国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)行政区分 一般論文試験 試験問題例 以下は平成24 年版科学技術白書の抜粋である。これに関し設問1及び設問2に答えなさい。  東日本大震災は,自然の猛威を前に,我々が築いてきた現代文明がいともたやすく破壊され,多くの尊い命が失われてしまう現実を,さらには,これまで日常生活を豊かにしてくれていた科学技術の限界や,社会・経済システムの脆弱さを我々に突き付けた。今回の震災が科学技術の各分野や科学技術政策に投げかけた課題は深く,重い。  しかしながら,「社会の新たな問題はさらなる科学技術の発展によって解決される」と思っている国民の割合が,震災を契機に低下したものの依然として6割を超えていることからも明らかなように,国民の科学技術の発展に対する期待は,震災を経た今もなお強い。想定を大きく超えた今回の地震及び津波に対しては,従来の科学技術の成果が必ずしも国民の期待に応えられなかった面もあるが,一方で,地震に際して,緊急地震速報により東北新幹線が緊急停止し被害拡大を防いだこと,耐震補強技術により甚大な被害を免れた橋梁等の例もあったことなど,科学技術が被害拡大防止に貢献した面もある。また,戦後から,河川堤防等の治山治水事業の進展やアメダス,気象衛星等の導入などにより,我が国が自然災害に耐え得る強靱さを備えてきたこともまた事実である。  今後,政府は,震災が投げかけた様々な課題に真摯に対応していくことを通じて,国民からの信頼の回復に努めるとともに,我が国が震災からの復興・再生を果たし,将来に向けて持続的に発展していくために,その原動力となり得るのが科学技術であるということにも思いを致しながら,社会の要請に応えた科学技術の振興に努めていかなければならない。 設問1 本文中の「今回の震災が科学技術の各分野や科学技術政策に投げかけた課題は深く,重い」という部分について,東日本大震災が科学技術の各分野や科学技術政策に投げかけた課題は何か。あなたの考えを具体例を交えながら述べなさい。 設問2 本文中の「社会の要請に応えた科学技術の振興に努めていかなければならない」という部分について,設問1で述べた課題を解決し,今後,社会の要請に応えた科学技術を振興していくためには,どのような取組が必要となるか。あなたの考えを述べなさい。