国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)基礎能力試験 試験問題例 例題1(判断推理) 体育館にいたA,B,C,図書館にいたD〜Gの計7人が次のような発言をしたが,このうちの2人の発言は正しく,残りの5人の発言は誤っていた。正しい発言をした2人の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし,7人のうちテニスができる者は2人だけである。 Aは次のように述べた。「私はテニスができない。」 Bは次のように述べた。「テニスができる2人はいずれも図書館にいた。」 Cは次のように述べた。「A,Bの発言のうち少なくともいずれかは正しい。」 Dは次のように述べた。「Eはテニスができる。」 Eは次のように述べた。「Dの発言は誤りである。」 Fは次のように述べた。「D,Eの発言はいずれも誤りである。」 Gは次のように述べた。「図書館にいた4人はテニスができない。」 1. A,C 2. A,G 3. B,F 4. C,E 5. E,G 例題1の正答 5 例題2(判断推理) ある店が,定価800円の弁当を60個販売しようとしたところ,売れ残りが出そうだったので途中から定価の100円引きで売ったが,それでも売れ残ったため最終的に定価の300円引きで売ったところ完売した。売上額を計算したところ,60個全てを定価で売った場合よりも売上額が5500円少なく,また,値引きして売った弁当の総数は30個よりも少なかった。このとき,それぞれの価格で売れた弁当の数の組合せが何通りか考えられるが,そのうち定価で売れた弁当の数が最も多い組合せにおいて,定価の300円引きで売れた弁当の数はいくつか。  ただし,それぞれの価格で売れた弁当の数は1個以上あるものとする。 1. 12個 2. 14個 3. 16個 4. 18個 5. 20個 例題2の正答 4 例題3(資料解釈) 表は,ある学校の生徒を対象に実施した,学習塾への通塾に関するアンケートの結果を示したものである。また,図1及び図2は,表のアンケートで学習塾に通っていると回答した生徒を対象に実施したアンケートの結果を示したものである。これらからいえることとして最も妥当なのはどれか。 表 学習塾への通塾状況 全体の30%が学習塾へ通っており,このうちの40%が男子,60%が女子である。 全体の70%が学習塾へ通っておらず,このうちの55%が男子,45%が女子である。 学習塾へ通っていると回答した生徒の通塾回数別の内訳 20%が週1回通っており,このうちの40%が男子,60%が女子である。 30%が週2回通っており,このうちの50%が男子,50%が女子である。 40%が週3回通っており,このうちの30%が男子,70%が女子である。 10%が週4回以上通っており,このうちの50%が男子,50%が女子である。 図1 通塾回数別の学習塾で指導を受けている教科数 週1回通っている生徒は,80%が1教科,20%が2教科の指導を受けている。 週2回通っている生徒は,30%が1教科,60%が2教科,10%が3教科の指導を受けている。 週3回通っている生徒は,10%が1教科,50%が2教科,30%が3教科,10%が4教科以上の指導を受けている。 週4回以上通っている生徒は,5%が1教科,35%が2教科,40%が3教科,20%が4教科以上の指導を受けている。 図2 学習塾に通い始めた理由(二つまで選択。無回答はなし。) 男子の75%,女子の85%が,成績を上げたいから,と回答した。 男子の40%,女子の45%が,親族・友人に勧められたから,と回答した。 男子の25%,女子の15%が,友人を増やしたいから,と回答した。 男子の15%,女子の5%が,その他,と回答した。  1. 学習塾に通い始めた理由として,二つ選択した生徒は,女子よりも男子の方が人数が多い。 2. 学習塾に週2回通って,かつ,2教科の指導を受けている生徒よりも,週1回通って,かつ,1教科の指導を受けている生徒の方が人数が多い。 3. 学習塾に通っている生徒のうち,週1回通っており,かつ,「親族・友人に勧められたから」を選択した男子が占める割合は6%である。 4. 学習塾に通っている生徒のうち,4教科以上の指導を受けている生徒が占める割合は9%である。 5. 学習塾に通っている生徒のうち,「成績を上げたいから」を選択した生徒が占める割合は80%を超える。 例題3の正答 5 例題4(時事) 我が国の漁業や捕鯨を取り巻く近年の状況に関する記述として最も妥当なのはどれか。 1. マグロ類は,世界中で過剰な漁獲が行われたことによって個体数が減少しているため,絶滅の危険性が低いとする我が国の主張が認められた中西部太平洋以外では,ワシントン条約により漁獲及び国際的取引が禁止されている。 2. サンマは,我が国にとって身近な魚で,重要なタンパク源として利用されてきたが,漁獲量の制限が定められていないため,底引網漁による過剰な漁獲により資源量は減少の一途をたどっている。 3. ニホンウナギは,ウナギの産卵場所などの生態の解明や稚魚の養殖法の開発などが全く進んでいないため,稚魚の過剰な漁獲と生息環境の悪化により個体数が減少し,その傾向が絶滅の恐れがあるレベルに達していることから,2011年に絶滅危惧種に指定された。 4. シロナガスクジラなどの大型鯨類については商業捕鯨が禁止されているが,我が国は国際捕鯨委員会(IWC)の管理の下で鯨類資源の持続可能な利用を図るため,必要な科学的データを収集・提供することを目的として調査捕鯨を実施している。 5. エチゼンクラゲは,春先にオホーツク海で生まれ,親潮に乗って南下した後,日本海を回遊しつつ成長するが,ここ数年,大きく成長したものが大量に発生し,我が国近海で大きな漁業被害を引き起こしている。 例題4の正答 4 例題5(自然) 酵素やエネルギーに関する記述として最も妥当なのはどれか。 1. 酵素のうち,ペプシンは,タンパク質を分解する消化酵素である。また,ペプシンは胃液に含まれており,強い酸性条件下でよく働く。 2. 酵素のうち,カタラーゼは,過酸化水素を分解して水素を発生させる。これはカタラーゼが触媒として働いたためであり,一度触媒として働いたカタラーゼは消費されてしまうため,再度触媒として働くことはない。 3. 酵素のうち,アミラーゼは,デンプン,タンパク質,セルロースなどの物質に酵素反応を示し,物質の分解を促進する。また,アミラーゼは温度が上昇するほど,反応速度が高まる。 4. 呼吸とは,グルコース,酸素及び水から,水とエネルギーを合成する反応である。真核生物では,呼吸は細胞内のミトコンドリアで行われ,その構造は一重の膜に包まれ,細胞液で満たされている。 5. 光合成とは,二酸化炭素と光エネルギーから,酸素と水を合成する反応である。陸上植物では,光合成は細胞内の葉緑体で行われ,葉緑体はそれぞれの細胞に一つずつ含まれている。 例題5の正答 1 例題6(人文) 世界の工業に関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。 A 繊維工業のうち,綿花を原料とする綿工業は,生産コストの中で原料費の比重が大きく,原料の輸送費の節約のため,輸入港や高速道路,空港付近に工場を立地する交通指向型の工業に分類される。第二次世界大戦以前は英国や我が国が主な生産国であったが,近年では安価な労働力が得られる中国とブラジルが二大生産国となっている。 B 鉄鋼業では,18世紀に木炭ではなく石炭を燃料とする製鉄法が確立して以降,英国のミッドランド地方やドイツのルール地方のような炭田地域に製鉄所が建設された。第二次世界大戦以降は,技術革新や輸送費の低下などによって,炭田に立地する必要性が低下し,フランスのダンケルクのような臨海部に製鉄所が建設された。 C 自動車工業は総合的な組立工業で,大資本や多くの労働力を必要とする。国際化の進展が著しい工業部門の一つであり,欧米や日本の自動車会社は1970年代から外国での生産拠点作りに取り組み,主要な企業の多くが,世界の各地に工場を展開させている。近年は国際的な競争が一層激しくなり,2013年には米国の自動車工業都市であるデトロイトが財政破綻に陥った。 D 集積回路やパソコンの生産に代表されるエレクトロニクス工業は,高度な加工技術が必要であること等から,米国のシリコンバレーのように先進国の一地域に集中している。そのため,現在も米国等の先進国によって世界シェアが占められており,例えば2010年における集積回路の輸出額を見ると,米国だけで世界の輸出額の50%を超えている。 1.A,B 2.A,D 3.B,C 4.B,D 5.C,D 例題6の正答 3 例題7(社会) 国民所得や景気変動に関する記述として最も妥当なのはどれか。 1. GNP(国民総生産)は,GDP(国内総生産)より海外からの純所得(海外から送金される所得から海外へ送金される所得を引いたもの)を控除することで得られる。GNPとGDPを比較すると,GNPはGDPより必ず小さくなる。 2. 名目GDPの増加率である名目成長率から,物価上昇率を差し引くと,実質GDPの増加率である実質成長率が求められる。また,我が国の場合,第二次世界大戦後から2013年までに,消費者物価上昇率(前年比)が7.5% を上回ったことはない。 3. NI(国民所得)は,生産,支出,分配の三つの流れから捉えることが可能である。また,生産国民所得から支出国民所得を差し引いた大きさと分配国民所得の大きさが等しいという関係が成り立つ。 4. 景気が好況時に継続的に物価が上昇することをスタグフレーションという。我が国の場合,デフレーションと不況が悪循環となるデフレスパイラルの現象が見られたことはあるが,スタグフレーションの現象が第二次世界大戦後から2013年までに見られたことはない。 5. 景気の波のうち,在庫調整に伴って生じる周期3年から4年ほどの短期の波を,キチンの波という。一方,大きな技術革新などによって生じる周期50年前後の長期の波を,コンドラチェフの波という。 例題7の正答 5