第24回(平成23年)「人事院総裁賞」職域部門受賞

東日本大震災における被災地市町村の戸籍事務への支援

  民事第一課及び各戸籍課は、東日本大震災で滅失した戸籍の再製に尽力したこと、及び津波により行方不明となった方の死亡届を円滑に行えるよう尽力したことにより、被災者の生活再建等に貢献したことが認められました。

法務省

民事局 民事第一課

仙台法務局 民事行政部 戸籍課

【代表者】 古谷 伸彦 課長

【代表者】 齋藤 明彦 課長

【職員数】 21名

【職員数】 5名

福島地方法務局 戸籍課

盛岡地方法務局 戸籍課

【代表者】 東海林 久幸 課長

【代表者】 成田 学史 課長

【職員数】 4名

【職員数】 4名

☆東日本大震災における津波で流された戸籍を再製するため、どのような作業を行われたのですか。

 

 戸籍を再製するためには、法務局で保管している戸籍の副本及び副本が作成された以降に提出された戸籍の届書が必要です。しかし、被災した法務局の職員も震災発生後すぐに庁舎にいた来庁者を誘導し、一緒に避難する必要があったことから、副本等を被災した法務局から持ち出すことができませんでした。また、震災後しばらくの間は、道路事情、ガソリン不足等の事情により、被災した法務局に赴くことができず、副本等が無事であるか否かは確認することができませんでした。その後、被災地へ向かう道路の通行止めが復旧したタイミングで被災した法務局へ副本等の回収に赴き、余震が続く中、津波により壊滅的被害を受けた庁舎内から、無事に副本等を回収しました。
 しかし、回収した副本の内容は1年前に作成されたものであり、戸籍を再製するためには、その後1年間分の届出の情報を追加入力する必要がありました。この入力作業は委託して行いましたが、届出情報が正確に入力されているかどうかは職員が確認をしなければなりません。これらの確認作業は、速やかな戸籍の再製のため、短期間で行う必要がありましたが、法務局の職員は、震災関係の他の事務に忙殺される中、確認作業を勤務時間外も行う必要があり、日によっては深夜にまで及ぶこともありました。

☆仙台法務局気仙沼支局の庁舎も被災されたとのことですが、どのような状況だったのでしょうか。

 

 仙台法務局気仙沼支局は、被災した法務局庁舎の中でも最も被害が大きかった庁舎の一つでした。法務局は合同庁舎の2階と3階に入っていましたが、津波は2階の天井に達し、3階の目前まで浸水して、法務局で保管していた物品等の大部分が流されてしまいました。津波が来た当時、支局の職員は、来庁者を屋上に誘導しつつ、支局職員も同様に屋上に避難するなどしたそうですが、津波がどんどん高くなってきたときには、本当に命の危険を感じたとのことでした。戸籍の副本や届書は支局の3階の書庫に保管していたので、辛うじて難を逃れました。

被災した気仙沼支局

☆民事第一課長が被災地へ赴かれたとのことですが、被災地の状況や被災者の方々の声はどのようなものだったでしょうか。

 

 平成23年5月16日から5月18日までの間、被災地である宮城県本吉郡南三陸町、岩手県陸前高田市、同県上閉伊郡大槌町の3市町へ参りました。テレビを通してしか知らなかった惨状を目の当たりにすると言葉がありませんでした。被災された市町の首長等とも面談しましたが、その面談において、被災者の方々は、行方不明となった方の預貯金や保険金等の受取りのために、その行方不明となった方が死亡した旨が記載された戸籍が必要であると強く要望しておられること、また、被災された市町では、膨大な戸籍事務の処理に追われ、職員の方々が疲弊していること等の話があり、被災された方々や被災した市町の負担が軽減できるような取扱いについて早急に対応を行う必要があることを痛感しました。

☆遺体未発見の行方不明者の死亡届について、届出人の負担軽減のため迅速かつ柔軟に対応されたと思いますが、どのようなことを心がけられたのですか。

 

 被災者の立場に立って考えることです。被災者が御家族の死亡届をするとき、精神的にも肉体的にも相当つらい状況の中、自らの生活を再建するために何とか手続を進めようとして窓口に来られることと思われます。そのようなときに、様々な書類を大量に求めたり、処理に時間がかかったりすると、更に重い負担を負わせてしまうことになります。このような事態にならないよう、震災における大規模な津波被害を念頭に、死亡届の添付書面を必要最低限なものとしつつ、戸籍に正確な記載ができるよう配慮しました。また、法務局においては、市町村における事務処理が滞らないように職員を直接窓口に派遣するなどして、円滑な事務処理が行われるよう心掛けました。

窓口での対応

☆今回受賞された感想をお聞かせください。

 

 戸籍の再製も、行方不明者の死亡届も、市町村窓口への直接派遣も、被災者の生活再建を第一に考えた結果であり、このように何よりも被災者のことを考えながら、法務本省と各法務局が一丸となって事務処理を行ったことが評価していただけたのであれば、本当に嬉しいことだと考えています。震災復興はまだまだ続きますが、今後も戸籍事務を通じて復興を支援させていただきたいと思っています。

☆最後に国民の皆様へメッセージをお願いします。

 

 戸籍というものは、皆様が日本国民であることの証しであり、国民生活の基盤ともいえる重要なものです。そのような意味において、国民の皆様にもなじみ深いものだと思います。戸籍の歴史を振り返ると、古く王朝時代までさかのぼるといわれております。また、全国統一の近代的身分登録制度が設けられたのは明治4年です。このように、戸籍制度は古くからある歴史と伝統のあるものとなっています。諸先輩が積み上げてきた戸籍の歴史と伝統を守り、より一層信頼される制度となるよう努力してまいりますので、今後とも御理解をよろしくお願いいたします。

被災した気仙沼支局

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