第30回(平成29年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

総務省 行政管理局 オフィス改革実行チーム

  国が率先して「働き方改革」に取り組む姿を提示することが重要である中、若手職員が中心となって「オフィス改革」を実践。働き方改革のフロントランナーとして、オフィス改革の取組の全国的な波及や行政の「非効率」のイメージ払拭に尽力したことが認められました。

 
 

☆始めに、オフィス改革実行チームではどのような取組を行っているのでしょうか。
 
私たちは、日常的な仕事のやり方を効率化し、仕事のモビリティを高めるため、①「個人席」の概念を撤廃し、無線LANを導入、②会議スペースにモニターを導入し、会議・打合せのペーパーレス化を進めるなど、「オフィス改革」を実施しました。
これにより、資料印刷などから解放され、職員一人ひとりがより付加価値の高い仕事を行えるとともに、庁舎内・自宅を通じて、テレワークをはじめシームレス(注1)に仕事をしやすい環境を実現しています。
現在は、地方自治体や民間企業から視察にいらした方々(平成30年1月末時点で2,000人以上)との意見交換・個別の状況に応じた提案を行うとともに、チームメンバーが全国で講演活動を行うことなどを通して、様々な組織における働き方の改善に貢献しています。

☆我が国の喫緊の課題である「働き方改革」を推進するために、国の行政機関の先駆けとして様々な取組をされてきたと思いますが、改革を実行する上で御苦労された点や、取組の展開において留意されている点をお聞かせください。
 
まず、苦労した点は、公務部門として初めての取組だったので、局内の職員の納得を得ることに時間がかかりました。職員の中に、今までのやり方を変えることに対する抵抗感があったのです。ただ、公務自身が、民間に普及させようとしている働き方改革のモデルを示すことは重要なので、改革を行うことのメリットを粘り強く説明して納得してもらいました。
取組の展開において留意している点は、オフィス改革の提案方法です。理想のオフィスの在り方は、組織の業種・形態によって違うので、オフィス改革を検討し、進めるに当たっては、自分たちがどのような働き方をしたいのか、しっかり考えた上で着手していただきたい、とお話ししています。また、「個人席」の概念の撤廃・ペーパーレス化というのは、シームレスな働き方のための「手段」であり、これらが目的化しないような意識付けが重要と考えています。

☆取組をやって良かったと思うとき、また、取組を通じてやりがいを感じられるときは、どのようなときでしょうか。
 
オフィス改革後、局内のテレワーク実施者数が四倍に増えたり、生まれた余剰スペースに新たに会議スペースを増設することで、会議・打合せ場所の確保が簡単にできるようになり、その結果、意思決定も早くなったりと、改革の効果が具体的に出たことは、努力が実り良かったと思っています。また、私たちのチームは、若手職員が中心であり、この取組を通して、若手職員の中に「自ら率先して考え・動く」習慣ができ、本チーム以外でも、若手職員主導で、局内の働き方改革を検討するチームや、新人職員を育てるため、直接の上司だけでなく、相談相手の先輩職員(メンター)を置く制度を運用するチームができたことも良かったです。
やりがいについては、私たちの取組を参考にして、実際にオフィス改革を行った省内他部局・他省庁、地方自治体や民間企業の方々から、「オフィス改革をして良かった、働き方が変わった」というお話を聞くと、私たちの取組が着実に皆さんの働き方改革に効果を上げていると実感でき、そういったときにやりがいを感じています。

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
 社会のICT化(注2)は急激に進んでいます。今までは、場所や場面に応じてできる仕事が限られており、移動時間や待機時間を活用して働くことが困難でしたが、社会のICT化が進むにつれ、こうした場所や場面に依存する働き方の時代は終わりを迎え、「いつでも・どこでも」シームレスに仕事をする働き方がスタンダードになってくると考えています。
仕事は、日常生活の中の多くの時間を占めています。そのため、働き方を改善することは、日常生活の質の向上そのものであり、その意味でも働き方改革はとても重要です。皆さんが、目指すべき理想に向けて働き方改革を検討し、進めるときに、私たちの取組が後押しできるよう、これからも創意工夫・情報発信に積極的に取り組んでいきます。

(注1) 「継ぎ目」のない状態のこと。本稿では、従来オフィスの自席でしかできなかった仕事を、端末を持ち出してのテレワークや、スマートフォン・タブレット端末を用いて職場外でも継続できる状況を指す。
(注2) インターネットや情報機器といったIT技術の発展に伴い、IOT(Internet of Things)・ビッグデータ・AI等の新しいICT技術を用いて、高付加価値のサービスや情報通信を提供すること。

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