例題1 思想及び良心の自由に関するア.〜オ.の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア.憲法は,思想・信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に,経済活動の自由も基本的人権として保障しているから,企業者は,経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し,いかなる者を雇い入れるか,いかなる条件でこれを雇うかについて,法律その他による特別の制限がない限り,原則として自由に決定することができ,企業者が特定の思想,信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも,当然に違法とすることはできないとするのが判例である。 イ.最高裁判所裁判官の国民審査は解職の制度であるから,積極的に罷免を可とするものがそうでないものより多数であるか否かを知ろうとするものであり,積極的に罷免を可とする意思が表示されていない投票は罷免を可とするものではないとの効果を発生させても,何ら当該投票を行った者の意思に反する効果を発生させるものではなく,思想及び良心の自由を制限するものではないとするのが判例である。 ウ.強制加入団体である税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは,税理士会の目的の範囲内の行為であって,政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は,会員の思想・信条の自由を侵害するものではなく,有効であるとするのが判例である。 エ.労働組合法第7条に定める不当労働行為に対する救済処分として労働委員会が使用者に対して発するポストノーティス命令は,労働委員会によって使用者の行為が不当労働行為と認定されたことを関係者に周知徹底させ,同種行為の再発を抑制しようとする趣旨のものであるが,当該命令が掲示することを求める文書に「深く反省する」,「誓約します」などの文言を用いることは,使用者に対し反省等の意思表明を強制するものであり,憲法第19条に違反するとするのが判例である。 オ.憲法の下においては,思想そのものは絶対的に保障されるべきであって,たとえ憲法の根本原理である民主主義を否定する思想であっても,思想にとどまる限り制限を加えることができないが,思想の表明としての外部的行為が現実的・具体的な害悪を生ぜしめた場合には,当該行為を一定の思想の表明であることを理由に規制することができ,当該行為の基礎となった思想,信条自体を規制の対象とすることも許されると一般に解されている。 1.ア. イ. 2.ア. ウ. 3.イ. オ. 4.ウ. エ. 5.エ. オ. 例題2 ある経済のマクロモデルが次のように示されているとき,総需要曲線として正しいのはどれか。なお,物価水準をPとする。 Y=C+I C=20+(3/4)Y I=100-5r L=(1/2)Y+250-10r M=240 (Y:国民所得,C:消費,I:投資,r:利子率,L:実質貨幣需要,M:名目マネーストック) 1.r=-(1/20)Y+24 2.r=5Y+100 3.P=240/(Y+10) 4.P=240/(Y+100) 5.P=240Y+2400