国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)基礎能力試験 試験問題例 例題1(判断推理) 赤,青,緑,白,黄の5種類の球があり,色によって重さが異なることが分かっている。上皿天秤を使って重さを比較したところ,次のア〜エの結果となった。このとき,確実にいえるのはどれか。 ア. 左の皿に白色の玉を一つ,右の皿に青色と緑色の玉を一つずつ載せたところ,左の皿の方が重かった。 イ. 左の皿に青色,緑色の玉を一つずつ,右の皿に黄色の玉を一つ載せたところ,左右の皿が釣り合った。 ウ. 左の皿に青色の玉を二つ,右の皿に赤色と緑色の玉を一つずつ載せたところ,左右の皿が釣り合った。 エ. 左の皿に青色の玉を二つ,右の皿に緑色の玉二つと黄色の玉を一つ載せたところ,左右の皿が釣り合った。 1. 黄色の玉の重さは,緑色の玉の重さの4倍である。 2. 赤色の玉の重さは,緑色の玉の重さの6倍である。 3. 赤色の玉が2番目に重い。 4. 白色の玉の重さは,緑色の玉と黄色の玉を足した重さよりも重い。 5. 青色の玉と緑色の玉と黄色の玉を足した重さは,赤色の玉二つ分の重さと等しい。 例題1の正答 1 例題2(数的推理) A,B,Cの3人が,たすきをつないで図のようなコースを走った。スタートしてからゴールするまでに要する時間が最も短くなるようにたすきをつなぐ地点を決めたとき,要する時間はいくらか。  ただし,平坦な道,上り坂,下り坂におけるA,B,Cそれぞれの走る速さは表に示すとおりであり,走る順番はA,B,Cの順で,同一人物が2回以上走ることはできないものとする。 図の概要 スタート地点からゴール地点までは,平坦な道5km,上り坂4km,下り坂3km,平坦な道5km,下り坂2kmとなっている。 表 A 平坦な道 10km/h,上り坂 4km/h,下り坂 13km/h B 平坦な道 8km/h,上り坂 5km/h,下り坂 15km/h C 平坦な道 7km/h,上り坂 4km/h,下り坂 16km/h 1. 2時間12分 2. 2時間15分 3. 2時間20分 4. 2時間21分 5. 2時間24分 例題2の正答 2 例題3(資料解釈) 図は,A〜E国について,一人当たりGDP,公的教育支出のGDP比及びGDPを示している。この図からいえることとして最も妥当なのはどれか。 図の概要 A国 1人当たりGDP 34,300ドル,公的教育支出のGDP比 3.4%,GDP 43,830億ドル B国 1人当たりGDP 40,350ドル,公的教育支出のGDP比 4.3%,GDP 30,324億ドル C国 1人当たりGDP 40,650ドル,公的教育支出のGDP比 4.9%,GDP 25,931億ドル D国 1人当たりGDP 45,900ドル,公的教育支出のGDP比 5.1%,GDP 27,990億ドル E国 1人当たりGDP 46,450ドル,公的教育支出のGDP比 5.2%,GDP 140,108億ドル 1. 一人当たり公的教育支出が2番目に多いのはE国である。 2. 公的教育支出が2番目に多いのはB国である。 3. 公的教育支出が2番目に多いのはC国である。 4. 人口が2番目に多いのはA国である。 5. 人口が2番目に多いのはD国である。 例題3の正答 4 例題4(時事) 中東・アフリカ諸国の近年の動きに関する記述として最も妥当なのはどれか。 1. エジプトでは,2011年1月に,長期政権を維持してきたムバラク大統領の退陣を求めるデモが全土で発生した。同大統領は軍による武力弾圧を行ったがデモは拡大し,軍部のクーデターにより同大統領は失脚し,国外に亡命した。一時的に軍部が全権を掌握していたが,同年のうちにエジプト全土で総選挙が実施され,軍部から政党政府へ政権が移管された。 2. チュニジアでは,フランスからの独立以降,国王による統治が行われてきたが,2011年初めのエジプトの混乱を受けて首都チュニスから反政府デモが広がった。これにより国王は国外に亡命し,王政は崩壊した。王政崩壊後はベン・アリ暫定首相を中心に新体制づくりが進められている。 3. リビアでは,2011年2月に,カダフィ革命指導者の退陣を求めるデモが首都トリポリで発生し,全土に波及した。同指導者による反政府派への激しい武力行使に対し,反政府派は国際社会の介入を求めたが,国連安全保障理事会のリビアへの介入決議は米国等の反対により否決された。その後,武力により反政府側は制圧された。 4. スーダンでは,南部と北部の間で内戦が続いていたが,2005年に成立した南北包括和平合意(CPA)に基づき,2010年に総選挙が実施されるなど和平プロセスが進められた。その後,2011年1月の南部スーダンの独立を問う住民投票の結果を受け,7月に南部スーダンが南スーダン共和国として独立し,国連に加盟した。 5. シリアでは,学生が首都サヌアでアサド大統領に対し,抗議デモを起こし,これが全土に広まった。同大統領は次期大統領選挙への不出馬を表明したがデモは収まらず,2011年6月の反体制派による大統領府への砲撃により同大統領は負傷し,療養先のサウジアラビアで2011年内での退陣を表明した。 例題4の正答 4 例題5(自然) 恒星に関する記述として最も妥当なのはどれか。 1. 恒星は地球からはるか遠方にあり,地球で得られる情報は,恒星が発する可視光領域の電磁波に限られている。恒星の明るさを表す単位には等級が用いられており,これは,肉眼で判別できる限界の明るさのものを6等級とし,明るさが10倍になるごとに1等級下げるものである。 2. 恒星の色の違いは,表面温度が異なることによって生じる。恒星が発する光は様々な波長のものが混ざったものであるが,表面温度が高い恒星ほど波長の短い光を強く出している。波長が短い光は紫から青,長い光は赤であるため,表面温度が高い恒星は青白く輝いて見える。 3. 地球が公転運動をしているため,恒星は天球上を公転の半分の周期で楕円運動しているように見える。その長軸の角距離を年周視差といい,地球から恒星までの距離はこれに比例するため,年周視差で恒星までの距離を表すことができる。年周視差[秒]を3.26で割った値を光年としている。 4.全ての恒星は地球から遠ざかっている。遠ざかる物体が発する波は,ドップラー効果によって波長が短くなることから,恒星の観測光は本来のものより青色側にシフトしている。青色側への偏移の比率による計算から,恒星は一律に約100km/sの後退速度をもっていることが分かっている。 5. 光の明るさは距離に反比例するので,本来は同じ明るさの恒星でも,恒星までの距離が2倍になると,半分の明るさに見えてしまう。それを補正するため,見かけの等級から距離の対数の値を引いたものを絶対等級という。太陽の絶対等級は4.9等で,他の恒星と比べ非常に明るい。 例題5の正答 2 例題6(人文) 世界の各地域に関する次の記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。 A 東南アジアの多くの国々では,輸入代替型工業を採用した工業化政策が功を奏して,1980年代末から「世界の成長センター」と呼ばれる経済発展を遂げた。経済の発展段階は国ごとに異なるが,近年では,ドイモイ政策を採用して経済発展を進めているカンボジアが注目されている。東南アジアは世界的な稲作地帯でもあり,タイとフィリピンは世界有数のコメ輸出国である。 B ヨーロッパは,2度にわたる世界大戦で多大な戦禍を被ったが,紛争のもとになってきた石炭資源と鉄鋼業を共同管理下に置くことを目的にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体が設立され,これが現在のEUの基礎となった。EUでは共通通貨としてユーロを利用しているが,英国やスウェーデンのようにEUに加盟しながらもユーロには参加していない国もある。 C 北アメリカの開拓は,英国から来たカトリック教徒の入植によって始まり,現在までのアメリカ合衆国の歴代大統領のほとんどはカトリック教徒である。北アメリカの山岳地帯としては,古期造山帯に属するロッキー山脈が西海岸沿いを縦走しており,また,東南部には,新期造山帯に属するアパラチア山脈がある。 D アフリカの気候についてみると,おおむね高緯度に向かって帯状の気候分布がみられる。すなわち,赤道付近のコンゴ盆地やギニア湾岸は熱帯雨林気候で,その高緯度側にはサバナ気候が分布し,さらにその高緯度側にはステップ気候,次いで砂漠気候が分布する。アフリカで最も人口の多い国はナイジェリアであり,アフリカで唯一人口が1億人を超えている。 1. A,B 2. A,C 3. B,C 4. B,D 5. C,D 例題6の正答 4 例題7(社会) 次は我が国の選挙制度に関する記述であるが,下線部a〜eのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。  間接民主制(代議制)を採用している我が国において,選挙は国民にとって政治に参加する最も重要な機会である。国民の意思が公的に表明されるという意味において選挙は民主政治の根幹であるといえる。したがって,選挙における公正な意思の表明を担保するために,(下線部 a 始め)直接選挙・普通選挙・平等選挙・記名選挙を原則とする民主的な選挙制度が常に確保されていなければならない。(下線部 a 終わり)  我が国において民主的な選挙制度の原則が完全に確立したのは,第二次世界大戦が終結してからである。1890年に初めて実施された衆議院議員総選挙における有権者の資格には厳しい制限が課せられていた。その後,(下線部 b 始め)1925年に満25歳以上の男子に選挙権が与えられ,1945年には満20歳以上の男女に選挙権が与えられて,普通選挙制度が確立した。(下線部 b 終わり)  選挙においては,国民の意思をどのように議会における議席数に反映させるかという選挙区制の問題も重要である。選挙区制には,小選挙区制,大選挙区制,比例代表区制などがあるが,現在の我が国の国政選挙においては,(下線部 c 始め)衆議院では,小選挙区で落選した惜敗率の高い候補者が比例区で復活当選する小選挙区比例代表併用制が採用され,参議院では,都道府県単位の選挙区制と地方ブロック単位の比例代表制が採用されている。(下線部 c 終わり)  現在の我が国の選挙制度については,解決されなければならない課題もある。その一つが議員定数不均衡の問題である。法の下の平等などの憲法上の要請からすると,一票の価値に格差があることは望ましいことではない。この点について,2011年3月の最高裁判所の判決では,2009年8月30日施行の衆議院議員総選挙の小選挙区において,(下線部 d 始め)各都道府県に1議席を配分した上で残りを人口比で割り振るいわゆる1人別枠方式による区割りは,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っているとして,同方式を速やかに廃止して,投票価値の平等の要請にかなう立法措置を講じる必要があるとした。(下線部 d 終わり)  このほかにも,選挙権行使年齢の引き下げや選挙運動の制限の是非など,様々な問題が議論されている。このうち,選挙運動の制限については,(下線部 e 始め)これまで公職選挙法で禁止されてきた戸別訪問と個人演説会が,同法の改正により2011年までにすべて解禁された。(下線部 e 終わり) 1. a,b 2. a,e 3. b,d 4. c,d 5. c,e 例題7の正答 3