第26回(平成25年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

厚生労働省 九州厚生局 麻薬取締部

国際薬物シンジケートによる覚醒剤密輸入事件捜査本部

 海外捜査機関との連携を行いながら24時間体制で捜査に当たり、108kgもの大量の覚醒剤を押収し、密輸実行犯全員を逮捕したことが認められました。

押収した覚醒剤500グラム包装計220塊

☆麻薬取締部及び今回の密輸入事件捜査本部の業務の内容をお聞かせ下さい。

   麻薬取締部は、通称「マトリ」と呼ばれ厚生労働省の地方厚生局に所属し、薬物犯罪捜査、医療用麻薬等に係る指導・監督、薬物中毒・依存者対策、薬物乱用防止のための普及啓発活動及び海外捜査機関との国際協力を中心に業務を行っています。薬物犯罪捜査では主として全国に広がる広域事犯の摘発に力を注いでおり、全国の麻薬取締部が一体となって活動しています。
 今回の密輸入事件捜査本部は、様々な国の人間で構成されたシンジケートによる日本向けの大型覚醒剤密輸入事件の捜査を任務として特別に編成(設置)された捜査の部署で、九州厚生局所属の麻薬取締官を中心に全国から麻薬取締官を集結させ、捜査や犯人逮捕などに当たりました。

☆今回の事案において108sもの覚醒剤が押収されましたが、これはどの程度、顕著な業績であると考えられるのでしょうか。

  覚醒剤108sといえば、末端価格で約86億円相当になり、覚醒剤乱用者の360万回分になるほどの量です。しかし、今回の事件は押収量の多さだけでなく、オーストラリア連邦警察(AFP)、米国司法省麻薬取締局(DEA)など諸外国の捜査機関と長期に亘る共同捜査を行い、当本部の捜査結果が直ちに諸外国の捜査機関へ伝えられ、海外の関係個所の捜索や海外在住の関連者の逮捕が行われるなど、諸外国の捜査機関が連携して捜査が行われたことも稀有な事例であると考えています。

☆覚醒剤の押収、実行犯の逮捕に至るまで様々なご苦労があったと思いますが、特にご苦労の多かった点、ご留意された点は何ですか。

今回の捜査では、極寒の中での張込み、長時間の連続した捜査など色々な苦労はありましたが、これらの苦
労は麻薬取締官としては当たり前のことで、さほど苦労と感じた捜査員はいませんでした。それ以上に、国外の捜査機関と連携するに当たり、諸外国との法令や捜査手法の違いなどから、その意思疎通を図ることに大変苦労しました。また、今回の捜査には全国から多数の麻薬取締官を集結させましたので、各捜査員の宿泊場所を確保するのに苦労しました。ちょうど師走の時期と重なり、なかなか宿泊場所を確保できず、毎日のように宿泊場所が移動したり、遠くの場所に宿泊せざるを得ないこともあり、捜査員は気の休まる暇もなく、たいへんな苦労をさせてしまいました。

☆今後の業務への抱負をお聞かせください。

薬物乱用問題は根深く、一朝一夕に解決できるものではありません。しかも、薬物犯罪組織は我が国をターゲットとして狙っており、事実、我が国における薬物密輸入事件は増加傾向で、薬物の押収量も年々増加しています。同時にその手口も益々複雑・巧妙化しています。
  また、インターネットに薬物に関する間違った情報が氾濫しており、インターネットを媒体とした薬物売買も行われており、そう簡単に薬物犯罪を解決することはできなくなってきました。
  それでも、我々麻薬取締官は、少しずつでも我が国から薬物が根絶されるよう日々努力していくつもりです。いつの日か我が国から薬物乱用者がいなくなるまで戦い続けます。

☆最後に国民の皆様へメッセージをお願いします。

最後に国民の皆様方にお願いです。薬物乱用は犯罪です。それだけでなく、薬物には依存というやっかいな症状があり、好奇心から一度でも薬物に手を出すとなかなかやめることができません。大事なことは薬物には決して手を出さないことです。最近、脱法ドラッグや合法ドラッグ等と称して新たな薬物が乱用されています。これらの薬物も麻薬や覚醒剤等と何ら変わるものではありません。たいへん危険な物です。もう一度申し上げます。どうか薬物には手を出さないようにお願いします。
  周りで薬物に関係している人を見かけたときは、麻薬取締部まで情報提供をお願いします。

-総裁賞受賞者一覧に戻る-