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第2部 ≪平成10年度業務状況≫
第2章 職員の給与
第1節 給与に関する報告と勧告
2 公務員給与の実態調査
人事院は、官民給与の精確な比較を行う基礎として、毎年、「国家公務員給与等実態調査」を実施している。
平成10年においても、同年1月15日現在における給与法適用の常勤職員(休職者、派遣職員、在外公館に勤務する職員等を除く。任期付研究員法適用の職員を含む。)について全数調査を実施した。
調査事項は、職員の俸給及び諸手当、年齢、経歴、定年退職等による離職の状況等であり、例年とほぼ同様である。
平成10年の調査結果の主な内容は、次のとおりである。
(1) 職員構成の実態- ア 給与法の適用を受ける常勤職員の総数は、平成10年1月15日現在500,888人であり、その後の定年退職者等の離職者及び採用者を除いた同年4月1日における人員は488,644人である。以下に示す職員の在職状況及び給与は、この4月1日における人員を基礎としたものである。
図2−2 職種別人員及び構成比
図2−3 最終学歴別人員構成比の推移
図2−4 平均年齢及び平均経験年数の推移
- イ 俸給表別の人員は、行政職俸給表(一)が224,653人(全体の46.0%)と最も多く、以下教育職俸給表(一)の59,039人(同12.1%)、税務職俸給表の54,279人(同11.1%)等の順となっている。(資料2−2) また、職種別の人員を10年前の昭和63年と比較すると、図2−2に示すとおりである。人員の増減をみると、行政職(15,097人)、海事職(275人)が減少しているのに対し、教育職(6,544人)、税務職(3,621人)、医療職(3,215人)は増加している。これらは、引き続く定員抑制措置の中においても、社会的要請が強い教育・医療関係等における業務の拡充、整備に対応するために必要な人材を確保してきたことを示している。
- ウ 職員の最終学歴別人員構成比は、大学卒42.5%(うち大学院修了12.3%)、短大卒17.5%、高校卒37.9%、中学卒2.1%となっている。(資料2−2) 昭和43年以降の推移は、図2−3に示すとおりである。大学卒及び短大卒の占める割合は、それぞれ年々増加しており、平成10年には両者を合わせると60.0%に達している。これに対し、高校卒及び中学卒の割合は減少が進み、特に中学卒の減少が著しい。これは、社会一般の高学歴化傾向の進展に加え、教育・医療関係等の高学歴職種の増員が反映されたことによるものと考えられる。
図2−5 年齢階層別人員構成比の推移

- ア 職員の給与は、俸給及び諸手当から構成されているが、このうち俸給、扶養手当及び調整手当は、最も基本的なものである。
平成10年4月1日における職員の平均給与月額は377,268円(俸給344,918円、扶養手当12,446円、調整手当19,904円)となっている。
また、行政職の平均給与月額は344,468円(俸給313,384円、扶養手当12,127円、調整手当18,957円)となっている。(資料2−4) - イ 職員の給与決定上の学歴別、経験年数階層別の人員及び平均俸給額をみると、人員が最も多い階層は、中学卒では35年以上、高校卒は30年以上35年未満、短大卒は15年以上20年未満、大学卒は10年以上15年未満となっている。また、平均俸給額が経験年数1年未満の者の2倍に達するのは、高校卒及び大学卒はいずれも15年以上20年未満、短大卒は20年以上25年未満の階層となっている。(資料2−5)
- ウ 扶養手当は、職員の56.5%が受給している。受給者の割合は、図2−6に示すとおりである。
過去10年間の推移をみると、総体的に受給者割合及び扶養親族数は減少傾向にある。これは、出生率の低下及び共働き世帯の増加等の影響によるものと考えられる。
平成5年に受給者割合及び扶養親族数が、いずれも上昇に転じているのは、扶養手当の支給対象となる子等の年齢制限を18歳から22歳に引き上げた平成4年の制度改正によるものである。 - エ 調整手当の支給地域に在職する職員の割合は、52.1%となっている。支給地域区分別の在職者割合は、甲地のうち、支給割合12%の地域(東京都特別区)が16.9%、同10%の地域(大阪市等)が16.6%、同6%の地域(福岡市等)が3.6%、乙地(広島市等)が15.0%となっている。
図2−6 扶養手当受給者割合及び平均扶養親族数の推移

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