第24回(平成23年)「人事院総裁賞」職域部門受賞

国境の海を護りぬく 〜道東の守護神〜

  根室海上保安部は、北方領土問題を根源とする諸問題を抱えた緊迫した海域において、厳しい自然・勤務環境に耐えながら、我が国の主権と国民の生命・財産の保護に貢献したことが認められました。

海上保安庁 第一管区海上保安本部 根室海上保安部

【代表者】 花井 宏泰 部長

【職員数】 157名

☆根室海上保安部が担当される海域と業務についてお聞かせください。

 

 当部の管轄区域は、根室市、別海町、中標津町、標津町及び羅臼町の1市4町で、担当する海域は、根室海峡では北方四島との地理的中間線まで、根室半島以南の海域では色丹島の南東方向の沖合い海域となっています。
 主要な業務は、北方四島周辺海域における海上の警備、我が国漁船がロシアにだ捕等されることのないように指導すること、漁業関係法令その他の法令違反行為の取締り、ロシア等の外国船舶の監視取締り、海難救助、航行援助業務等です。

☆北方四島を抱える国境海域を担当されている中で、最も注意されている点をお聞かせ下さい。

 

 根室海峡の最も狭い場所(北海道納沙布岬と北方領土である歯舞諸島(貝殻島)との間)は3.7qほどしかなく、陸岸から2qに満たないところにロシアとの境界線が存在しておりますし、その他の根室海峡部についても、日ロ間の地理的中間線は本来の領海幅員の12海里に満たないという現実が突きつけられています。
 このような環境下で、ロシア側の国境警備当局の勢力と直接対峙しながら海上の警備を実施し、日本漁船の被だ捕防止指導を現場にて実施するに際しては、我が国の主権行使の任に当たっていることを常に自覚し、関係機関との緊密な連携を維持しながら、毅然たる姿勢をもって適時的確な措置をとることを心がけています。

ロシア船に対する指導・警告

☆漁業関係者のだ捕を防ぐために、どのような取組を行っているのですか。

 

 北方四島周辺海域に、常時巡視船艇を配備しています。ロシア側がだ捕するのは、ロシア側水域内で行われる我が国漁船の違法操業ですので、我が国の水産当局とも連携を図りながら警戒監視活動を実施しています。地元の漁業者に対しては、日頃から地道にねばり強く、被だ捕防止指導を行っているところです。

☆密漁、密輸の取締りのために、どのような活動をされているのかお聞かせください。

 

 管内の密漁船は、昭和50年代にはレポ船、昭和60年代には密漁特攻船などと呼ばれ、北方領土問題が背景にあるなか越境し水産物密漁していた歴史があり、現在においても、好漁場である北方四島水域に確信的に越境している実態が散見されています。地道な内偵作業と厳正な監視取締りによって事件摘発の実績を積み上げることで、密漁事犯の根絶に向けた努力を継続しています。
 密輸事犯については、花咲港に入港する外国船舶、特にロシア人船員による薬物・銃器の不法所持事犯が継続的に発生していますので、関係機関との連携による厳重な監視取締りで水際阻止に努めています。

密漁船から押収したカニ

☆冬の結氷や流氷に加え、夏は連日のように濃霧にも覆われる環境でご苦労されている点をお聞かせ下さい。

 

 冬季の根室港への流氷流入や港内の結氷によって、物理的に港が使用できなくなりますので、所属の巡視船艇は、根室半島太平洋側の花咲港へ係留場所の移転を余儀なくされます。このため船艇乗り組みの職員は、この期間、公共交通機関が存在しないこともあって、冬の厳しい第一管区(北海道)の中でも特に厳しい通勤を強いられることになります。
 夏季の濃霧期は、暖房器具を使用しなければならないほど低気温になることも度々で、日常的な生活も、本土のそれとは著しく異なっています。業務面においても、巡視船艇の船橋から船首が濃霧で見えなくなってしまう程の視界制限に陥ることもあり、救助活動などを実施する上で、対象船へ接近することさえ困難な状態になる場合もあります。

☆このような厳しい勤務環境の中にあっても、この官署で勤務してよかったと思った出来事などがあればご紹介ください。

 

 組織の開設以来、様々な事例があるために一言では紹介はできませんが、敢えてこれらに共通する点を挙げるとするならば、沖合い数キロの地点にロシアが領海と主張する海域が存在し、外国官憲の勢力と直接対峙する環境ですので、極度の緊張感を強いられます。だからこそ、その中にあって職務を全うできたときに達成感や充実感を得られることではないかと思います。海上保安官としての使命感や誇りを持って仕事ができる職場です。

☆今回受賞された感想をお聞かせください。

 

 この賞は、これまでこの地に勤務された多くの諸先輩、同僚の方々が積み上げられた実績に対して頂いたものだと思っています。
 領有権問題が厳然として存在し続け、大変厳しい勤務(生活)環境下に置かれてはおりますけれども、民間から選抜され選考の労を執られた方々から頂いた評価にも応えるべく、この名誉ある賞の受賞を機に、職員一同気持ちを新たにして、業務に当たりたいと思います。

☆最後に国民の皆様へメッセージをお願いします。

 

  根室海上保安部、花咲分室、羅臼海上保安署は、今後も地元住民の皆様の期待に応えるため、国境の海を護りぬく道東の守護神として、国民の信頼に応えるべく業務に邁進する所存です。

我が国の巡視艇とロシア警備艇

流氷の海での救助活動

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