、南鳥島ロランC局が抱える恒常的な悩みとなっていました。

また、日頃職員が高電力・高周波電波を扱うに当たっての安全管理と島内で使用する電力、飲料水の安定確保には細心の注意を傾ける必要があり、さらに、南鳥島の動植物環境に影響を及ぼす無用な物資は持ち込まず、残さないように留意していました。

 

特に思い出に残っていることは何ですか

南鳥島は台風通過海域にあり、何度か台風の襲来を受けましたが、平成18年には台風12号が接近し、運用開始後初めて全職員が南鳥島ロランC局を離れ硫黄島に避難しました。職員はロランC局を運用継続の状態で離島し、8日後に帰島しましたが、標高8mしかないこの島は波高9mと推定される大波を受け島面積のほぼ半分が冠水し、屋外施設に甚大な被害がありましたが、ロランC局は正常に電波を発射していました。

また また、物資の輸送は、南鳥島に大型船舶が横付けできる岸壁がないため、物資を積んだ船舶を沖合いに錨泊させ、そこから小型船に物資を積み替えて行いました。中でも年2回の揚油作業(自家発電等に使用する軽油を人力で陸揚げする作業)は、夜明けから日没まで及び、酷暑の中での重作業となっており、南鳥島勤務において特に印象深い思い出になっています。

 

国民の皆様に知ってもらいたいことはありますか

 南鳥島は遠隔離島にあるため、日本本島での無線設備の保守、運用とは異なり、電気、水道などのライフラインの確保から機器障害の対応まで、他に頼ることなく自己完結させる必要があることから、徹底した行動規律と安全管理のもと、職員は専門的技術力の自己研鑽に努めながら職務を遂行していました。

 

今後の抱負をお聞かせください

 南鳥島ロランC局は平成21年12月をもって閉局しましたが、新島(東京都)、慶佐次(げさじ)(沖縄県)、十勝太(とかちぶと)(北海道)、ポーハン(韓国)の各ロランC局で構成される北西太平洋ロランCチェーンは引き続き運営されます。

 ロランC局の保守、運用は、関係資機材の充足と、職員の高い業務執行能力に負うところが大きく、当ロランセンター職員は今後さらに、物資の適正な管理と専門的技術力の向上に努めることにより航行船舶の安全に寄与してまいります。

位置図

ロラン送信機の保守

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